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赤ワインを思わせる深みのある褐色が美しいイチローズモルトカードテン・オブ・ハーツ

■マディラカスクでフィニッシュした味わいが魅力

「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」は羽生蒸溜所で2000年に蒸溜され、2011年にボトリングされた、イチローズモルトの人気カードシリーズのうちの1種です。
カスクストレングスとノンチルフィルター、ノンカラーで仕上げられているため、樽出しウイスキー特有の高いアルコール度数を保ったまま瓶詰めされています。
ボトリング数は全部で295本で、イチローズモルトのカードシリーズの中でも数が少ない希少な商品です。
「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」は1stカスクにホグスヘッド樽を使用し、2ndカスクにはマデイラカスクホグスヘッドを使ってフィニッシュさせました。
マデイラカスクホグスヘッドとは、ポルトガルのマディラ島で造られる酒精強化ワイン「マディラワイン」を熟成させた空き樽のことです。
イチローズモルトのカードシリーズは2ndカスクにさまざまな種類の樽を使用しているのが特徴ですが、「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」の2ndカスクがワインの空き樽であることから、フルボディーの赤ワインを思わせるビターな味わいが楽しめます。
またグミやキャンディーを思わせるスイートな甘さとマディラカスク由来の赤ワインが奏でる樽香が幾重にも重なり、複雑ながらも奥深い味わいを醸し出しています。
ウイスキー愛飲家はもちろん、ワイン好きの人にもぜひおすすめしたい魅力がたっぷり詰まった逸品です。

■イチローズモルトを生み出している蒸溜所

今や世界中で品質の良さと上質の味わいが高い評価を受けている「イチローズモルト」は、埼玉県秩父市にある株式会社ベンチャーウイスキーが製造・販売しているウイスキーです。
「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」を含む全54種類が揃う「イチローズモルトカードシリーズ」は全部の商品の味と香りが異なることやトランプの絵柄をデザインしたオリジナル色豊かなラベルがコレクターの人気を集めています。
そのほかにも「ワールド・ウイスキー・アワード（WWA）」で最高賞を受賞した銘柄が多数あり、今最も勢いのあるウイスキー製造会社であるといっても過言ではありません。
イチローズモルトは埼玉県秩父市みどりが丘にある株式会社ベンチャーウイスキーの秩父蒸溜所で製造されています。
秩父蒸溜所が建っているのは東京から北西約100kmの小高い丘で、2007年に設立されました。
蒸溜所として稼働を始めたのは2008年2月からで、それ以来さまざまな人気銘柄を輩出してきています。
しかしブランドはあくまでも「イチローズモルト」だけで、その中にカードシリーズやモルト＆グレーン「ホワイトラベル」に「ブラックラベル」などのラインナップを揃えています。

■ベンチャーウイスキー・秩父蒸溜所の設備

秩父蒸溜所はスコットランドのフォーサイス社製のポットスチル2基を設置し、手作りにこだわったジャパニーズ・ウイスキー造りを行っています。
蒸溜所内には糖化液造りに欠かせない糖化槽のマッシュタンや小さなミル（粉砕機）、そしてミズナラ製の発酵槽であるウォッシュバックを8基備えています。
また出来上がったモルトが静かな眠りにつけるよう、熟成庫も2棟建ててあります。
スコットランドにある蒸溜所の多くはポーティアス社製の大きなミルを使っていますが、ポーティアス社製のミルは故障が少なく100年以上使えるミルとして有名でした。
そのせいでポーティアス社は倒産してしまい、株式会社ベンチャーウイスキーではミルを設置するにあたってポットスチル製造会社に相談します。
このときに勧められたのがイギリス製のホーロータイプの小さなミルで、秩父蒸溜所が小さなミルを使用しているのはこのためです。
秩父蒸溜所では「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」などのカードシリーズが完結した現在は、「イチローズモルトダブルディスティラリーズ」などを主力製品として製造しています。
「ダブルディスティラリーズ」は羽生蒸溜所と秩父蒸溜所の原酒をヴァッティングさせたベンチャーウイスキーの定番商品となり、「イチローズモルト カード テン・オブ・ハーツ」と同様に高い人気を誇る銘柄です。