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世界初の宇宙での熟成実験を記念して発売されたアードベッグ ガリレオ

■世界初の宇宙実験を記念した珍しいウイスキー
アードベッグ ガリレオは世界初となる宇宙での熟成実験を記念して発売された限定商品で、宇宙とのつながりにちなんで近代天文学の父ガリレオの名前を冠したものです。
2012年4月にエジンバラ国際科学フェスティバルにおいて、宇宙での熟成に関する実験を行うことが発表されたのを記念して発売にいたりました。
その約半年前である2011年末、 テキサス州ヒューストンで宇宙実験を手がける米国企業のナノラックス社からアードベッグ蒸留所は相談を受けたのです。
そしてアイラ島の蒸留所で作られた原酒から採取した微量有機化合物の提供を行い、2年をかけた実験に協力することになりました。
有機化合物と焦がしたオークとの相互作用を検証することを目的にした熟成実験であり、地球上と宇宙ステーションとの両方で同じ実験を同時並行で行い、比較をしながら検証を行うという実験です。
宇宙ステーションにおける微小重力下と地球の通常の重力下で熟成の工程を観察することで、複雑な構造を持つ香り成分であるテルペンの分子メカニズムの解明などが目指されています。
この実験によって、アードベッグが醸し出す独特の風味に秘められたメカニズムの解明や、無重力に近い条件下で果たして熟成が進むのかなど興味深い実験データが得られると期待されました。

■アードベッグ ガリレオとはどんなウイスキーなのか
アードベッグ ガリレオはアードベッグのウイスキーの一翼を担う成分が宇宙へと羽ばたいていったことを記念して限定発売されたものであり、残念ながら宇宙で熟成されたものではありません。
とはいえ、宇宙に行くことに憧れを抱いている方が多いなかで、宇宙に飛び立ち、宇宙空間で活躍しているのと同じ成分から造られる原酒でできたウイスキーを飲むというのはワクワク感も感じるのではないでしょうか。
アルコール度数は49度で、樽出しの風味をそのまま楽しめるノンチルフィルター製法になっており、発売当時の希望小売価格は11,025円（税込）でした。
1999年ものの多彩な原酒を特別にバッティングしており、個性の異なる様々な原酒が絶妙に絡み合い、甘くスモーキーな口当たりが楽しめます。
際立つ特徴を与えているのが、シチリアのマルサラワイン樽で熟成した原酒なのではないでしょうか。
バーボン樽で熟成された最高のビート感とスモーキーさに優れたアードベッグに、個性がとても豊かなシチリアのマルサラワイン樽で熟成した原酒を合わせたことで、男性的なアードベッグにフルーティーな芳香と円やかな口当たりを与えています。

■風味や味わいの特徴
アードベッグ ガリレオはディープな琥珀色が特徴で、香りはススやタールのような泥臭い香りからスパイシーなトフィーやバターが香るポップコーンへと変化していきます。
そのなかにバナナやマンゴー、ライチのような完熟したトロピカルフルーツの香りがほのかに感じられることでしょう。
少量の水を加えるとスッとしたミントのような、フレッシュで心地いい香りと、波しぶきを思わせるかすかな潮の香りが立ち上るのも魅力です。
味わいはコシを感じるオイリーでまとわりつくような口当たりに、甘くクリーミーなファッジやクリームを合わせたようなスモーキー感のあるドライアプリコットのような複雑な味わいと、完熟バナナにシナモンやクローブ、アニスシードなど香り高くスパイシーさも漂ってきます。
スモーキーながら甘さを感じる余韻が口の中で長く続いていき、フルーツの豊かな味わいが残るフィニッシュの心地よさも特徴といえるでしょう。

■アードベッグの数奇な運命
アードベッグ蒸留所はアイラ島南部の海沿いの小さな岬に1815年に設立された歴史ある蒸留所ですが、1980年代には閉鎖を余儀なくされるなど、何度かの経営難など閉鎖の危機に見舞われました。
1997年のグレンモーレンジィ社に買収されたことで、ウイスキー造りの灯を絶やさずにすみ、伝統ある原酒も受け継がれるとともに、2012年には宇宙へ行くという未来と繋がる実験にも参画できたのです。