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■カタルーニャのスペイン人が洗練したラム酒
スピリッツのバカルディは、コウモリのエンブレムが非常に印象的なラム酒のトップブランドです。
世界中で愛されているお酒ですが、キューバのお酒ということから、創ったのがスペイン人ということはあまり知られてはいません。
バカルディの創業者はカタルーニャ出身のスペイン人、ドン・ファクンド・バカルディです。
バルセロナ近郊にあるシッチェスが生まれ故郷のファクンド氏は、1830年にワイン商の父に連れられてキューバのサンチャゴに移住して来ます。
当時はまだ15歳でしたので飲むことはなかったでしょうが、現地にあったラム酒はかなり粗悪品で、現地の人々ですらあまり飲まなかった物でした。
その品質をどうやって高めるか、後に彼はそこに人生をかけるほどの情熱を注ぐことになります。
ちなみにバカルディのコウモリのエンブレムはバット デバイスと言い、ファクンド氏が現地の人たちに覚えられやすいシンボルマークとして採用しました。
19世紀中頃ですからまだ字が読めない人が多く、多くの人に自社製品を覚えてもらうためにはマークが必要でした。
妻のドーニャ・アマリアさんが初めて蒸留所に入った時に垂木に住み着いていたフルーツコウモリを見つけたのですが、彼女は先住民のタイノス族がコウモリを健康や富、家族の団結の象徴にしていたことを知っていました。
もちろんコウモリは採用され、ファクンド氏が作るラム酒はコウモリのラム酒として親しまれることになります。
ファクンド氏の情熱がラム酒を、アマリアさんの博識が愛されるシンボルを生んだことになるでしょう。

■ヤシとコウモリを守り続ける会社
19世紀半ばには、スペインから多くの人々が新天地を求めて西インド諸島に渡って来ました。
ワイン商をしていたファクンド氏の父親も、成功を夢見て家族を伴ってキューバへ移住して来た一人です。
父の事業がどうであったかはわかりませんが、息子はそこから32年を経て、1862年にバカルディ社を創立しました。
そして、それまで世界に存在していなかった、品質の高い口当たりの洗練されたラム酒を作り、世界へ名を轟かす成功を収めることになります。
経営はその後代々、バカルディ家が引き継いでいて、現在は8代目となります。
バカルディ社の歴史は出身地のシッチェスにある体験型ミュージアムに展示されていますが、ここにある1本のヤシの木は単なる観葉植物ではありません。
創業時、蒸留所の前に一本のヤシの木があったのですが、そのヤシがある限り会社は安泰だという伝説がいつしか生まれます。
実際に1959年にそのヤシが枯れると、本当に翌年キューバ革命の煽りで財産は没収され、会社がキューバから撤退となってしまったのです。
1960年資産が賠償もなしに接収され、バカルディ一族は海外で再結集し、更に国際市場に事業を拡大させることになるのですが、このような事態は二度と味わいたくない恐ろしい出来事です。
そのためヤシの言い伝えは今も守られ、世界中にあるバカルディ社の工場の敷地には、必ずヤシが一本植えられているそうです。

■プレミアム・スパイスド・ラムのオークハート
バカルディ オークハートは、バカルディジャパンが2013年9月4日に発売したプレミアム・スパイスド・ラムです。
スパイスドラムというのは、天然のスパイスを溶け込ませたラムのことです。
オークハートはオーク樽で熟成させたプレミアムラムに加えて、シナモンやナツメグなどの香ばしいスパイスや、蜂蜜やメープル、バニラなどの甘い天然の香りを漬け込み、香り高いラムに仕上がっているのが特徴です。
そのまま味わえば長い余韻を楽しめますし、複雑な風味が代わる代わる広がる楽しいラム酒と言えるでしょう。
バカルディ好きならショットやオン・ザ・ロックでそのまま楽しみたいですし、カクテルベースの代名詞バカルディらしく、コーラやクランベリージュースなどで割っても楽しめます。