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かつての歴史に思いを馳せるウイスキー

■アラン島にある20世紀最後の蒸溜所

スコットランドにあるアラン島では、キンタイア半島と南部高地との間に挟まれており、入り江の中にある最も美しい島のひとつです。
ロイヤルアイランドと呼ばれ、かつては王室の避暑地であったと言われています。
スコットランドのミニチュアのような島と呼ばれており、かつてはウイスキーの生産が盛んだった地域でした。
最盛期には50以上のウイスキーの蒸溜所があったと言われています。
しかし、徐々に数を減らしていき、1836年には全く存在しなくなりました。
1995年にアラン蒸溜所が新設されたことによって、160年ぶりにウイスキー生産地としての名を知らしめることになったと言われています。
アラン蒸溜所は、20世紀最後に造られた蒸溜所として、観光名所としても有名になりました。
島の最高峰であるゴート・フェル山から湧き出た、ロッホ・ナ・ダビーの水を使用してウイスキーが造られています。
また、原料の大麦はスコットランドでも有名な産地であるアバディーンシャーのものを使用しており、単式蒸溜器を使用しているのが特徴です。
また、熟成にシェリー樽やワイン樽を使用していると言われていますが、それ以外にも独自のフレンチオークの樽も使用されています。
蒸溜されているのはシングルモルトウイスキーで、お土産に買っていく人も多いお酒です。

■スマグラーシリーズとは

かつてアラン島は密造酒の産地として知られていましたが、現在ではアラン蒸溜所以外にはありません。
中には村全体で密造酒を造っていたところもあり、収税官の目を盗むという危険を冒してでも多くの人が求めたことから、荒々しくも良質なお酒が造られていたことが分かります。
「アラン・ウォーター」と呼ばれた、かつての密造者たちの思いを馳せるように、アランでは3部作のウイスキー、スマグラーシリーズを販売しました。
3部作それぞれの大きな特徴として、密造酒であることを隠せるように、かつて本の中にお酒を入れて運ばれた歴史を生かし、本をかたどったケースに入っているのが特徴と言われています。
1部目を「イリシット・スティルズ」(密造酒のために使われた違法な蒸溜器)、2部目を「ザ・ハイ・シーズ」、第3弾を「ザ・エクサイズマン」(収税官)として知られている、数量限定で造られたお酒です。
3種類ともそれぞれ違う本に隠されているのが特徴で、いたずら心をくすぐるお酒と言えるでしょう。
ノンピート麦芽を使用したクォーターカクスと、マディラカクスが使われており、マネージャーの手によってえりすぐりのお酒を混ぜ合わせて完成しました。
飲む人だけでなく、パッケージを見るだけでも楽しめるのが特徴と言えるでしょう。

■ザ・エクサイズマンの特徴

18世紀から19世紀にかけて収税官の目を盗んで造られていたザ・エクサイズマンは、当時貯蔵に使われていたマデイラの樽に敬意を表してマディラカスクの原酒が使われています。
世界で8700本だけ造られており、日本に入ってきているのはわずかに720本となっているのが特徴です。
アルコール度数は56.8%、かなり強めですが盛るとウイスキーが好きな人にはたまらないお酒となっています。
香りは蜂蜜と海岸の風を思わせるトップからリンゴ、バニラ、トーステッドオーク由来のスパイスと続くため、かぐだけで楽しめると言われているお酒と言えるでしょう。
味もバニラビーンズを含んだクリームからをスタートとし、リンゴやみかん、洋ナシといったフルーツ、とフィーやフルーツケーキのような芳香に変化していくのが、飲む人にとってはたまらないものと言われているお酒です。
そしてカラメリゼしたレモンピールが最後になり、長い余韻を感じさせるお酒として仕上がっているのが特徴です。
かつてこの地方で造られた密造酒は醸造する時間を惜しんで利用者の元に運ばれましたが、芳醇な味わいに仕上がるように造られているのが特徴となっています。