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2010年に5,856本限定で造られた長期熟成「グランモア21年スペシャルリリース」


■クラガンモアは地味ながらも評価の高いウィスキー

クラガンモアというウィスキーは、スコットランドにあるスペイサイド地方で造られているウィスキーの一つです。
クラガンモア蒸溜所で造られています。
クラガンモア蒸溜所は、丘陵、森林に囲まれた農地に位置しているこぢんまりとした蒸溜所です。
1869年に、マッカランやグレンリベットのような著名な蒸溜所で勤務し、運営なども関わっていた、ジョージ・スミスによって設立された蒸溜所であり、150年以上の歴史がある蒸溜所です。
ジョージ・スミスはクラガンモア蒸溜所の設立に当たり、鉄道の駅近くの場所を選び、スコットランドで初めてウィスキーの輸送に鉄道を利用した蒸溜所としても知られています。
原酒の9割以上はブレンデッドウィスキー用として別の蒸溜所へ供給されており、残りはシングルモルトとして販売されています。
そのため、シングルモルトとしての知名度は低いです。
ただ、クラガンモアは日本でも縁の深いオールドパーなどでも使用されている意外に日本にも親しみ深いウィスキーであり、あらゆるウィスキーの基本となるといっても過言ではないでしょう。
クラガンモアという名は、突出した大岩のある丘というゲール語の意味があります。
150周年を迎えた2019年には、150周年の記念ボトルが販売されたことでも知られています。
クラガンモアのウィスキーの味わいは、蜂蜜や柔らかなりんごや梨、華やかな花の香り、バニラにスパイシーな香りとスモーキーかつオーク香が漂う複雑な味わいが魅力となっています。
スペイサイドにはいくつも著名な蒸溜所、ウィスキーがある中で、グランモアは何か抜きんでた特徴があるわけではありません。
しかし、グランモア12年といわれるウィスキーでは世界的なウィスキー評論家として知られるマイケル・ジャクソンが「スペイサイドで最も偉大なシングルモルトの一つで、エレガントかつ厳粛な味わいでためらいがちといっていいほどゆっくりとその個性を表わす」といった高い評価を付けているウィスキーとしても知られています。
1917年には第一次世界大戦による原料不足で一時的に閉鎖に追い込まれますが、翌年には再開し、蒸溜所の照明が電化されます。
1927年は現在のディアジオ社に買収されます。
2002年にはビジターセンターが設立され、世界から多くのモルトファンが見学に訪れるようになっています。

■クラガンモア蒸溜所で使われる個性的なポットスチル

クラガンモア蒸溜所で使われているポットスチルは、ジョン・スミスの設計によって頭部が平坦のT字型に造られたのが特徴となっています。
これは、スチルルームに入れるためにこのような形状になったといわれていますが、交換用ポットスチルも同じような形で作られているため別の意味で意図的にこのような形状にしたのではないかとも考えられています。
その一説として、モーガン博士は、蒸溜器内に大量の還流を引き起こすためであり、これが上流に影響を与えるだけでなく、醸成段階にも大きな違いを生み出します。

■「クラガンモア21年スペシャルリリース」

「クラガンモア21年スペシャルリリース」は、クラシックモルトシリーズの一つであり、2010年に5,856本限定でシリアルナンバー付きでボトリングされた21年熟成のクラガンモアになります。
リフィルアメリカンオークの樽で1989年に樽詰めされました。
クラガンモアの特徴である複雑な味わいを持っており、円熟した味わいが魅力です。
華やかでフルーティな印象があり、加水することでオイリーでありながらも甘味があり、まろやかで柔らかい味わいに変わります。
カラーは明るく淡い琥珀色をしており、コクのある香りやアーモンド油のような香りとなリンゴや洋梨、桃のような香りが漂い、のちに素朴なハーブの香りがやってきます。
味は、滑らかで甘辛い、軽い酸味を感じます。
ワインにシナモンを加えたような焦げた味わいもします。
酸味あるミネラルの風味と同時にすっきりした味わいを感じるウィスキーです。