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創立者の意思を受け継いだ蒸溜所マネージャーがボトリングしたアラン1997について

■歴史の浅いアラン蒸溜所で生まれたウイスキー

アラン蒸溜所は歴史の浅い蒸溜所ですが、世界的な銘酒と言われているウイスキーは産生し続けているウイスキー蒸溜所です。
アラン蒸溜所はクライド湾の中で一番大きな島であるアラン島の中にあります。
海に囲まれた自然豊かな環境の中、この島ではかつて50以上の蒸溜所が存在していたのです。
かつては盛んに行われていたウイスキーづくりも160年間という長い年月、この島では行われていませんでしたが、1995年に新たにアラン蒸溜所が誕生しました。

■現在の琥珀色のウイスキーになったのは密造対策の影響でした

世界5大ウイスキーといえば、スコッチウイスキーもその一つです。
スコッチウイスキーは薬酒として元々扱われており、スコットランドの中にある修道院がウイスキーの製造を行っていました。
当時ウイスキーは樽の中で熟成されず、無色透明なお酒だったのですが、禁酒法が制定された後、多くの生産者は買い手がつくまで、ウイスキーを樽の中に隠すことにしたのです。
樽の中に隠しておいたことで、ウイスキーの色は琥珀色に染まり、樽の中で熟成させることによって深みのある味と香り、コクが生まれることを新発見することになったのです。

■密造酒造りが盛んに行われてきたアラン島の歴史について

アラン島は海に囲まれており、静かな場所です。
また周囲の国々との交流もあまりなかったため、この地域で密造酒造りが盛んに行われてきたのです。
元々アラン島は5世紀の時代には、アイルランドの多くの聖人たちが修行を行った神聖な地域であったため、キリスト教徒の多くの弟子たちが密かにアラン諸島に渡り、修行を行っていました。
8世紀まではキリストきょうの黄金期であったため、巡礼地としてアラン諸島に修行に行く信者たちがいたこともあり、この地域では修道士たちが密かに当時、薬酒だったウイスキーの製造を行っていたのでしょう。
12世紀に入ると、アングロノルマンの侵略もあり、アイルランドのキリスト教を信じる修道士たちの勢力は弱まっていき、1530年に入ると宗教戦争の影響もあり、ケルトの聖人たちの協会や修道院は解体されてしまったのです。
しかし、このアラン島には、50以上の蒸溜所が残っていたため、禁酒法の時代に入るまでの間は、ウイスキーの生産が密かに行われ、島人の生活を支えていたのです。
島全体で50以上の蒸溜所が中世の時代に存在していたことを考えると、かなり本格的な組織団体として、ウイスキーの密造生産が行われていたと考えられます。
その後、禁酒運動が広まると、アラン島の人々もそのあおりを受け、島でのウイスキーづくりは行われなくなりました。

■創立者の意思を受け継いだ蒸溜所マネージャー

アラン蒸溜所を創立したのは、ハロルドカリーという人物なのですが、創立当時はすでに70歳という高齢で、彼の意思を受け継いだ蒸溜所マネージャー、ジェームズ・マクタガートが、蒸溜所を切り盛りしています。
アラン1997 スーパープレミアムカスク シェリーパンチョンは蒸溜所マネージャーが20年熟成させた樽を厳選してボトリングしたウイスキーです。
創業から3年目の年でもある1997年もの原酒ですので、貴重な銘酒だと言えるでしょう。
生産量も限られており、手に入れるのが難しいウイスキーです。
創業20周年を経た現在は、アラン蒸溜所の知名度も上がり、世界中のモルトファンがこのアラン蒸溜所に注目しています。
やはり原酒の品質の高さは素晴らしく、蒸溜所の歴史は浅いですが、創立者の意思を受けついた蒸溜マネージャー、ジェームズ・マクタガートの今後の活躍が楽しみなところででしょう。
創立当時は小さな規模の蒸溜所でしたが、現在はアラン島南部で第2蒸溜所が建設される予定です。
アラン島はウイスキーづくりに最適な場所ですから、これからも素晴らしいモルトウイスキーがアラン蒸溜所から誕生していくことでしょう。