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西ハイランドの自然の恵みを受けた老舗蒸留所のシングルモルト・スコッチウイスキー

■逞しく、優しく、明晰な頭脳を持つロング・ジョンが作り出したベン・ネヴィス

スコットランド北部の大部分を占める高原地方ハイランドエリアにあるベン・ネヴィス蒸溜所（Ben Nevis Distillery）は、フォートウイリアム地区の中でも最も古い公認蒸溜所のひとつです。
スコットランド最高峰１３４４ｍを誇るベンネヴィス山の麓フォート・ウィリアムに位置する蒸溜所は、山頂から流れる清らかな雪解け水と豊かな自然に囲まれ、ウイスキー造りに適している恵まれた立地に１８２５年に設立されました。
創業者はトーモアをキーモルトに約３０種類もの原酒を用いたブレンデッドウイスキー「ロング・ジョン（Long John）」の生みの親としても知られているジョン・マクドナルドです。
身長が１９３ｃｍもある長身痩躯の出で立ちに由来して「ロング・ジョン」の愛称で親しまれたジョン・マクドナルドは、大きな身体と強靭な肉体、そして優しい心の持ち主で地元の英雄でもありました。
ジョン・マクドナルドがつくるスコッチウイスキーは「スコッチの巨人」と呼ばれ、いまも広く長く世界中で親しまれています。

■ニッカウヰスキーとの関係

世界に誇るジャパニーズウイスキーの数々を世に送り出してきたニッカウヰスキーがスコットランドに唯一所有しているのがベン・ネヴィス蒸溜所です。
「竹鶴」をはじめ「余市」や「宮城峡」など世界的な評価を獲得している日本の代表的なウイスキーメーカーがベン・ネヴィス蒸溜所を取得したのは１９８９年のこと。
日本の企業がスコットランドの蒸溜所を所有したのは、１９８６年に宝酒造がハイランド・シングルモルトウイスキーで知られるトマーティン蒸留所を買収してから２件目の事例です。
創業から幾度かオーナーが変わって歩んだベン・ネヴィス蒸溜所は買収の翌年となる１９９０年からモルトウイスキーの製造を開始して以来、現在に至るまで伝統的製法とニッカウヰスキーの技術を融合させてスコッチの製造を行い、アサヒビール株式会社が販売を行っています。
最近ではインディペンデント・ボトラーズからのリリースも増えており、シロップのようなやや人工的な甘さや南国果実を彷彿とさせるフルーティさを特徴に、ライトな飲み口で世界の愛飲家を魅了しています。

■初心者でも飲みやすい！ベン・ネヴィスのラインナップ

ベン・ネヴィスのラインナップでも中心的な位置づけのオフィシャルボトルが「ベン・ネヴィス １０年」です。
ベンネヴィス山の山頂付近にある湖から流れ出たオルト・ナ・ヴーリン川の水を仕込み水に、エールビール酵母を使用した伝統的なスコッチウイスキー製法でつくられたモルト原酒を１０年以上貯蔵して丹念にヴァッティングしたスタンダードなベン・ネヴィスは、ソフトでコクがあり複雑な風味が特徴的です。
マスカットや洋ナシのようなフルーティーな香りが印象的で、バニラやチョコレートのような甘さとドライフルーツの酸味が効いた味わいが口当たり柔らかく、アロマティックな風味が上品なデイリーウイスキーにぴったりのスタンダードな１本となっています。
１０年よりもさらに１５年以上の熟成を経たボトルが「ベン・ネヴィス ２５年」です。
こちらは２０１４年１２月１７日に他界されたニッカウヰスキーの二代目マスターブレンダー竹鶴威氏の功績を称え、２３５本のみLa Maison du Whisky向けに限定リリースされた貴重なウイスキーとなっています。
業績不振で１９８６年から操業停止していたベン・ネヴィス蒸溜所を１９９０年に再稼働させる際、陣頭指揮を執ったのが竹鶴威氏です。
ニッカウヰスキーの礎を築き、その味わいを世界レベルへと押し上げた巨匠ブレンダーを称えるにふさわしいと特別な逸品と言えるでしょう。
ベン・ネヴィスの原酒をキーモルトにブレンドしたブレンデッドウイスキー「ネヴィス・デュー」のラインナップもスッキリとした味わいで非常に飲みやすいのでおすすめです。