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ニッカのブランデーがリンゴジュースの歴史と密接に関係している理由

■ジャパニーズウイスキーに連なる二人のパイオニア
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝氏は、スコットランドで本場のスコッチウイスキー造りを学び、日本に本物のスコッチウイスキーをもたらした功績から、日本のウイスキーの父と呼ばれている人物です。
竹鶴政孝氏が勤めた店は、当時は珍しい洋酒を手掛ける店でしたが、それがもう一人のジャパニーズウイスキーの父と評される、サントリーの創業者・鳥井信治郎氏が営んでいた寿屋でした。
鳥井信治郎氏は、スコッチウイスキーの権威と呼ばれたムーア博士から、スコットランドでスコッチウイスキーの造り方を学んだ青年が日本に帰国しているという話を聞きつけ、竹鶴政孝氏を探し当てたと言われています。
その鳥井信治郎氏の元で、竹鶴政孝氏が国産初のジャパニーズウイスキーを造り出します。
ところが、このウイスキーはさっぱり売れませんでした。
採算を重視する商売人の鳥井信治郎氏の考えでは、職人である竹鶴政孝氏が造りたいと考えるウイスキーは原価が高すぎたのです。
結局、中途半端なものしか造れずに国産第一号ウイスキーは不発に終わり、その後、竹鶴政孝氏は本物のスコッチウイスキーが造れる場所を探して、北へと旅立ちます。
一方の鳥井信治郎氏は、その後もサントリーのウイスキー造りを続け、大ヒットとなる角瓶を世に送り出したことは、昨今のハイボールブームからも良く知られています。

■北海道・余市へ
スコットランドの気候に似ているとして、竹鶴政孝氏がついに見つけたと妻のリタさんに告げたのが、北海道の余市でした。
1934年7月のことで、ここに竹鶴政孝氏は大日本果汁株式会社を立ち上げます。
竹鶴政孝氏が目指したのはあくまでもスコッチウイスキー造りでしたが、大日本果汁株式会社はリンゴジュースを造り、販売します。
これには理由があり、スコッチウイスキーを造るには複数の原酒が必要で、樽に入れて熟成する期間が必要だったのです。
竹鶴政孝氏は地元・余市のリンゴに目を付け、落ちて傷んでしまったリンゴを高く買い取ったことから、リンゴ農家からたくさんのリンゴを集めることに成功します。
これで、原酒ができるまで大日本果汁株式会社としてリンゴジュース販売でしのぐ計画でした。
ところが、竹鶴政孝氏のこだわりから純粋にリンゴの果汁だけを絞って造ったリンゴジュースは、ペクチンが凝固して白濁したことによって見た目が悪くなり、買い手がつかない上に味そのものも受け入れられませんでした。
今では当たり前においしいと感じるリンゴだけで造られたジュースは、竹鶴政孝氏にとてはこうあるべきリンゴジュースだったのですが、世間には受け入れられないものだったのです。
返品の山とクレームの嵐に、本業のウイスキー造りさえ危ぶまれ、自身のふがいなさに力を落とす竹鶴政孝氏の元に、筆頭株主から資金援助の話が来たのは、竹鶴政孝氏の人柄はもちろんのこと、義理と人情で世の中が動いていた時代だったからかもしれません。

■ニッカウヰスキーの誕生
ついに原酒が出来上がり、ウイスキー製造に着手した竹鶴政孝氏は、大日本果汁株式会社からニッカウヰスキーへと社名を変更し、ウイスキー製造に奮闘します。
その結果がどうなったかは、日本がウイスキーの5大産地の一つになったことからも明白です。
1936年からはブランデー造りも始め、辛酸をなめたリンゴジュースの歴史でさえも、ニッカウヰスキーが造り出す上質のアップルブランデーでリンゴブランデーのおいしさを味わうことができます。
まさに、竹鶴政孝氏とその妻リタさん、さらに多くの人々の奮闘の歴史が、ニッカウヰスキーのお酒には詰まっていると言えるでしょう。

■ブランデーもぜひ味わいたい
ニッカウヰスキーのクリアなウイスキーのおいしさは、今では広く知れ渡り、ハイボールブームもあってファンが多く存在します。
しかしながら、ニッカウヰスキーがブランデーも造っていることは、あまり知られていません。
長期熟成リンゴブランデー原酒を選び抜いて造ったニッカ ブランデー X.O デラックス 白は、ニッカウヰスキーのブランデーのラインナップでは、上から二番目に位置する上質のブランデーとなっています。
リンゴならではの華やかな香りが魅力で、ぜひ全てのラインナップを飲んでみたいと思わせることでしょう。