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大人気ウイスキーの歴史を紐解くと

■ウイスキーの歴史は700～800年

ウイスキーの歴史はさぞかし長いだろうと思いきや、今からさかのぼること700～800年前とされています。
日本で本格的な日本酒の作り方が確立したのが奈良時代ですので、日本酒の歴史は1300年以上になります。
さらに、弥生時代には稲作をしていたことからお米を使った日本酒の源流を生み出していたと考えると、紀元前4世紀までさかのぼることになり、ウイスキーに比べて長い歴史を持っているお酒だということが分かります。
そんな日本酒と比較すると、ウイスキーの700～800年という歴史は非常に浅いと感じられることでしょう。
今や樽による熟成を上回る需要から確保が難しいほど人気のお酒になっていますが、その歴史を紐解くと、短い中にも幾多の変遷があったことが分かり、非常に興味深く感じられます。

■元々は無色透明だった

ウイスキーの魅力のひとつに、琥珀色の美しい液体という要素があります。
けれど、造られ始めた700～800年前は無色透明でした。
琥珀色をしたウイスキーに限定するならば、その歴史は200～300年とさらに短いものとなる理由は、税にあります。
日本でもそうですが、どこの国でもお酒に税金をかけやすいのは万国共通で、ウイスキーの蒸溜をいち早く確立したスコットランドがイングランドに併合されたことが、琥珀色のウイスキーを生み出す結果になりました。
元々スコットランドで造られていたウイスキーは蒸溜してすぐに飲む、日本でいうところの焼酎と同じ蒸留酒だったのですが、イングランドから高い酒税をかけられたことで、スコットランドの人たちが税金の支払いを免れるため、ウイスキーを樽の中に隠すようになりました。
これが、蒸留酒に熟成という期間を与えるきっかけとなったのです。

■密造が生み出した琥珀色のお酒

スコットランドで蒸留酒を造っていた人たちは、役人の目からお酒を隠すために手近な樽に入れて、山の中深くに隠すようになりました。
いわゆる密造で、人里離れた山奥に隠すには重い大きな樽を運ぶのに時間がかかり、結果的に樽の中で熟成が進んだわけです。
こっそりと隠した樽の中のお酒が、これまで飲んでいた無色透明ではなく琥珀色になって出てきた時の驚きたるや、かなりのものだったと推測できます。
とはいえ、美しい液体から立ち上がる芳しい香りは、飲むのをためらう理由にはならなかったことでしょう。
密造がこんな素晴らしいお酒を生み出したことに、高額な課税に対する反感が少しは和らいだか、あるいは逆にもっと密造の度合いを高めたかは分かりませんが、偶然の産物とはいえ琥珀色のウイスキー誕生が密造にあったというのは、いつの時代もお酒と税が切っても切れない関係にあることを改めて思い知らせてくれます。

■アラン蒸溜所の設立

できるだけ役人の目から多くのお酒を隠すには、スコットランドの南西にあるアラン島は絶好の場所でした。
合法のラッグ蒸溜所もありましたが、ほとんどが密造酒を造るための蒸溜所だったのです。
合法のラッド蒸溜所が惜しまれつつ閉鎖された1836年以降、1995年まで合法の蒸溜所はありませんでしたが、シーバスブラザーズの代表を務めるなど長年にわたってウイスキー業界に携わってきたハロルド・カリー氏によって、再び合法のアラン蒸溜所が設立されました。
ロックランザに造られたアラン蒸溜所は、ハロルド・カリー氏のプライベートな蒸溜所を持ちたいという願いから造られたのですが、今ではウイスキー評論家がスコットランドで最も美味しいウイスキーとしてアラン・ウイスキーの名を挙げるほど、確かなウイスキー蒸溜技術を持っています。
1995年の設立であることを考えると、わずか20年ちょっとですが、さすがはウイスキー業界に長年にわたって携わってきただけのことはあります。

■アランラバーズチョイスの味わいとは

そんなアランウイスキーの中で、2001年に造られたのがアランラバーズチョイスです。
アランならではのクリーミーでフルーティーな香りと、同じくクリーミーかつフルーティーな味わいの中に感じられるクリアなテイストは、まっすぐなウイスキーづくりにこだわるアランならではのヴィンテージが味わえる逸品です。