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「グランツ25年の」意味・味・歴史について


■「グランツ25年」の意味は？

グランツ25年と聞いて「25年物のウィスキーだけを使っているお酒」だと思う人も多いかもしれません。
しかし、実はこれは間違いです。
ウィスキーは複数の樽の原酒をブレンドして造られるのですが、この原酒はさまざまな熟成年数の原酒を混ぜて製造されています。
「グランツ25年」とは、各年の原酒をブレンドした中で、最も若い原酒の熟成年数が25年だということを表しています。
ですので、「グランツ25年」といっても、もっと熟成させたウィスキーが入っている可能性もあるということです。
ちなみに、さまざまな熟成年数の原酒をブレンドする理由は、味の均一化を図るためです。
年ごとに出来上がる原酒の味や成長具合は微妙に異なるため、毎年同じ味のウィスキーが楽しめるように、調節されています。
このブレンドのレシピを決める人はブレンダーと呼ばれ、ウィスキーの世界ではかなり重要な役割となっています。

■「グランツ25年」の味とは
酒齢25年以上のモルト・グレーン原酒をブレンドしたものを「グランツ25年」と呼びます。
香りから感じられるのは、若干のアルコール感や、やや青いマンゴーやレーズン、プラムなどのドライフルーツや、バターシュガーのような甘煙いオイリーさ、深くスパイシーなオークの木質感が挙げられます。
香りからすでにさまざまな質感や感触が味わえるほど、複雑に熟していることが分かります。
味は濃厚でペースト化したプラムジャムやベリーのタルト、フルーツケーキなどに近く、甘酸っぱい熟成感が特徴です。
後半になるとバニラキャラメルや蜂蜜、メープルシロップ、ほんの少しユーカリの清涼感とミネラル感も感じられます。
最後の味はダークチョコレートの苦味のようで、飲み込むと胡椒やカイエンペッパーのピリッとした感じも舌に残りつつ、余韻は深い木質感に落ち着き、オイリーで口中にねっとりとほど良い甘さが長く残ります。
こう味わっていくと、このグランツの25年という期間が、いかに重みと濃厚さを極めたものか、少し垣間見られるようです。
「グランツ25年」はブレンデッドウィスキーではありますが、モルト率はかなり高いと感じる人もいるようです。
このウィスキーに少し水を足すと、よりフローラルで梨やりんごのようなすっきりとしたな甘酸っぱさが出てきます。
濃厚さを少しずつ味わうか、フルーティさを楽しむか、好きなほうで味わいましょう。
ちなみに使われていた樽ですが、レーズンやブラックベリーの風味、針葉樹、甘草などが味や香りからは感じられるようで、バーボン樽のほかに複数のシェリー樽が使われていると予想がつきます。
この味や香りの複雑さは、樽を複数使っていたことにも由来しているようです。
粘り気のある舌触りで上質な甘味を堪能できるため、シガーとの相性も抜群です。

■「グランツ25年 ウィリアム・グラントジャグ」

グランツの創業者ウィリアム・グラントの陶器製の顔型ボトルもあります。
グレンフィディックという蒸溜所を設立したのが1886年で、そのちょうど100年後の1986年に発売が開始されました（ロイヤルドルトン製）。
ウィリアム・グラントの顔がそっくりそのまま表現されたようなしっかりとした作り込みで、初期のバージョンの取っ手のデザインは樽が連結されたようになっています。
その後も何度かリリースされ、日本にも輸入されたそうです。
このウィリアム・グラントは「バルヴェニー」などの蒸溜所も設立しており、家族経営ながらもグレンフィディックを世界一売れるシングルモルトとして成功させた凄腕の人物とされています。
8人の子どもを育てなければならないという貧しい生活でしたが、家族の強力な絆や協力もあり、スコットランドで5本の指に入るほどの資産をその手中に収めました。
エピソードだけでも、ものすごい意志の強さと実行力、行動力のある人物だったことが伺えます。
そんなウィリアム・グラントの顔付きボトルは、中古屋やネットオークションサイトなどで見つけられます。
どことなくご利益もありそうなので、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。