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■コニャックといえばヘネシー
今でこそ、コニャック地方といえばコニャックの産地として広く知られていますが、もともとは広大なブドウ畑が存在するワインの生産地でした。
フランスはワインの国として知られるほどワイン造りが盛んで、水の代わりに飲まれていたほどです。
その理由として、日本のように水道から出る水を飲むことができない国であることから、ワインの方が安全だったという説もあります。
とはいえ、ワイン造りが盛んだったのは、もともとワインに適したブドウが育ちやすい気候や、ワインというお酒を好む国民性があったことも無視できない要素です。
ただ、フランス国内のどこででもおいしいワインが作れるブドウが育ったかというとそんなことはなく、のちにコニャックで有名になるコニャック地方でとれるブドウは酸味が強く、アルコール度数の高いワインが出来上がり、お世辞にも上質なワインが作られる土地柄とは言えませんでした。
そんなコニャック地方を、ワインではなく高級ブランデーであるコニャックの特産地に変えてしまったのが、1765年にこの地にヘネシーを生み出した創業者のリチャード・ヘネシーです。

■アイルランドからやってきたアイルランド人
リチャード・ヘネシーは、弾圧が続くアイルランドに住むのに嫌気がさし、フランスにやってきます。
自由を求めてフランスにやってきたリチャード・ヘネシーが着いた先がコニャック地方だったのですが、このコニャック地方との出会いが、世界的に有名な高級ブランデーを生み出すことになろうとは、当人も思いもしなかったことでしょう。
当初は軍人だったリチャードですが、1765年にコニャックの地に高級ブランデーを作ることを目的に会社を立ち上げます。
自分の名を取ってヘネシーと名付けたこの会社を作った理由として、おそらくコニャック地方よりも先に高級ブランデーを作っていたアルマニャック地方の高級ブランデーを飲んだからではないかと思われます。
そこで、コニャックのおいしさを知ったとしても不思議ではないからです。
実際のところ、軍人だったリチャードがなぜ高級ブランデー作りをしようと思ったのか、そのあたりははっきりしません。
一説では、コニャックなる高級ブランデーの存在を知ったからだと言われており、そうなると、アルマニャックではないかと推理できるわけです。
アルマニャック地方では、1400年代には高級ブランデーであるアルマニャックを作っているのに対し、コニャック地方に高級ブランデーであるコニャックが誕生するのは1600年代だとされています。
随分と遅れを取ったという印象がありますが、コニャックにはコニャックならではの特徴があり、それらを凝縮したのがヘネシーと言えます。

■コニャックならではの蒸留と熟成から始まる新しい歴史
ヘネシーでは、原酒に混ざる不純物を取り除くため、コニャックに定められている2回蒸留することという決まりにおいて、1度めの蒸留を3回行い、2度目の蒸留を1回行うことを基本セットとしています。
つまり、よりしっかりと不純物を取り除くことにより、質のいいブランデーを作り出しているのです。
この手間暇かけたブランデー作りが、コニャックにつながっていくといっても過言ではありません。

■傑作シリーズも次々と
そんなリチャードのこだわりは、250年間続いていく中でさまざまな傑作シリーズを生み出しました。
2008年から毎年発売されるようになった「ヘネシー XO エクスクルーシブ コレクション」は、数量限定ということもあって、ヘネシーファンにとっては、毎年の楽しみとなっています。
2014年は「ヘネシー XO エクスクルーシブ コレクションⅦ（7）」で、毎年変わるボトルには注目が集まるところですが、この年はゴールドに輝く派手な外見に、思わずびっくりしたヘネシーファンも多かったことでしょう。
中身は毎年、コニャックの王様と称される「ヘネシーX.O]ですが、この上質なコニャックの味わいに負けないインパクトあるボトルで登場するところが、「ヘネシー XO エクスクルーシブ コレクション」の最大の魅力です。
のちに、リチャード改め、フランス読みのリシャールに変えるヘネシー創始者によるコニャック作りへのこだわりは、その後の子孫により、さまざまなコレクションが作り出されることで、着実に歴史が刻まれているといえます。