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一つひとつに来歴の保証書が付けられたタリスカーディスティラーズエディション

■タリスカー蒸溜所とは？

タリスカー蒸溜所は、スコットランドにあるスカイ島のカーボストに位置している蒸溜所であり、ここはハイランド地域に分類されています。
蒸溜所に付けられたタリスカーは、古いノルド語から由来しているといわれており、「傾いた大岩」や「岩の上の家」という意味があるという説があります。
タリスカー蒸溜所は、ラインアームという独特なデザインが特徴となっています。
ポットスチルから垂直に向かって、水平に伸びたのちに再度直角に下ったU字のねじれがあって、還流を促すためにくぼみの基部にビュリファイヤーパイプが取り付けられています。
ここで蒸溜所されたウイスキーはワーム・タブというコイル状の冷却槽で液化されるという特徴もあります。
タリスカー蒸溜所の位置するスカイ島は、スコットランドにあるインナー・ヘブリディーズ諸島の中でも最も北に位置している最大の島です。
スカイというと空をイメージされる方も多いかもしれませんが、実はスカイ島のスカイはSkyeで、ゲール語で翼を意味しています。
つまり、鳥が翼を広げているような形に見える島ということから名付けられているようです。
さらにこの島は天候が変わりやすいというのが特徴であり、濃霧に覆われる日が多いため、「霧の島」とも呼ばれています。
天候が変わりやすく荒々しい波が打ち寄せるエリアでもあり周りはごつごつした岩が多いのが特徴です。
この独特の地形が生み出すウイスキーこそがまさにタリスカーなのです。
ちなみにスカイ島では蒸溜所が、このタリスカー蒸溜所一つしかないことでも知られています。

■タリスカー蒸溜所の誕生と歴史

タリスカー蒸溜所は、1827年にヒューとケネス・マカスキル兄弟がスカイ島に移住して羊を運ぶ仕事を始めます。
ただこの当時の農家は農業の副業として蒸溜業を運営するケースが多く、スカイ島で免許を取得している7つの蒸溜所以外に数十にも及ぶ無免許蒸溜所が混在していました。
ヒュー、ケネス・マカスキル兄弟もここで大麦を使ったウイスキー造りを始めようと志し、1830年に3,000ポンドものお金を費やしてタリスカー蒸溜所が誕生します。
さらにいくつものオーナーが入れ替わり、1925年には現在のDCLとディアジオ社の傘下となって経営が続いています。
また1960年には火災が発生し、一時期稼働できなくなってしまいますが、わずか2年後には再稼働し現在に至ります。

■タリスカーの味わい

タリスカー蒸溜所は、荒々しい海に力強く育まれた深みのある味わいのシングルモルトを生み出しています。
スコットランドはピート層という泥炭層が広がっていることでも有名ですが、これによって独特のピート感とスモーキーさを味わうことができます。
さらには潮の香りが漂い、ブラックペッパーのようなアクセントのある余韻はまさにこのスカイ島の地形や気候ならではといえるでしょう。
スコットランドの小説家・ロバート・ルイス・スティーブンソンが酒の王様と評価したともいわれています。

■タリスカーディスティラーズエディションとは

タリスカーディスティラーズエディションは、タリスカーの中でもユニークさが際立ったシングルモルトです。
2008年以降毎年1回限定でリリースされているボトルです。
アメリカンオークで通常の熟成を行った後に、かつてシェリーの貯蔵に使用していたカスクで2度目の熟成を行って仕上げます。
これによってこれまでのボトルに比べてより熟成度が上がった、甘み、豊かさを含んだシングルモルトを生み出すことができているのです。
また、毎年バッチ1回分しか蒸溜しないという特徴があります。
蒸溜年やボトリングした日付、バッチ番号が1本1本のボトルに刻印されているスペシャルな限定仕様のボトルです。
フルーティーな甘みを加えるためにアモロソシェリーを貯蔵していた樽を使って後熟されているという特徴があります。
力強いピート感とさらに甘みやローストしたモルトを感じる1本です。
ドライであり、ウッドの味わいがブラックペッパーのフレーバーに絶妙なバランスで絡み合います。
甘みも相まっているので、非常にまろやかな口当たりが魅力となっています。