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新進気鋭の蒸溜所が生み出した熟成モルト

■新しい蒸溜所として期待が高まるアラン蒸溜所の熟成モルト

アラン蒸溜所はアラン島に蒸溜所が消滅してから160年の時を経て、1995年に新しく誕生しました。
2015年で創設20周年を迎えましたが、熟成に歳月が必要なウイスキー造りの拠点としてはまだ歴史は浅い蒸溜所にあたります。
アラン シングルモルト14年は発売当時の歴史においては、アラン蒸溜所最長の熟成年数を誇っていました。
香りはシトラスやドライフルーツのような甘酸っぱさや蜂蜜にバニラ、トフィーのような甘やか差、アイランド蒸溜特有の潮風が漂う塩気も感じられます。
味わいも塩気を伴うアップルトフィーやオレンジチョコレート、ヘーゼルナッツや紅茶ケーキのような塩気と甘さ、甘酸っぱさや香ばしさが見事なハーモニーを奏でています。
グラスに注ぐと美しいサンセットコッパーのカラーが楽しめ、ストレートはもちろん、水割りやハイボールにも最適なオールラウンダーと言えるでしょう。
余韻はシナモンスパイスや、ほのかな塩気の中に甘いフルーツが感じられます。
あらゆるシーンにマッチするコストパフォーマンスも高い、使い勝手のいいボトルと言えるかもしれません。

■アラン島に蒸溜所が復活したわけ

アラン島はスコットランドの南西に位置し、スコットランド本土とキンタイア半島に挟まれた穏やかな内海に浮かぶ島です。
クライド湾で最大の島で、現在では夏のリゾート地として人気があります。
遠い昔は島民以外の出入りも少ない荒涼地であったことから、密造ウイスキー造りの隠れ家的産地となった時代がありました。
密造酒は隠語でアランの水と呼ばれていましたが、その美味しさは群をぬいており、密造酒界のブルゴーニュとさえ称えられたほどです。
その後、1837年には唯一合法であったラッグ蒸溜所が閉鎖され、アラン蒸溜所ができるまで160年の歳月が流れました。
アラン島に目を付けたのが有名な酒造メーカーでマネジメント力を認められていたハロルド・カリー氏です。
いつかは自分の蒸溜所を持ちたいと考えていた彼は、70代にして自分の夢を叶えるために動き出したのです。

■アラン島のロックランザが選ばれたわけ

アラン蒸溜所はアラン島の中のロックランザという地域に位置しています。
この土地が選ばれたのはどうしてでしょうか。
それはウイスキー造りに適した良質な水が豊富に採取できることにありました。
イーサンビオラック川がバラリー橋の下をくぐるすぐ近くの地域であり、上流域は交通が不便なので、清涼な水が汚染される心配もないと判断されました。
蒸溜所の建設や運転資金などの調達のために、ハロルド・カリー氏の息子の発案によりアラン・ボンドの販売によるファンドレイジングのキャンペーンがスタートします。
アランバナー紙が蒸溜所建設に至る経緯を細やかに報道してくれた後押しもあり、アラン島の島民においても蒸溜所建設を望む人が増えていきました。
蒸溜所ができることで国内外からウイスキー愛好家がビジターセンターへと訪れ、島に経済効果をもたらすと期待されたのです。
1994年12月16日に蒸溜所建設に向けて本格的な工事が始まるとともに、アイルランドのクーリー蒸溜所で蒸溜所長を務めていたゴードン・ミッチェルを蒸溜所長へとヘッドハンティングにも成功します。
そして、1995年6月29日の木曜日に最初のニューメイクが蒸溜されるに至りました。
翌日の金曜日にはアラン蒸溜所初めての樽詰めが実施されたのです。
1995年8月17日に公式開業を遂げますが、その時すでにスコットランドやイギリスなどで多くの期待の目がアラン蒸溜所に注がれていました。
ビジターセンターの着工も進められていたものの、まだプレハブの仮設建物に過ぎなかった場所にその年なんと25,000人以上もの人々が足を運んだのです。
そして、1997年8月9日のビジターセンターの正式オープンにはエリザベス女王の除幕式が執り行われるなど、国の期待も背負った華やかなものとなったのでした。