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タリスカー10年が伝える自然の雄大さとチャレンジ精神

■KING OF DRINKSの称号を与えられたタリスカー

スコットライドのスカイ島で最も歴史ある蒸溜所として知られるタリスカー蒸溜所は、北海道より北である、北緯57度に位置します。
スコットランドの主要都市からも距離のある、孤立した島で生み出されるタリスカーは、「宝島」で知られる英国人文豪ロバート・ルイス・スチーブンソンに愛飲され、KING OF DRINKSの称号を与えられました。

■海潮の香りとスパイシーさで深みのある味わい

タリスカーの中でも、「タリスカー10年」はタリスカーの特徴をバランス良く表現していると言われます。
1987年に発売されたタリスカー10年は、「WWA」「IWSC」「ISC」といった三大コンペティションでもゴールドメダルなど数々の輝かしい結果を得ており、世界的に評価が高いシングルモルトウイスキーです。
タリスカー10年は、海潮、生牡蠣、柑橘系の甘みを感じさせる香りで、黒胡椒のような、スパイシーで深みのある複雑で独特な味わいとなっています。
力強いピートのスモーキーな香りで、長く温かいフィニッシュとなります。
ハリウッド映画「007ワールド･イズ･ノット・イナフ」では、ジェームズ・ボンドの女性上司「M」が飲むスコッチとしてタリスカー10年が使われていました。

■創業当時からの製法を貫く

タリスカー蒸溜所は、マカスキル兄弟により1830年に創業されました。
スカイ島より少し南に位置するエッグ島出身の兄弟で、スカイ島に羊を運ぶ仕事をしていましたが、スカイ島に移住し、ウイスキーを造り始めました。
タリスカーという名前は、バイキングの言葉である古代ノース語で、傾いた大岩という意味があります。
蒸溜所はロッホ・ハーポートと呼ばれる入り江に作られており、白亜の壁と青い屋根が印象的な美しい建物です。
タリスカーを船で輸送していた時代には、灯台としての役割も果たしていたといわれるほど、海際で存在感を放っています。
荒れ狂う風雨と波の島であるスカイ島でタリスカーを造ることは、チャレンジスピリットが欠かせませんでした。
さらに、じゃがいも飢饉、大恐慌、第二次世界大戦、火災といった幾度の試練に襲われながらも、兄弟のウイスキーを造る情熱と信念は引き継がれ、乗り越えてきました。
現在まで、唯一無二のシングルモルトスコッチウイスキーとして全世界に愛されています。
タリスカーの独特の香りと味わいを生み出すには、3つの蒸溜技術が欠かせません。
昔ながらのオレゴンパイン製の発酵槽で乳酸発酵を促し、発酵時間には70時間をかけています。
また、クリアな初留液を生み出すために、初留釜で蒸溜された蒸気で重いものは、精留器により初留釜に還流され、気化と液化が繰り返す技術が使われているのです。
蒸気を冷却する際はワームタブを用いています。
伝統のゆっくり液化される方法です。
これらの行程は、厳格かつ細やかな気配りが必要です。
職人たちのクラフトマンシップにおいて、創業以来の製法を忠実に守り続けています。
世界五大ウイスキーの中でも、スコットランド産のウイスキーの多様な個性は魅力になっていますが、その中でも、タリスカーは特に土地の風土を表している個性的なウイスキーです。

■ラベルに込められた想い

タリスカーのすべてのラベルには「MADE BY THE SEA」と書かれています。
「ミストアイランド（霧の島）」と呼ばれるスカイ島は、海からの潮風が吹き晒す厳しい環境の島です。
ゴツゴツした岩場と猛烈な風雨と雷、自然への畏れを感じずにはいられない荘厳さがあります。
自然の恵みによって生み出されるタリスカーの味わいは、雄大な自然の力を受け入れ、共存していることの現れであり、海が育んだシングルモルトといえます。
生産者たちの海への深い感謝を表す言葉として「MADE BY THE SEA」がラベルに刻まれているのです。
世界のどこにいても、潮風の吹くスカイ島を感じるタリスカーは、飲むと一瞬でスカイ島の景色の中に連れていってくれます。