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■カクテルのベースとして浸透
日本におけるテキーラというお酒に対する認知度といえば、スピリッツと呼ばれる部類のお酒の一つであることと、カクテルのベースとして用いられるお酒として、広く知られているということなのではないでしょうか。
そのため、逆にテキーラ単独で売られている場合、そのお酒のボトルやラベルなどを見て、すぐにテキーラだと認識できる人は少ないと思われます。
そもそもテキーラは蒸留酒で、ウイスキーやブランデーなどと同じように樽に入れて熟成されたことによって琥珀色になっていますので、見た目ではウイスキーなのかブランデーなのか、あるいはテキーラで合っているのか、見分けがつきにくいといえます。
そのため、テキーラの歴史を知って正しい認識で飲んでみると、テキーラというお酒に対する印象が大きく変わる可能性があります。

■メキシコ原産の植物から作られるお酒
日本のお酒である日本酒や焼酎は、米や麦、芋などといった植物で作られていますし、ワインもブドウという植物から出来上がります。
ウイスキーは大麦をはじめとする穀物からでき、ブランデーは果実から作られるお酒です。
こうして考えてみると、ほとんどのお酒は植物から作られていることがわかり、テキーラが植物から作られていると言われても、特におかしいことではありません。
ただ、テキーラの原材料となる植物に対して、日本人のほとんどにはなじみがないことが、珍しいお酒というイメージにつながっている理由でしょう。
テキーラの原料となるのはリュウゼツランと呼ばれる植物で、その中でもメキシコ原産の「アガベ・アスール・テキラーナ」という品種を使用しています。
もともとはメキシコの古代文明であるアステカ帝国において飲まれていたブルケというお酒がテキーラのルーツとなっていて、ブルケとして飲まれていた時は、樹液を取り出し、発酵させて飲んでいたお酒でした。
それが現在のような蒸留酒に変わったきっかけは、アステカ帝国の滅亡にあります。
スペインに攻められ、アステカ帝国は滅び、スペインの植民地となってしまったのです。
当然のことながらスペイン人入植者が、スペインの植民地となった旧アステカ帝国にどんどんやってきます。
その過程で、スペイン人によってブルケは蒸留酒へと作り方を変えていき、1600年、最初のテキーラ製造工場が建てられます。
ハリスコ州のサンティアゴ・デ・テキーラで作られたことにちなんで、このお酒はテキーラと呼ばれるようになりました。
1873年にはヨーロッパへと輸出されるようになり、1968年に開催されたメキシコオリンピックによって世界的知名度を得ることになります。
この時にはもうスペインの植民地ではなく、メキシコという国になっていましたので、メキシコのお酒=テキーラという認識が出来上がったというわけです。

■メキシコの重要なビジネス
テキーラの所有権を持っているのは、驚くことにメキシコ政府です。
国によってテキーラの品質は厳重に管理され、認められたもの以外はテキーラとは呼べません。
そのため、メキシコ政府と規制委員会の両方のラベルが貼られているとともに、蒸留所ごとに与えられた4桁の番号が刻印された物だけが，正式なテキーラとなるのです。
メキシコ以外で作ることはできないために、メキシコにおけるビジネスの主要な輸出品として、大きな役割を担っていることもこれで理解できます。
そんなテキーラはアルコール度数が35～55%と決められた非常に強いお酒であることから、ともすれば男性向けというイメージがありますが、創業から200年以上が過ぎる老舗中の老舗であるホセ・クエルボ社から発売されている「クエルボ エスペシャル ゴールド」は、蒸留後に樽に入れて2ヶ月以上熟成されるため、まろやかでクリーンな口当たりが特徴のテキーラになっています。
カクテルのベースにもよく使われますので、女性も知らない内に飲んでいそうです。