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ウイスキーについて知ってから飲むと味わいもまた格別

■ウイスキーの種類

ウイスキーというと、イギリスではスコッチ、アメリカではバーボンと呼ばれるため、どちらが正しいのか判断しかねるという人も多いのではないでしょうか。
ウイスキーを種類別に分けると、全部で9種類にもなります。
それぞれに異なる特徴があるため、ウイスキーの種類を知ってから飲むと、よりしっかりと味わえることでしょう。
一番に名前が挙がるのはモルトウイスキーで、これは大麦麦芽のみを原料に使い、単式蒸溜という方法で蒸溜したウイスキーのことを言います。
ウイスキーは原料と蒸溜方法によって種類が変わるのが特徴で、トウモロコシなどの雑穀を複数用い、連続式蒸溜で造った場合は、穀物を意味するグレーンウイスキーになるといった具合です。

■スコッチウイスキーの歴史

アランを含むスコットランド・ウイスキー、通称スコッチは、6つの有名な産地で造られているのが特徴です。
とはいえ、この6つの産地はスコットランド内の蒸溜所であり、アラン・ウイスキーが造られているアラン島は含まれていません。
それというのも、スコッチウイスキーの歴史において、アラン島は特別な存在だからです。
何が特別だったかというと、主に密造酒を造っていたためで、古くからウイスキーの蒸溜は行われていたものの、政府からお酒を造っていることを隠すには、スコットランドから離れた小さな島であるアラン島は密造酒づくりには最適な島でした。
美しい湧き水が大量にあり、夏は涼しく冬の寒さもそれほど厳しくないといったところが、ウイスキーの醸造や蒸溜には大変適しているのがアラン島の特徴です。
当時のスコットランドは、イングランドに併合されたことによって高額の酒税をかけられ、何とかして税金逃れをしようとした蒸溜所が、最盛期には大小合わせて50もの蒸溜所がアラン島にはあったのです。

■合法蒸溜所の閉鎖と再びの設立まで

アラン島における合法の蒸溜所であったラッグ蒸溜所は1836年に閉鎖され、その後、1995年にアラン蒸溜所ができるまで、長く合法の蒸溜所ができることはありませんでした。
長くウイスキー業界に携わってきたハロルド・カリー氏がプライベートな蒸溜所を持ちたいとスコットランド内を探したものの、ウイスキーづくりに適した場所はすでに埋まっていたために、アラン島に目をつけたことによって、実に160年余りの時を経て、アラン島に再び合法蒸溜所を造り出すことになったのです。
アラン島にできたアラン蒸溜所が造り出すアラン・ウイスキーは、わずか20年ほどしか歴史がないものの、このような短期間の歴史しかないとは思えないほど上質のウイスキーであることから、たちまちスコットランドウイスキーの中でも大人気のスコッチとなりました。
設立者がウイスキーの知識に長けていることを考えれば、これは不思議でもなんでもないのかもしれません。

■初代マネージャーの実験成功で生まれたウイスキー

アラン蒸溜所の初代マネージャー、ゴードン・ミッチェル氏は、2005年、ピーティーなウイスキー製造に取り掛かろうと、試験的な実験をアラン蒸溜所で行いました。
アイラ島にあるボウモア蒸溜所のシングルモルトウイスキーの樽を払い下げ、それでノンピートのアランモルトの熟成に着手したところ、アランとアイラのコラボとも言えるピーティーな味わいのウイスキーが生まれたのです。
これが、エクスペリメンタル アラン 1996年です。
スコッチは、ピートによるスモーキーなフレーバーが特徴ですが、アランのウイスキーはこのピート臭を抑えているため、初心者にも飲みやすいウイスキーとなっています。
エクスペリメンタル アラン 1996年は、ピーチをはじめ、洋ナシやパパイヤなどのフルーティーな香りと、蜂蜜のようなしっとりした甘さが味わえるため、非常に美味しいウイスキーに仕上がっています。
アランとアイラの良さを兼ね備えた異色のウイスキーとして、ぜひ味わってみたい逸品と言えるでしょう。