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コニャックの格付けごとに飲んでいきたいものの

■ヘネシーが作ったコニャックの格付け
ヘネシーのコニャックには、Vから始まる熟成期間3年以上のオー・ド・ヴィー、つまり原酒をブレンドしたコニャックから格付けが始まります。
その次が「V.S.O.P」で、熟成年数は5年以上となりますが、面白いことにこの「V.S.O.P」とは「Very Superior Old Pale」の頭文字をとって付けた格付け名称です。この語源となる言葉を発したのが、ヘネシーが1817年に初めてイギリス国王にヘネシーを献上したときに、国王自らがヘネシーを味わって口にしたとされています。
次いで、1865年には「VS（Very Special）」が作られ、1870年には「X.O（Extra Old）」が誕生します。
この間、ヘネシーの中ではコニャックそのものの出来に違いがあることを当然わかっていましたが、公にわかるようにした決まりはありませんでした。
これを格付けとして定着させたのが、リシャールの曾孫に当たるモーリス・ヘネシーで、実に1870年のことですから、創業からかなり経ってからと言えます。

■初心者は下から順番に
ランキングで上位に入るお酒が必ずしもおいしいとは限りませんが、ヘネシーのコニャックに関しては、作っているヘネシー社自体が順にレベルが上がっていき、高級なコニャックになっていくことを格付けによって保証しているのですから、信用していいでしょう。
そのため、初心者はもっとも飲みやすいとされるヘネシーVからがお勧めです。
次の「V.S.O.P」に移るにあたっては、少し知識を仕入れておくと、「V.S.O.P」のことがさらによく分かります。
これも、長い歴史が生み出したコニャックの特徴と言えるでしょう。
コニャックは勿論ですが、アルマニャックにおいても「コント」と呼ばれる基準があります。
コントとは熟成年数を表すもので、蒸留してできたばかりのブランデーは「00」で表示します。
コニャック、アルマニャック共に樽に入れて熟成させることで特別なブランデーとなりますが、熟成1年目をコント0とし、「V.S.O.P」クラスの場合は「コント4」の熟成5年目あたりが該当します。
このコントのことを知っていると、コニャックやブランデー選びがまた楽しくなるでしょう。

■若い世代に関心を持ってもらうために
ブランデーといえば、大人の男が飲むお酒というイメージが強いことから、若者には縁がないと思いがちです。コニャックならなおさら手を出しにくいと印象を受けるでしょう。
ヘネシーではそんな若者にも興味を持ってもらおうと、「ヘネシー フィーヌ・ド・コニャック」というコニャックを作っています。
こちらはコント4のV.S.O.Pランクのブランデーであり、いきなり飲むと「V」レベルをすっ飛ばしていることになりますが、それもいいでしょう。
それというのも、ヘネシーでは最初から若者向けブランドとして「フィーヌ・ド・コニャック」シリーズを展開したからです。
1級の畑であるプルミエ・クリュで採れたブドウだけを使って作った4～10年熟成のオー・ド・ヴィーを使用しており、原酒をなんと60種類以上もブレンドして造られたコニャックなので驚きです。若者向けの新しいラインナップとして登場するにはかなり本格的な内容となっています。
とはいえ、若者を中心にウイスキーブームが巻き起こったことを考えると、若者ほど上質なものを見抜く力に長けていると、ヘネシーでは考えているのかもしれません。
気になる味わいは、ヘネシー独自のアロマをエレガントに演出し、まろやかさとともに清々しいフローラルさも感じられる、いわば若者受けするブレンディングになっています。
香ばしくグリルしたアーモンドを思わせるような風味は、若者にとっては驚きと感じられるのではないかと思いますが、この余韻が口の中で長く続き、最後まで優雅な気分に浸れるところは、ヘネシーのすごさと言っていいでしょう。
ただ、そのヘネシーのすごさがわかるかどうかは、やはりVから飲み始めた方がいいのかもしれません。
ランクとしては「V.S.O.P」ではあるものの、特別なシリーズとして作っただけに、そこには若者を本物のコニャックの味わいでうならせたいと考える、老舗のヘネシーならではの意地が感じられるからです。