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芋で有名な佐藤酒造が手掛ける麦焼酎

■近年売り切れ続出の高まるウイスキー人気
NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」が、ジャパニーズウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝氏と、彼を献身的に支えた妻・リタさんによるウイスキー造りの奮闘の歴史をモデルに描かれたストーリーによって、高視聴率を得たのは記憶に新しいところです。
そのため、竹鶴政孝氏が創業したニッカウヰスキーのウイスキーに注目が集まり、さらにはほかのウイスキーにも波及し、いまやウイスキーの買い占めが起きて品薄になっている現象が起こっています。

世界の5大ウイスキー産地となった日本が誇るジャパニーズウイスキーは、竹鶴政孝氏とともに国産ウイスキー造りに奔走した、サントリーの鳥井信治郎氏の貢献も忘れてはならず、先人の努力によっておいしいお酒が飲めることに感謝しなくてはなりません。
ただ、日本人の体質には洋酒のウイスキーは合わないことも多く、どちらかというと同じ蒸留酒なら焼酎のほうが向いているとさえ言われます。
焼酎といえば一番人気は芋焼酎だけに、ウイスキーとは似ても似つかぬ味と思われがちですが、原材料が麦となると話は変わってくるのです。

■WTOが認めた原産地呼称の麦焼酎
麦を使った焼酎を造っていることで有名なのが長崎県の壱岐で、壱岐焼酎は原産地呼称を許されたブランド焼酎です。
16世紀には生産が始まり、壱岐焼酎における伝統的な材料の配分は、大麦2/3に米麹1/3の割合です。
九州は全体で焼酎という蒸留酒を造ってきた歴史から、麦といえば壱岐焼酎が圧倒的なブランド力となっていましたが、その後、大分県で麦麹を使った麦100%使った麦焼酎が造り出されました。

1960年代のことで、16世紀から造ってきた壱岐の焼酎に比べると圧倒的に歴史は浅いものの、麦100%であることに魅力を感じた人は多く、次第に麦100%が麦焼酎の中心へと変わっていきました。
しかし同じ麦焼酎でも味わいは異なります。
壱岐焼酎が米麹を使うのに対して、大分では麹まで麦となっているため、米麹の壱岐はどっしりした味わいに、麹まですべて麦の場合はさっぱりした味わいになるのが特徴です。

■ウイスキーと麦焼酎の共通点
原材料の話から、察しのいい人ならウイスキーの原料もまた麦であることに気付いたことでしょう。
どちらも同じ麦を原料にした蒸留酒であるため、ウイスキー好きの人が麦焼酎を飲んだとき、おいしいと感じる可能性が高いのです。
芋焼酎造りが盛んな鹿児島には、幻とまで言われるプレミア焼酎の3M、森伊蔵に魔王、村尾が焼酎ブームを巻き起こし、さらに伊佐美と佐藤も加わって、ブームをけん引しました。

「佐藤酒造」は創業して113年という歴史の中で培ってきた、大量生産はせずに手間暇かけて造る芋焼酎が大人気です。
佐藤酒造の名を冠した佐藤は、白麹と黒麹を使った白と黒の2種類のプレミア芋焼酎がありますが、3つある佐藤の内の一つは麦を使った麦焼酎となっているのですから驚かされます。

■芋はおいしすぎるけれど麦も捨てがたい
プレミア芋焼酎の造り手として、焼酎界では知らぬ者はいないとまで言われる佐藤酒造が手掛ける麦焼酎とはいったいどのような味わいなのか、芋焼酎に目がないという人も、佐藤の麦なら飲んでみたいという気になることでしょう。

佐藤酒造では、2007年にプレミア焼酎としてのラインナップである佐藤で、麦を使った「佐藤 麦焼酎 1800ml」を販売しました。
佐藤酒造が焼酎造りに使う仕込み水は霧島山系の水ですが、まろやかな味わいになる軟水ではなく、やや硬度のある中硬水のため、佐藤酒造の焼酎はどれもしっかりした厚みのある味わいに仕上がるのが特徴です。
麦焼酎にもこの硬めの水を仕込みで使っていることと、無ろ過で造られていることから、はっきりした香りや味わいで麦の風味が堪能できます。
佐藤酒造の造る麦焼酎は、焦がした麦から漂う香ばしさに、チョコやバニラのような甘い香りが相まって、コクの深い濃厚な旨味を感じられるのに、キレがよくて後味がさっぱりしています。
こうした味わいの表現はまさにウイスキーに通じるものがあり、ウイスキー好きこそ飲む価値があるプレミアな麦焼酎と言えるでしょう。