日本酒造りの基本三原則
日本酒造りは「一麹、ニ酛、三造り」と言われており、最も重要な役割を果たすのが微生物発酵の元になる麹、次に麹が有する様々な酵素で育てられた酒造りの中心を担う醪(もろみ)の工程、そして杜氏や蔵人と呼ばれる職人の経験に基づく技の結晶ということができます。
日本酒の造り方の工程は生酒などの種類によっても少し異なりますが、基本の工程として精米を行い、洗米・浸漬・水切りをして、蒸きょう・放冷し、そこから麹を加えて酒母を作り、醪として上槽・滓引き・濾過・火入れという流れを採って瓶詰めされます。
日本酒ができる工程
日本酒はお米と米麹に水を基本原料として発酵させて造ります。
アルコール発酵を行うには糖分をアルコールに変えて炭酸ガスを発生させる必要がありますが、米には糖分が含まれていないので、そのままでは発酵ができません。
そこで、麹の酵素によって米のデンプンを糖化させ、さらに酵母の力でアルコール発酵をさせることになります。
糖化とアルコール発酵という本来別工程となるはずの2つの化学変化を同じタンクの中で同時に行う世界でも珍しい並行複発酵という技術を採用しており、これによって高純度の醸造酒に仕上げることができます。
精米の必要性
日本酒の各メーカーや醸造蔵のこだわり案内や商品の紹介文において「精米歩合○%」とか、「ギリギリの限界まで削っています」、「精米精度と技術は独自のものです」といった文言を見たことがあるのではないでしょうか。
最近のヘルシー食生活ブームでは白米より玄米がたんぱく質やミネラルなどが残っていて健康的などとされていますが、日本酒造りでは逆の発想がポイントになります。
玄米の外側に含まれるたんぱく質や脂肪、無機質などが含まれますが、これらの成分が必要以上に多いと日本酒の香りや色、テイストに雑味を与え、日本酒の劣化を招いてしまいます。
そのため、最初の工程として玄米の外側を25~50%削り取り磨き上げる精米からスタートします。
どのくらい削るのかはそのメーカーのこだわりや、造る銘柄によって変えられます。
三段仕込みによる並行複発酵
精米したら洗って水に浸してから蒸し上げます、蒸米に麹と清涼な水、酵母を加えて酒母とも呼ばれる酛にし、これが酒の元となります。
醪仕込は同様の工程を3回重ねる三段仕込みで行われます。
酒母に麹、蒸米、水を用い初添えしたら、前の仕込みの倍量を入れる形で仲仕込み、留仕込みが行われます。
この三段仕込みの工程で糖化とアルコール発酵が同時に行われることになります。