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プライドを守り抜いて現在へ「ザ・マッカラン ファイン＆レア 1966年」


■世界5大ウイスキーの一つスコットランドのブランド

ザ・マッカランの名は、あまりウイスキーに詳しくない人でも耳にしたことがあるでしょう。
世界には5大ウイスキーがあり、スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本が主要な生産国とされています。
ザ・マッカランはスコットランドのスペイサイドにあり、ウイスキー誕生の地とも呼ばれる地域で生まれました。
スコットランドにはほかにハイランド、ローランド、アイラ、キャンベルタウン、アイランズなどの地域がありますが、スペイサイドは国内約110ヶ所の蒸溜所の約半分が集中する中心地です。
中でも絶大な支持を受けるのがこのザ・マッカランであり、「シングルモルトのロールスロイス」とも評されるブランドです。

■歴史を語るイースターエルキーハウス

スペイサイドには、1700年建造の「イースターエルキーハウス」という建物があります。
ザ・マッカランを語る上で忘れることはできないこの建物は、激動の時代を生き抜いたザ・マッカランのプライドを象徴する存在といえるでしょう。
蒸溜所のスピリチュアルホームといわれていますが、現在の場所に建てられたのは1700年、ジョン・グラント大佐という人物の手によります。
1857年には大幅な修繕や拡張がなされ、2005年にはゲスト用宿泊施設が設けられ、滞在することも可能となりました。
ザ・マッカランが正式にライセンスを取得したのは1824年、設立当初の名前は「エルキー蒸溜所」です。
名称がマッカラン－グレンリベット蒸溜所となったのは1892年、タリスカー蒸溜所の共同オーナーだったロデリック・ケンプが蒸溜所を購入、増築したことがきっかけです。
タリスカー蒸溜所はスコットランドのスカイ島にあるモルト蒸溜所で、こちらはハイランド地域に分類されます。
ロデリック・ケンプは1880年にタリスカーを共同購入しますが、1892年に自身の持分を売却し、その資金でエルキー蒸溜所、現ザ・マッカラン蒸溜所を購入したのです。
ロデリック・ケンプは1909年にこの世を去りますが、その後の蒸溜所の運営についてロデリック・ケンプ・トラストという運営組織を立ち上げたことがのちに大きな功績となりました。
トラストの下、蒸溜所はロデリックの死後もケンプ家によって運営され、2度の世界大戦という激動の時代を乗り越える力を保つのです。
なぜザ・マッカランの歴史を語る建物に「エルキー」という名が付けられているのか、これでお分かりでしょう。
イースターエルキーハウスにはスペイサイドの記憶が深く刻まれ、現在もブランドのプライドの象徴として蒸溜所で働く人々の心の支えとなっています。

■プライドはウイスキーの品質を守り抜いた
ザ・マッカランというブランドを支えたロデリック・ケンプ・トラストの偉業は計り知れません。
1914年に第一次世界大戦が勃発するも、トラストの管財人を務めていたアレクサンダー・ハービンソン博士は、ブランドの価値を維持するためケンプのリーダーシップと精神を受け継ぎ奮闘します。
品質の低下につながる妥協は一切拒否し、人員に事欠く中で生産量は30％減少しても操業停止はしませんでした。
1939年に第二次世界大戦が始まると、状況はさらに悪化していきます。
政府はウイスキーに厳しい規制をかけ、1940年から1944年にかけてはウイスキーの蒸溜を法的に禁止する措置まで取られました。
配給制度で原料の価格が上がってもザ・マッカランは生き残り、安定供給を目指して熟成在庫の確保や品質の維持に努めたのです。
目先の利益のために未熟な在庫を売りに出す業者ばかりでしたが、ザ・マッカランはその圧力にも屈することはありませんでした。
これだけの苦難に直面しても、圧力に負けずトラストはザ・マッカランの品質を守り続けました。
ザ・マッカランのファミリービジネスであるトラストが守り抜いたのは、ウイスキーの品質や貴重な在庫だけでなく、ブランドのプライドだったのです。

■ザ・マッカラン ファイン＆レア 1966年

ザ・マッカランはその贅沢な製法から、「シングルモルトのロールスロイス」などとも称されます。
それでもザ・マッカランの乗り越えてきた苦難の歴史を知れば、それが生半可な覚悟で成し得るものではないことが分かるでしょう。
ザ・マッカラン ファイン＆レア 1966年は、そんなザ・マッカランのヴィンテージの中でも、最も優れた樽から厳選したシングルカスクシリーズ「ファイン＆レアコレクション」です。
ウイスキーファンが憧れるコレクションとして知られており、数量限定リリースのため幻の品となっています。
お目にかかれる機会はあまりありませんが、もし出会うチャンスがあれば、ぜひ手に取りたい逸品です。