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甘くマイルドな棘のないバラ「フォアローゼズ」の魅力

■フォアローゼズの生まれ故郷はケンタッキー州

クオリティへの飽くなきこだわりと芸術的センスによって生み出される誇り高きバーボンウイスキー「フォアローゼズ」は、サラブレッドの精鋭が競う最高峰の競馬イベント「ケンタッキーダービー」で有名なアメリカ中東部に位置するケンタッキー州で造られています。
レキシントンにあるブルーグラス空港から西へ約４０キロメートル緑豊かな牧草地帯を走ると、そこにフォアローゼズ蒸溜所が姿を現します。
蒸留所までの道のりで目にする「ライムストーン」と呼ばれる石灰岩層、これがバーボンの命とも言える上質な仕込み水を作り出す大事な存在。
幾重にもつらなるライムストーンの天然のろ過層を通り抜けて雑味がなくなったクリアな水は、カルシウムやカリウムなどミネラル豊富で鉄分を一切含まず、発酵の際に生じる「酸」を抑える効果もあります。
ウイスキーの個性を決定付ける最大要素のピュアな湧水は「ライムストーンウォーター」と呼ばれ、上質なバーボンを生み出すカギとなっているのです。
ケンタッキーバーボンならではと言えば、熟成ピークの早さも忘れてはいけません。
ジャパニーズやスコッチに比べて樽貯蔵熟成の期間が短い理由、それはケンタッキーという地の激しい寒暖差が影響しているから。
春夏秋冬の四季はあれど、夏は平均気温３０度以上の暑さが続き、冬になるとマイナス２０度まで冷え込むほど年間の気候に大きな差があり、他のウイスキー産地と比べて湿度が低く乾燥していることが、実は理想的な熟成を促しているのです。
フォアローゼズの美しい琥珀色、そして味と香りは、ケンタッキーという地ならではの厳しい環境条件があって生み出されているんですね。

■１３０年以上の歴史を誇るフォアローゼズの歩み

フォアローゼズの創業は、１８８８年に遡ります。
創始者ポール・ジョーンズ・ジュニアが設立した同名の蒸留所で製造されたストレートバーボンは、４輪の薔薇にまつわる運命的な愛のエピソードから「フォアローゼズ」と名付けられ、永く愛され続けるブランドとして産声をあげました。
ポールの甥たちを筆頭に親族で広く展開したフォアローゼズは順調な立ち上がりで人気を集めますが、世界的な大戦の影響もあり、１９２０年にはアル・カポネらの暗躍で知られるウイスキーの暗黒期、アメリカの禁酒法時代に突入。
それまで３,０００軒近くあった蒸溜所のほとんどが稼働停止や廃業に追い込まれる中、フォアローゼズは「薬用」としての製造を許された数少ない蒸溜所の一つに認められ、希少な生産者として存続していきます。
１９３３年に禁酒法が解かれ、戦争も終わってアメリカに再び「自由」の空気が戻るとウイスキーも人気を取り戻し、フォアローゼズも人々からの支持を得て広く躍進を遂げます。
迎えた１９４３年にはシーグラム社の傘下に下り、１９４６年にアンダーソン郡のオールド・プレンティス蒸留所にフォア・ローゼズのラインを移行。
シーグラム社の主力蒸留所だったジョセフ・Ｅ・シーグラム蒸留所が閉鎖された１９８２年になると、フォアローゼズの生産はオールド・プレンティス蒸留所に集約されます。
通信、流通などの市場環境の変化に加えて各地での人気も高まっていたフォアローゼズは、ウイスキー人気の高いヨーロッパをはじめ日本でも発売が開始されるなど本格的な世界進出を果たし、現在に至るまで世界中のウイスキーラバーに華やかな香りと時間を届けています。

■ほのかな花の香りと優しい味わいはバーボン初心者にもおすすめ

フォアローゼズの原料となるコーンは、契約しているインディアナ州の農家から直接買い取り、その中からクオリティの高いものだけを厳選し使用しています。
そのため、フォアローゼズから一般的なバーボン特有のトウモロコシ臭やカビ臭を感じることはありません。
原料となるコーンやライ麦にカビ香があった場合には、原酒の香味に移るため選別して返品しているのだとか。
厳しく検査した素材で華やかな香りを守っているのは、人の手による丹念なチェックとディスティラーの感性です。
長年培った技術と経験を生かして仕込まれた原料は、熟練した職人が見守る４日間の発酵を経て１０数メートルの高さにそびえる連続式蒸溜機「ビアスチル」でスタートする２度の蒸留を行い、寒暖差が厳しい気候の下、内側をバーナーで焦がしたアメリカン・ホワイトオークの新樽に詰めて熟成されます。
熟成のピークを迎えてボトリングされたフォアローゼズは、「棘のないバラ」とネーミングされるほどマイルドな仕上がりに。
コーンや樽に由来する華やかな香りと花や果実を想わせるフルーティで柔らかい味わいが特徴です。
「フォアローゼズ バーボン」をはじめとするスタンダードな銘柄は、リーズナブルな価格で入手できるのもポイント。
気軽にトライしやすい手頃な値段とクセが強すぎない飲みやすさは、バーボン初心者でも受け入れやすいのではないでしょうか。