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貴腐ワインの権威 シャトー・ディケム2001

■シャトー・ディケムの中でも名高いシャトー・ディケム2001

ジロンド県ソーテルヌ地区の中で唯一の格付け特別一級に指定されたシャトーが「シャトー・ディケム」です。
ソーテルヌは、ボルドー州の南東にあるガロンヌ川の左岸に位置しており、支流のシロン川を挟んだ場所に産地が広がっています。
ブドウの品種はセミヨン80％、ソーヴィニヨン・ブラン20％です。
シャトー・ディケムは著名な貴腐ワインで、高価で取引されますが、中でも、2001年のシャトー・ディケムは、スーパーグレートヴィンテージの名にふさわしい出来栄えの最高傑作とされています。
世界的に権威のあるワイン評論家のロバート・パーカー氏が創刊した「ワイン・アドヴォケイト」で100点を獲得するなど、ワイン専門誌から高い評価を獲得しました。
琥珀色がまばゆく、ハチミツのように濃厚な甘さと適度な酸味が保たれた極上の味わいで、独特の芳香を持っています。
貴腐ワインとは、ブドウの果皮に感染するカビの一種であるボトリティス・シネレア菌によって、糖度の高い干しぶどうのようなブドウで造った、超甘口ワインです。
貴腐化させるには、特定の天候状態が1ヶ月以上必要となるため、簡単なことではありません。
また、ブドウ収穫には、一房ずつブドウの貴腐の状態を見極めて摘み取る必要があるため、人手と時間がかかります。
シャトー・ディケムは一本のブドウの木からグラス1杯分のワインしか造れないとされています。

■長い歴史の中で愛されてきたワイン

シャトー・ディケムはボルドー地方で最も古いシャトーの一つで、歴史の渦に巻き込まれてきました。
12世紀から15世紀にかけては、シャトーの地はイングランドの支配下にありました。
1453年、百年戦争により、フランスに支配が戻ると、ソヴァージュ家が土地の管理を任されるようになりブドウを栽培、収穫するようになりました。
1711年ソヴァージュ家は貴族の称号を手に入れ、ブドウ農園の全権限を得て、ワイン生産が本格的に始まります。
その後、フランス革命により、家長であったフランソワーズ・ジョセフィーヌが投獄される困難もありましたが、守り抜き、品質を高め続け、1826年にはブドウ栽培、ワイン製造の完全事業化を確立させました。
1787年には、後にアメリカ大統領となるトーマス・ジェファーソンが30ケース購入し、絶賛する手紙を送るという出来事もあったのです。
1855年、パリ万博博覧会の際に行われたワインの格付けで、シャトー・ディケムはボルドー、ソーテルヌ地区の白ワインの格付けにおいて「プルミエ・クリュ・シュペリュール（特別第一級）」の称号を獲得しました。
1999年より、シャトー・ディケムはLVMHグループの傘下に入っています。
2011年には、1811年のシャトー・ディケムのヴィンテージが一本955万円で落札されました。
丁寧に造られたシャトー・ディケムは長期熟成に向いており、100年以上も飲めると言われています。
シャトー・ディケムは品質にこだわっているため、納得する品質にできないと製造を中止することがあり、1910年、1915年、1930年、1951年、1952年、1964年、1972年、1974年、1992年、2012年は生産されていません。

■三大貴腐ワインの一つ

シャトー・ディケムは世界三大貴腐ワインの一つに数えられています。
ディケムのほかには、ハンガリーのトカイ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼとされているのです。
トロッケンベーレンアウスレーゼでは、モーゼル地方のエゴン・ミュラーが有名で、世界最高額の白ワインとして知られていたこともあります。
また、フランスのルイ14世はトカイワインに感動して「王者のワインにしてワインの王者」といったと言われます。
シャトー・ディケムはこれらの中でも、品質に特にこだわりを持ってワイン造りをしていることで有名で、長期熟成に向いていると言われているのです。