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■ポートワインでの追熟
アラン ポートカスク フィニッシュ５０度はアラン蒸留所でトラディショナルオーク樽で熟成をさせた後、ポルトガルの酒精強化ワインとして有名なポートワインを熟成させた後の空き樽で追加熟成をさせたこだわりのウイスキーです。
30年以上に渡ってウイスキー造りに情熱をささげてきた熟練の匠であり、現在アラン蒸留所でマスターディスティラーを務めるジェームス・マクタガートが日々、追熟状態を慎重にモニタリングして、ポートワイン樽での追熟期間を最適な状態に仕上げて、アルコール度数50%でボトリングしています。
カラーリングを行っていないのはもちろんですが、冷却ろ過もされていないため、ウイスキーが持つフルフレーバーが楽しめるとともに、ポートワインの樽で追熟されたことによる芳醇な香りや味わいが楽しめます。
ポートワイン樽で追熟したこだわりのウイスキー
ポートワインはワインとしてはアルコール度数が高い酒精強化ワインであるため、長い時を経ても風味や香りが劣化しにくく、芳醇な香りに包まれ、味わいは円やかであるのが特徴です。
アラン ポートカスク フィニッシュ５０度はこのポートワインの空樽で追加熟成をさせているため、ウイスキーのモルト原酒にポートワインの香りや風味がほのかに移ったような複雑かつ豊かな味わいを楽しむことができます。
色合いは透明感ある美しいブロンズで、香りはポートワインの残香を反映してかバニラやドライフルーツのような甘さと、ほんのりとシトラス系の爽やかな香りが楽しめます。
味わいは焼きリンゴや洋ナシ、プラム、シナモンなど、かすかに酸味を感じる濃厚な甘さでスイーツを食べているような幸せに包まれます。

■アラン島に奇跡的な蒸留所の復活
アラン ポートカスク フィニッシュ５０度が造られたアラン蒸留所は、スコットランドにある人口わずか5,000人ほどのアラン島にあります。
島に点在する13の村の1つである良質な水が採取できるロックランザに位置し、ブレンデッドウイスキーではなく、熟成させた原酒そのもののテイストにこだわったシングルモルトをメインに製造しています。
アラン島にある蒸留所は現在１つだけですが、その設立は1995年とそう遠い昔ではありません。
ですが、アラン島の歴史の中では過去にスコットランドの中でもウイスキーの聖地として名をはせた時代もありました。
もっとも、高額な酒税を逃れるための密造酒の産地として名を馳せていたのですが、アラン島から提供されるウイスキーは美味しいとヨーロッパでは評判となっていました。
アラン島は本土から離れた離島という立地で地理的に法権力から逃れやすいのと、ウイスキー造りに最適な名水があったことが密造の舞台に選ばれた理由です。
とはいえ、いかに美味しいと評価されても、密造が長く放置されるわけにはいきません。
50あまりあったといわれる蒸留所は次第に淘汰され、さらにアラン島で唯一、許可を得て運営されていた合法のラッグ蒸溜所も1837年に閉鎖され、アラン島でのウイスキー造りは終焉を迎えます。

■ウイスキーを愛する親子の挑戦
そのアラン島で158年ぶりに蒸留所を起こしたのが、長年にわたって世界的な酒造メーカーで辣腕をふるってきたハロルド・カリー氏です。
自分の理想的なウイスキー造りのためにスコットランド中を探し周り、ようやく理想の場所をアラン島に見つけます。
もっとも、理想はあっても資金がなかったのですが、彼の息子の1人が私募債を発行して、購入してくれた人に完成したウイスキーを優先的に譲り渡すという特典をつけて資金を集めました。
そして、もう1人の息子は良質な水に恵まれ、かつ、完成した製品の物流に最適な場所を探し出し、ロックランザの地にアラン蒸留所が開設されるにいたります。
アラン蒸留所の開設式には、スコットランド中から多くの人が押し寄せ、債権の購入者も含め、実に25,000名もの人によって拍手喝采のもとで船出したのです。