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■ブレンデッドウイスキーはおよそ150年前に生まれた
ウイスキーの歴史は遡れば5世紀ごろに生まれたとされています。
アイルランドにキリスト教を広めた聖人であるパトリックは、ある時地中海にまで旅したことがありました。
そこで蒸留酒を見つけたパトリックはアイルランドに持ち帰り、民衆にこれを作ってみないかと持ちかけます。
この時に作られた蒸留酒が現在にまで受け継がれ、今日のウイスキーの元となったのです。
つまりウイスキーは大体1600年くらいの歴史があるのですが、その間に多くのウイスキーが生まれてきました。
その一つにブレンデッドウイスキーというものがあります。
麦で出来た原酒と穀物でできた原酒を混ぜ合わせたものなのですが、これが生まれたのは比較的最近のことで、1853年にまでさかのぼります。
発明したのはアンドリュー・アッシャーというスコットランド人でした。

■二つのウイスキーのいいとこどりを成し遂げたアッシャー
アッシャーがブレンデッドウイスキーを作る前のウイスキーはモルトウイスキーとグレーンウイスキーがシェアを分け合っていました。
モルトウイスキーは樽で作るため香ばしい匂いと深みがある味に仕上がりやすいのが特徴です。
一方、大量の麦を使って作らないといけないためコストがかかるのが難点でした。
グレーンウイスキーは麦に比べて原料はトウモロコシや小麦などを使うため廉価で仕上がるのがウリです。
とはいえ、モルトウイスキーに比べれば味わいが軽くなってしまうのが欠点として挙げられています。
アッシャーはこの二つの良いところを混ぜ合わせた、コストを極力かけずに味わい深いウイスキーが作れないかと悩んでいました。
そして、いっそモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜてしまえばいいのではないか、と考えます。
もちろん一つのウイスキーともう一つのウイスキーを単純に混ぜ合わせるだけでは美味しいウイスキーはできません。
試行錯誤の結果アッシャーはついにブレンデッドウイスキーを発明することとなりました。
そしてアッシャーがこのブレンデッドウイスキーを売り出すようになると、消費者は一斉に飛びつくこととなります。
安くておいしいウイスキーが飲めるということは何よりのセールスポイントでした。
なにより、蒸留に時間のかかるモルトウイスキーと、それほど時間のかからないグレーンウイスキーを混ぜ合わせることによって商品の供給がしやすくなるのはアッシャーにとっても好都合でした。
アッシャーのアイディアを見た他の商売人たちは遅れてはなるものかと自らもブレンデッドウイスキーの発明にいそしむこととなります。
これによってあっという間にブレンデッドウイスキーはスコットランドの主流となり、国外にも広まっていって、ウイスキーと言えばブレンデッドとなったのでした。

■日本のブレンデッドウイスキーの代表「響」
こうして世界的に広まったブレンデッドウイスキーは、当然ながら日本でも飲まれています。
日本で作られているブレンデッドウイスキーといえばサントリーから販売されている「響」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
特に最近発売されたばかりの「響メロウハーモニー」は好きでよく飲んでいる、という人もいらっしゃるでしょう。
こちらの響メロウハーモニーは熟成に熟成を重ねた原酒を多数混ぜ合わせており、一度飲んでみれば他のブレンデッドウイスキーとは一線を画していると実感できる仕上がりとなっております。
はちみつを焦がしたような甘い香りと、口当たりがさっぱりとした味のハーモニーに驚く人もきっと多いでしょう。
先程も申し上げたようにブレンデッドウイスキーはコストを削るために生み出されたものでした。
一方でこの響メロウハーモニーは労力や資金を惜しむことなくつぎ込んだ末にできた一品となっております。
ブレンデッドウイスキーは安上がりなものだけでなく、高級品としても楽しめる、ということを示したものと言えるでしょう。