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■コニャックを代表するヘネシー
コニャックはブランデーの一種ですが、コニャックと名乗るためにはクリアしなければならない条件がたくさんあり、現在では産地はもちろん原料や蒸留法など、コニャックAOCという制度で厳密に管理されています。
そんなコニャックには三大銘柄がありますが、その中の一つがヘネシーです。
創業は1765年、創業者はリチャード（リシャール）・ヘネシーです。
彼が生まれたのはアイルランドのコーク州で、1794年のことでした。
家は貴族でしたが、当時のアイルランドはイングランド政府の圧政に苦しみ、自由を求めて彼はフランスに渡ります。
ただその方法はルイ15世が現地で招集した旅団に入団するというもので、彼は近衛兵としてフランスに渡ったわけです。
そこで1750年から外国人士官として駐留したのが、コニャック地方でした。
これも今となっては運命とも言えますが、ここでリチャードはコニャックと出会いました。
創業直前、30歳過ぎのリチャードは将校だったと言われますが、その立場を蹴ってまでコニャックづくりを始めたのですからすごい情熱でしょう。
会社には自分の名を使い、こだわりにこだわり抜いたコニャックを造るために、そこから尽力することになります。

■熟成の規格を作ったヘネシー
コニャックという酒が製造販売され始めたのは、1617年のことです。
コニャックという町のあるシャラント地方で採れるぶどうは、あまりワインを作るのに適しておらず、蒸留してオー・ド・ヴィー（原酒）に加工するほうが適していました。
そのため1700年代は、この地方はワインではなくオー・ド・ヴィーがメインで取引されています。
オー・ド・ヴィーとしてはかなり質が良かったのですが、当初は熟成させるという考えはありませんでした。
その後、技術はつたないものの時間を置くとまろやかになることが分かったコニャックに、熟成度合いを示すV.S.やV.S.O.P.などの規格を作るきっかけとなったのがヘネシーです。
それはヘネシーが後のイギリス国王ジョージ4世とウェールズの王子のために、1818年、初めてVery Special Old Paleと称したコニャックを贈ったことが始まりです。
これがこの世にV.S.O.P.が誕生した瞬間でした。
とはいえ、実際に規格化されるのはそこから100年も後のことですが、間違いなく最初に出したのはヘネシーと言えます。
■250年の月日と8代目当主
世界140か国で愛されているヘネシーには、すでに250年余りの歴史があります。
現在の当主は8代目モーリス・リチャード・ヘネシー氏で、氏は今もかたくなに伝統を重んじたコニャックづくりを続けています。
ただ、初代ヘネシーは初リリースからわずか30年足らずでアメリカへの輸出を成功させていますので、ヘネシー当主には職人技術のみならず、マーケティング手腕も備わっているようです。
ヘネシー家家訓は、正直な商人たれというそうですから、深く納得させられます。
また、元々アイルランド出身のヘネシー家は、フランスにありながら英語が堪能だったというのも大きな商売のアドバンテージでした。
海外との取引をスムーズに進めることができたのは、こうしたグローバルな視点が古くから根付いていたからでしょう。
常に革新的でありながら伝統を重んじる心が、今もヘネシーのクオリティを守り抜いています。

■ヘネシー V.S リミテッドエディション2015
ヘネシーはそのグローバルな視点で、数多くのアーティストと限定コラボレーションボトルシリーズをリリースしています。
ヘネシー V.S リミテッドエディション2015は2015年9月にリリースされたボトルで、独特な創作プロセスで注目を集めるライアン・マクギネスとのコラボレーションになっています。
一瞬で目を惹きつける外見と、数百年前から変わらないコンテンポラリーなコニャックとの饗宴は、比類ない魅力の逸品です。
そもそもコニャックの妙はブレンドにあり、多様な個性を持つオー・ド・ヴィーが40種類以上もブレンドされた集大成です。
ボトルデザインも含め、多彩な才能とエッセンスが絶妙な調和を奏でるリミテッドエディションは、まさにコニャックらしい作品と言えるでしょう。