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マッカランのプライドは歴史が証明する


■ウイスキーファンの聖地スペイサイドの酒

ウイスキー好きでなくても耳にしたことはあるであろうザ・マッカランの蒸溜所は、優れたウイスキーを生み出す聖地、スコットランドのスペイサイドに位置しています。
スペイサイドはスコットランドの蒸溜所のうち約半数が集中する地域で、世界のシングルモルト売上のトップ3を占拠する、一大ウイスキー生産地です。
その名の通りスぺイ川の流域に広がっていますが、そのひしめき合う蒸溜所の中でも特に名高いのがマッカラン蒸溜所でしょう。
日本でも大変人気のあるブランドですが、シングルモルトのロールスロイスとも呼ばれる老舗中の老舗です。
マッカラン蒸溜所が正式にライセンスを取得し、操業を始めたのは1824年のことです。
ただし、正式にという言葉からも分かるように、実際のウイスキー造りはもっとずっと以前から行われていました。
当時ウイスキーにかけられたイギリスの重税から免れるため、この地域にはいわゆる密造時代がありました。
マッカランも18世紀初めにはすでにその名が広く知れ渡るほど人気を博した蒸溜所でしたが、ようやく正式なライセンスを取得し、合法的に発足したのが1824年となります。
この地域では2番目となる早さで、当時から名門中の名門と呼ばれていたことは確かです。
当初の名前はマッカランではなくエルキー蒸溜所という名前でしたが、伝統の製法は変わらず、品質の高いウイスキーを生み出していました。

■激動の時代もプライドを貫く

マッカラン蒸溜所のブランドとしての強い意志を感じるのが、第一次、第二次世界大戦の激動の時代もそのプライドを貫いた姿勢です。
マッカランという名を授けたロデリック・ケンプという所有者が、自分が世を去った後も変わらずファミリー経営できるよう設立した「ケンプ・トラスト」という組織があります。
このトラストのマネージングパートナーを務め、管財人になっていたアレクサンダー・ハービンソン博士は、ケンプの類まれなリーダーシップと精神をしっかり継承し、大戦の苦難をも乗り越えました。
人員を兵隊に取られ、原材料が高騰し、生産量が激減する蒸溜所においても、トラストは片時もブランドの価値を守ることを忘れはしませんでした。
クオリティを少しでも下げるような妥協は一切せず、原材料の調達や在庫管理も厳しく行い、戦争を理由に薄利多売の商売は一切しなかったのです。
どれだけ厳しい状況下でも操業停止はせず、数が足りなくても未熟な品は出さず、それまでと変わらない姿勢を貫きました。
これは言葉にするほど簡単なことではありません。
それでもマッカランは比類なきブランドとして、今日に至るまでそのプライドを貫き通したのです。

■マッカランの誇りを今に伝えるエルキーハウス

スペイサイド地方にあるマッカランエステートに、「イースターエルキーハウス」というシンボル的な建築物があります。
この邸宅は地元の名士ジョン・グラント大佐が1700年にスペイ川上流の丘陵地帯に建てたものですが、マッカラン蒸溜所で働く人々の心の支えとなっています。
ザ・マッカランのボトルラベルや蓋に印刷されていることからも知る人の多いシンボルですが、もともとはマッカラン教会と呼ばれていた建物です。
スコットランドウイスキーは古来、薬用として用いられ、主に教会で蒸溜されていました。
どれほど長いウイスキーの歴史を見てきた建物か分かりません。
スペイサイドの良いときも悪いときも全てを知っているこのスピリチュアルホームは、土地とウイスキーの記憶を現在に伝える象徴といえるでしょう。

■ザ・マッカラン グランレゼルバ 18年 1979ー1997

「ザ・マッカラン グランレゼルバ 18年 1979ー1997」は、1979年に発売されたグランレゼルバシリーズで最も人気の高いボトルです。
グランレゼルバはスペイン語で「特別貯蔵」の意味ですが、厳選された最高級のオロロソシェリー樽で熟成されたそのウイスキーは、深い色と味わいが特徴となっています。
マッカラン蒸溜所は特に熟成に関して並々ならぬこだわりがあり、樽は自社製のものと決められています。
もちろん木材からこだわり、ドライ・オロロソシェリー樽だけを使用しているのも同社の独自研究によるものです。
自社管理している森林からヨーロピアンオークとアメリカンオークを伐採して作った樽にオリジナルレシピのシェリー酒（オロロソ）を3年漬け込んでようやく樽は完成します。
ザ・マッカラン グランレゼルバを楽しむなら、ぜひ、樽に費やした手間や時間も含め、味わってみてください。