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シャンパーニュメゾンの孤高の帝王

■世界中から羨望を集めるシャンパーニュメゾン
日本でシャンパンと言えば、ドン・ペリニヨンを挙げる人が多いでしょうが、世界中からシャンパーニュ界の中でのナンバーワンと称されているのは、クリュッグです。
なぜか日本ではあまり知名度がなく、よほどシャンパンやワインに詳しくなければ、クリュッグという名前になじみがない人のほうが多いでしょう。
日本で最もよく知られているのは、シャンパンの王道とも呼ばれるドン・ペリニヨンで、通称ドンペリで通っています。
ドンペリがドン・ペリニヨンの略だと知らない人も多いくらいです。
そのほかにはモエ・エ・シャンドンも日本ではよく知られていますが、シャンパーニュ地方にはたくさんのシャンパーニュメゾンがあるため、まだまだ知らない美味しいシャンパーニュがあります。
その代表がクリュッグといっても過言ではないのです。
その理由として、世界にはクリュッグのシャンパーニュしか飲まない熱烈なクリュギストなるファンがいたり、イギリス王室御用達としてあのエリザベス女王の大のお気に入りのシャンパーニュと言いますから、クリュッグを知らない日本人は損をしているのかもしれません。

■シャンパーニュメゾンの孤高の帝王
クリュッグにシャンパーニュの帝王という呼称が与えられていることは、シャンパーニュが好きな人ならおそらく知っているでしょう。
それと同時に、孤高のシャンパーニュメゾンとも呼ばれています。
1843年に創始者であるヨーゼフ・クリュッグが生み出した当時の製造方法を、クリュッグ家を受け継ぐ当主たちが連綿と続けてきたことから、進化を好まない頑固なメゾンというイメージを持つ人がいるからかもしれません。
けれど、ヨーゼフ・クリュッグが書き残したノートには、当時のシャンパーニュメゾンでは考えられなかった、革新的かつ自由な発想が綴られており、現在の6代目当主であるオリヴィエ・クリュッグ氏につながるまでの歴代当主は全て、創始者が書き残したクリュッグの哲学というノートに導かれ、これまでシャンパーニュ作りを行ってきたのでしょう。
時代は変わっても、クリュッグの作るシャンパーニュは受け入れられ続ける秘訣が書かれていたに違いありません。

■ブレンドはもちろん単一にも強いこだわり
第二次世界大戦後、クリュッグはアッサンブラージュによるシャンパーニュ作りへと製造方法を切り替え、これを見事に成功させますが、さらにチャレンジすべく、1970年代にはメニル・シュール・オジェ村にあるクロ・デュ・メニルと呼ばれる単一畑を購入します。
コート・デ・ブラン地区にあるこの村でクリュッグが買い求めた畑は、約1.8haしかない狭い畑で、これをクロと呼ばれる石垣で囲い、この中でたった一つだけの品種のブドウを育てます。
それが、白ワイン用に使われるブドウとしておなじみのシャルドネです。
クリュッグのクロ・デュ・メニルを名乗るシャンパーニュは、この畑で穫れたシャルドネ100％でできたものだけを言い、しかも、同じ年に収穫されたシャルドネしか使わないという徹底ぶりです。
そのため、クリュッグの中でも限られた数しか作ることができない、ヴィンテージものの最高級シャンパーニュとして知られています。
クリュッグのアッサンブラージュ、いわゆるブレンド技術は芸術であり、その味わいはまるで交響曲のようだとまで言われるほど素晴らしいものでありながら、単一種によるシャンパーニュ作りにも徹底的にこだわっているのは、クリュッグの哲学に何らかの理由があるのかもしれないと思うと、そこはかとないロマンを感じさせてくれます。

■最高級のクリュッグ
クロ・デュ・メニルはクリュッグのラインナップの中でも最高級の呼び声が高いとあって、毎年その出来には注目が集まります。
クリュッグクロ・デュ・メニル2000は、収穫前の嵐を生き延びたシャルドネから作られたとあって、非常に気品溢れるシャンパーニュとなっているのが特徴です。