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スコットランドのウイスキーを語るうえで欠かせない島

■スコットランドはいくつもの島からなる島国
日本も北は北海道から南は沖縄まで、さまざまな島によって構成されている島国ですが、イギリスも4つの異なる島国で構成されています。
イングランド、ウェールズ、アイルランド、スコットランドです。
その中でもアイルランドとスコットランドはウイスキーの産地として知られており、スコットランドだけでも9つもの島に分かれ、それぞれでウイスキーの蒸留が盛んに行われていました。
かつて大英帝国と呼ばれたイギリスでは、常に権力争いの戦いが行われていたことを歴史が証明しています。
イングランドはもっとも面積が広いことから、勢力も強く、大英帝国の中では中心的存在でした。
そのため、アイルランドやスコットランドにしばしば攻め入り、時には支配することもあり、そんな戦いの歴史の中から現在の美しい琥珀色をしたウイスキーが生まれたのは、偶然の産物といってもいいでしょう。
イングランドではビールやワインが好んで飲まれたのに対し、アイルランドやスコットランドでは、盛んに栽培が行われていた大麦を使って蒸留酒を作っていました。
そのため、イングランド人にとって小さな島国であるアイルランド人やスコットランド人が飲む酒は田舎の酒であり、イングランドに広まることはほとんどなかったのです。
これが、ウイスキーの源流といえます。

■スコットランドにあるアイラ島
野鳥がたくさん生息している地として知られるスコットランドのアイラ島は、インナー・ヘブリディーズ諸島の南端にあります。
主な産業はキラロウ教区教会、別名ラウンドチャーチとして知られる中心地・ボウモアにおける観光と、モルト・ウイスキーの蒸留です。
アイラ島は人の手があまり入っていないことから、スコットランド島の中でも特に自然が豊かで、最も美しいと言われています。
そんなアイラ島は小さな集落ごとに人が集まって暮らしており、それ以外の場所はピートの湿地帯となっています。
ピートはウイスキー製造において重要な材料ですので、アイラ島でウイスキーの蒸留が盛んに行われたのも納得できます。
ピートがたくさん育つこともあり、アイラ島で作られるスコッチ・ウイスキーは、ピートによるスモーク臭が特徴であるスコッチ・ウイスキーのなかでも、とりわけピート臭が強い「アイラ・モルト」として知られているのが特徴です。
ピートはスモーキーさとともに、潮の香もすることから、この独特の味わいによって、好き嫌いがはっきり分かれるウイスキーとなっています。

■特に個性が強いアードベッグ蒸留所
2016年の時点で、アイラ島には8つの蒸留所があり、このなかでもとりわけ個性的なモルト・ウイスキーを作っているのが、アードベッグ蒸留所だと言われています。
アードベッグとはゲール語で「小さい岬」という意味で、その名の通り、岬のそばに立っている蒸留所です。
このアードベッグ蒸留所が作り出すモルト・ウイスキーは、よく言えばアイラ島で作られるモルト・ウイスキーのなかでもとりわけ個性が強く、悪く言えばクセが強すぎるということになるのが特徴といえるでしょう。
ただ、モルト・ウイスキー好きにとっては「知っていて当たり前」といえるほど有名な蒸留所だけに、飲んでみる価値はあるといえます。
アードベッグが時に「強烈すぎる個性」と表現されるのは、ピートによるスモーキーかつビートのある香りが強いことと、それと相反するかのようなフルーティな甘みが加わることによって、非常に強いクセと個性を生み出すところです。
とはいえ、その強いクセと個性のとりこになる人も多く、毎年販売される限定ボトルは即完売という人気の高さです。

■ただでさえ高いレベルがさらにヒートアップ
アイラ島のアードベッグ蒸留所が作り出すモルト・ウイスキーは、強いピート臭が特徴であることは先に述べましたが、このピートをさらにレベルアップされて限定発売されたのが、「超新星」という意味を持つ「スーパーノヴァ」です。
2009年、2010年と販売し、非常に人気が高かったことから、アードベッグが行う宇宙実験を記念し、2014年には「スーパーノヴァ2014」が販売されました。
明るく輝くゴールドな色合いと、長く続く力強い余韻は、超新星という言葉が示す通りのインパクトの強さとなっており、まさにアードベッグにしか出せない味わいのモルト・ウイスキーとなっています。