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大麦本来の甘さと香ばしが楽しめるラフロイグの長期熟成ウイスキー

■年月をかけて熟成したモルトの旨味が堪能できる逸品

「ラフロイグ 15年 オールドボトル」は1990年代の市場に流通したウイスキーで、スコットランドの西海岸沖にあるアイラ島のラフロイグ蒸溜所が造りました。
ラフロイグとはゲール語で「広い入り江の美しい窪地（くぼち）」という意味で、アイラ島はスコットランドでも最も美しい島ともいわれます。
またアイラ島は日本の淡路島とほぼ同じ面積の中に、8つの蒸溜所と1つのモルト製造工場がある「ウイスキー島」とも呼ばれる珍しい島です。
シングルモルトウイスキーの「ラフロイグ 15年 オールドボトル」は、1980年の中盤以前に熟成されたモルトの味わいを残しているのが特徴となっています。
果実感あふれるフルーティな香りに甘さと滑らかな味わいのクリーミーさが柔らかい口当たりを生み出した仕上がりです。
フィニッシュにはスパイシーな後味が余韻を残す、まさに最後の一滴を飲み干してからも楽しみ続けることができるウイスキーです。

■ラフロイグが正露丸に例えられる理由

ラフロイグの個性の一つでもある独特の薬品臭は、まさしく正露丸の匂いだと感じる人も少なくありません。
しかしこの解釈はあながち間違っているとはいえず、正露丸に含まれるフェノールと呼ばれる成分がラフロイグのウイスキーにも関係しているのです。
フェノールは化学で使用する標準的単位「フェノール値（ppm）」のことを指していうこともあり、スコッチ・ウイスキーの原料の一つであるモルトをピートで乾燥させたレベルを測る数値となっています。
通常のウイスキーはフェノール値が25ppmあると中位のピートレベルとされ、40～50ppmあるものはかなりのピートで燻されながら乾燥された高位レベルとみなされます。
ラフロイグ蒸溜所が手掛けるウイスキーには40～45ppmのフェノール値があるため、スモーキーさが際立ったウイスキーが出来上がるのです。
しかしながらラフロイグの薬品臭を生み出しているのは海藻などが生み出すヨード分によるもので、一見フェノールとは関係がなさそうに思えます。
ところが正露丸は木（もく）クレオソートを主成分としており、実はこのクレオソートの中にフェノールが含まれているのです。
正露丸はグアヤコールやクレオソール、フェノールなどのフェノール系化合物を含んだ生薬で、成分にはブナやマツなどの原木を乾留（不揮発性固体を熱分解し、揮発性有機化合物と不揮発性物質成分に分解する操作）して得られる木（もく）タールを精製してできた液体を使用しています。
ラフロイグにもカスク熟成によって生じるタールが含まれているため、このタールとフェノールがラフロイグと正露丸の味を連想させる理由と考えられます。

■病みつきになる人が多いラフロイグ

そんな強烈な香りと個性を持つラフロイグですが、ウイスキーを飲み進めていくにつれて最後にはラフロイグにたどり着くともいわれます。
最初は個性の強いラフロイグは到底飲めないと感じた人も、ウイスキー通になるにしたがってウイスキーの味わいが分かっていくのでしょう。
段々とピート香の強いウイスキーをおいしいと感じるようになり、フェノール値の低いウイスキーでは物足りなく感じてしまう人も少なくありません。
そしてついにラフロイグにまで行き着き、そのおいしさを発見した人が虜になってしまうわけです。
事実ラフロイグは「アイラモルトの王」との称号を与えられるほど世界中に多くの熱烈なファンを持っています。
あのイギリス王室のチャールズ皇太子もラフロイグの虜になったお一人で、わざわざラフロイグ蒸溜所まで買い付けに訪れるほどです。
またあまりにもラフロイグが好きなために、ラフロイグが造るシングルモルトウイスキーに初めて「イギリス王室御用達認可証」を下賜しました。
そして「平和の楯」と呼ばれるチャールズ皇太子の「プリンス・オブ・ウェールズ」のマークが、ラフロイグ蒸溜所の壁とラフロイグのボトルに刻印されるようになりました。
年間で1,000本ものラフロイグをまとめ買いするチャールズ皇太子は、「ラフロイグ15年」が大のお気に入りです。