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密造酒のブルゴーニュと称されたアラン島を彷彿させるボシー

■年1回の限定リリース

アラン クォーターカクス ザ・ボシー バッチ2は1995年に創設されたウイスキーの本場スコットランド新星の蒸溜所であるアラン蒸溜所から、年に1度リリースされるウイスキーです。
年1回の数量限定販売で、今回が2度目となるためバッチ2と命名されています。
ボトリング年は2016年で総本数は世界で12,000本の販売となりました。
ファーストフィルのバーボンバレルを用いて6年間かけて熟成させた後、約125Lの小さめサイズのアメリカンオーク樽に移し替えて18か月以上追加熟成しをさせています。
追熟は小樽で行われるために熟成スピードも速いため、フルボディに仕上がっているのも魅力かもしれません。
そのため、アルコール度数も55.2%と高く、パンチが感じられます。
手間暇をかけて熟成させ、バーボン樽の香りとアメリカンオーク樽の香味が複雑に交じり合った原酒を、加水などを施さないカスクストレングスでボトリングされているのです。

■カラーや風味の特徴

カラーはアンティークゴールドでグラスに注ぐと、美しく輝きます。
香りはアラン蒸溜所の特徴でもあるシトラスからスタートし、バーボン樽特有のシナモンやバニラのような甘やかな香りやスパイス感も感じられるのが特徴的です。
味わいはパイナップルのようなシトラス感やトロピカルフルーツを思わせる味わいから、リンゴのタルトやトーストしたブリオッシュのような濃厚なスイーツテイストが次第に舌を包み込んでいきます。
後味としてはシトラスからスパイス、フローラルへと優美に続いていき、長い余韻が楽しめるでしょう。

■ボシーとアラン蒸溜所開設までの歴史

ボシーとは18世紀から19世紀にかけて政府や国の規制に隠れて密造酒を造っていたが、人目に付きにくい渓谷の奥に設けた密造酒用の小屋を意味しています。
アラン蒸溜所があるアラン島はその昔、密造酒の島となっていた歴史があるのです。
しかも、密造酒にありがちな質の悪いウイスキーではなく、密造酒のブルゴーニュと称されたほどの高品質なウイスキーとして当時の評判だったという歴史が残されています。
その当時、完成した密造ウイスキーは見つからないように小さな樽に詰められて運ばれていったといいます。
そんなアラン島の歴史をイメージさせる小樽での追加熟成を行い、歴史の経緯とアラン島を象徴したウイスキーがアラン クォーターカクス ザ・ボシー バッチのシリーズと言えるかもしれません。

■密造酒の規制で途絶えたウイスキー造りを復活

高品質な密造酒造りで栄華を極めた歴史も持つアラン島ですが、その後に規制が厳しくなり、密造酒の小屋は全てなくなりました。
さらに1837年にはアラン島唯一の合法的なウイスキー蒸溜所も姿を消してしまったのです。
つまり、ウイスキー造りに適した環境や気候を有していたスコットランドの美しい島は長くウイスキー造りが途絶えていたのです。
そこに160年ぶりに創設されたのがアラン蒸溜所でした。
イギリスやフランスの有名酒造メーカーでマネージング・ディレクターを歴任してきたハロルド・カリーが、理想のウイスキーを造るために自分の蒸溜所を創設したいと考え、この場所を選んだのです。
長年抱いてきた自分の蒸溜所という夢を実現するとともに、かつてスコットランドで最高品質のウイスキーを密造していた歴史を持つアラン島のウイスキーを再現すべくアラン蒸溜所が稼働を始めました。
クラウドファンディングな方法でアラン蒸溜所の取り組みに期待する投資家から資本を調達している独立資本なので、ブレンド用の原酒造りをメインとすることなく、シングルモルトとして楽しむためのウイスキー造りをしている、ウイスキーの本場スコットランドでも数少ない蒸溜所です。
小規模な設備なので生産量もまだ限られているゆえに希少性が高く、華やかでエレガントなシングルモルトが魅力の、これからも注目と期待に値する蒸溜所と言えるでしょう。