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政府公認蒸留所の1つとして誕生したザ・マッカラン

■スコッチウイスキーの名門・ザ・マッカランの誕生
スコッチウイスキーのメッカと呼ばれるスペイサイド地方には、最盛期には250もの蒸留所がありました。
その多くが政府公認の蒸留所で、1824年を皮切りに急速に増えていったのです。
その背景には、1823年に酒税引き下げの法律が通ったことが大きく関係しています。
もともと独立した王国であったスコットランド王国は、同じく王国だったイングランド王国と度重なる衝突の歴史を持っています。
ついにその戦いに敗れ、イングランド王国が主となるグレートブリテン王国の一部となってしまったものの、スコットランドにとっての最大の屈辱がなければ、スコッチウイスキーは生まれていなかったかもしれないのです。
イングランドはスコットランドに対し、国民が飲んでいる蒸留したての強くて安価な酒に巨額の税金をかけます。
田舎者が飲む酒と揶揄しながらも、多くのスコットランド人が飲んでいるのに目を付け、財政確保のために高額課税対象としたのです。
財政確保のほかにも、イングランドに屈せず、反抗心をむき出しにするスコットランドに対して、さらなる圧力をかけたいという思いがあったのかもしれません。
この法律は当然のことながらスコットランド人の凄まじい怒りを買い、密造酒を増やす結果となります。
皮肉なことに、この密造酒が非常に良い出来栄えだったため、なんと時の国王が好んで飲むようになってしまうという笑えないおまけ付きでした。
国王が密造酒を好んでいるとは口が裂けても言えないため、ついにイングランドは高額の課税をやめて酒税を引き下げ、政府公認の蒸留所を増やす方向へと舵を切ったことから、行政区があるスペイサイド地区に蒸留所が増えていったのです。

■減少したものの現在も多いスペイサイド地方
政府公認の蒸留所は行政区であるマレーがあるスペイサイド地区に多く集まり、最盛期には250もの蒸留所がありました。
時の経過とともに数を減らしていき、現在ではおよそ50の蒸留所がウイスキー造りを行っています。
250から50というと、まさに激減と言えるほどの減少数ですが、それでもスペイサイド地方にある50という蒸留所の数は、スコットランド全域にある100の蒸留所の半分に相当するのですから、いかにスペイサイド地方で造られるスコッチウイスキーが上質であるかを証明していると言えるでしょう。
凄腕の密造酒造りだったジョージ・スミスのザ・グレンリベットがスペイサイド地区における政府公認蒸留所第一号になったおかげで、スペイサイド地区のスコッチウイスキーは世界的に有名になり、ザ・マッカラン蒸留所もその1つです。
そんなザ・マッカラン蒸留所の付近は緑が豊かで自然に満ちあふれ、その景色を見ているだけで上質のスコッチウイスキーが生まれることに納得できます。

■飲まずに飾っておきたくなる葛藤させられる逸品
ザ・マッカラン50年 1949バカラデキャンタは、熟成年数50年以上の原酒だけを使用して160本限定でリリースされた、最高級の称号に値する極めて稀少価値の高いザ・マッカランです。
バカラデキャンタは、フランスで300年の伝統を誇るあの有名なバカラ社が手掛けた吹きつけピュア・クリスタルで、8つの側面のダイヤモンドカット加工はすべて手作業という、これまた丹精込めて造られた超高級ボトルです。
このバカラデキャンタに熟成年数50年以上の高級原酒だけを詰めるのですから、たった160本の限定リリースだったのもうなずけます。
第二次世界大戦直後に蒸留されたザ・マッカラン50年は、ピートと呼ばれる泥炭をいぶすスコッチウイスキー特有の製造方法によって造られた原酒のため、甘い香りとやわらかな印象のマッカランに、スコッチウイスキーならではのスモーキーさが加わった、貴重な味わいに仕上がりました。
甘やかなスコッチウイスキーの風味が人気のザ・マッカランにおいて、スコッチウイスキーの最大の特徴であるピート香が感じられる特別なスコッチウイスキーは、飲みたいけれどこのまま飾っておきたいと葛藤したであろう、プレミアムな逸品です。