お酒買取なら大阪のネオプライス

新たに刻み始めたアラン島での23年の歴史とは

■スコットランドのアラン島

スコットランドのノース・エアシャーにあるアラン島は、クライド湾の中に点在する島の中ではもっとも面積の広い島ですが、それでも小さな島であることには変わりありません。
とはいえ、王室の避暑地として知られることから、「ロイヤル・アイランド」とも呼ばれ、気候や風土が似ているためにスコットランドのミニチュアとも言われています。
この島には新石器時代のストーンサークルや遺跡が多く残っており、史跡に興味を持つ人にとっても注目の島ですが、もう一つ、あるものが大好きな人が関心を寄せるところでもあります。
そのあるものとは、ウイスキーです。
ウイスキーの生産地として世界的によく知られているのはスコットランドですが、そのスコットランドに気候が似ており、なおかつ豊富で上質な水がたくさん手に入るアラン島は、スコットランドに負けず劣らずたくさんのウイスキーの蒸溜所がありました。
スコットランドとは違う点を挙げるとするならば、そのほとんどが密造酒の蒸溜所だったことです。
実際のところ、小さなアラン島に大小合わせて50ほども蒸溜所があったのですから、いかにウイスキーづくりが盛んだったかが分かります。
そのほとんどが密造酒を造っていたのは、スコットランドがイングランドに併合されてしまい、ウイスキーに法外な税金を課されたことが一番の理由です。
スコットランドから離れており、役人の目からウイスキーを隠すにはアラン島は最適だったのです。
しかしながら、蒸溜所の数はだんだんと減っていき、1836年には最後の合法蒸溜所であったラッグ蒸溜所が閉鎖されて以来、「密造酒界のブルゴーニュ」とまで言われた上質のウイスキーを生み出す密造酒の島から、蒸溜所が消えてなくなってしまいました。

■アラン島に訪れたビッグニュース

密造酒ではあるものの、上質のウイスキーを造っていたアラン島から蒸溜所がなくなって150年、アラン島にビッグニュースが訪れます。
なんと、新しい蒸溜所ができることになったのです。
蒸溜所を造ろうと考えていたのは1990年代の初め、シーバスブラザーズやハウス・オブ・キャンベルといったウイスキーづくりの名門でマネージング・ディレクターを長年務めてきた、ハロルド・カリー氏でした。
ハロルド・カリー氏が蒸溜所を造りたいと考えた動機は、150年もの間、ウイスキーづくりが途絶えたままのアラン島にもう一度蒸溜所を造りたいとか、アランのウイスキーの歴史を復活させたいとかいった公的なものではなく、「プライベートの蒸溜所が欲しい」という全くの個人的な夢からでした。
スコットランドを探してもウイスキーづくりに適したところはどこにも見つからなかったことから、アラン島に白羽の矢が立ったというわけです。
ハロルド・カリー氏の個人的な望みではあったにせよ、アラン島にとっては150年ぶりに蒸溜所ができるという喜ばしい出来事には違いありません。
1995年アラン蒸溜所が誕生し、アラン島で再びウイスキーづくりが始まりました。

■アラン蒸溜所の23年

アラン蒸溜所は設立してまだ23年しか経ちませんが、ウイスキーづくりに取り掛かって間もない頃から、スコットランドで最も美味しいスコッチウイスキーという評価を受けてきました。
そこには、ハロルド・カリー氏のこれまでのマネージング・ディレクターとしての手腕はもちろんのこと、蒸溜所所長の人選の的確さも、アランウイスキーの名前を広く知らしめる要素になったと言えます。
クラウドファンディングによる斬新な資金集めや、地質学に基づいて行った場所選定など、斬新な方法で蒸溜所設立を行ったアラン蒸溜所に続けとばかりに、蒸溜所新設のけん引役となっているのです。
「アラン1998年 バーボンカスク」は、アランがこだわる少量生産で造られたウイスキーで、アランが造ったウイスキーの質の良さを存分に堪能できる逸品となっています。
これを飲めば、アランウイスキーの人気の理由が分かることでしょう。