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■創業者の精神を受け継ぐ人々
バランタインといえばウイスキー愛飲家の方々にはおなじみの名前でしょうが、これは人の名前から取られた商品名です。
バランタインを作ったのはジョージ・バランタインという人でした。
このジョージ・バランタインと言う人が生きていた時代はちょうどブレンデッドウイスキーが発明された時代で、新たな商機を見いだした彼もまた独自のブレンデッドウイスキーを生み出そうと努力したのでした。
こうしたバランタインの努力によって会社は大きくなり、スコットランドを代表する酒造メーカーとなったのですが、彼が亡くなった後の課題はいかにバランタインの味を引き継ぎつつ新たなウイスキーを作るか、ということでした。
バランタインが亡くなってからおよそ50年後、それまでの主力商品であったバランタインファイネストだけでは足りないと考えた彼の後継者たちは、創業者が為したように新たなウイスキーを作ろうと決意します。

■ウイスキーの熟成期間は何年がベストか
バランタイン社のマスターブレンダーとなったジョージ・ロバートソンが新たなウイスキーを開発しようとしたのは1930年代でした。
ブレンデッドウイスキーが開発されたのは1850年ごろですから、すでに80年の時が経っています。
しかしながら、ウイスキーの作り方についてはまだまだ謎が残っていました。
特にロバートソンの頭を悩ましたのがどれくらい熟成すればいいウイスキーを作れるのか、という問題でした。
特にブレンデッドウイスキーを作る際には原酒同士の相性も感がなくてはいけませんから、ベストな熟成期間を測らなくてはなりません。
ロバートソンは友人であるウイスキー鑑定家やウイスキー研究者を呼び寄せ、じっくりと時間をかけて議論を重ねました。
その結果、ロバートソンたちはウイスキーの熟成期間のベストが17年であると結論付けます。
その結果生まれたのが今日も飲まれている「バランタイン17年」なのでした。

■瞬く間に売れていったバランタイン17年
当時はウイスキーを熟成させて販売させるという発想がなかなか出てこなかった時代でした。
それゆえ、バランタインが17年にもわたって熟成させたウイスキーを販売するというのはそれだけで消費者たちの心をとらえたのです。
また、熟成されたウイスキーは数も少ないですから、あっという間に売り切れになることが必至です。
消費者はバランタイン17年が発売されると、我先に買い求めたため、バランタイン17年は店からすぐになくなってしまいました。
特別な宣伝活動はしていないにもかかわらず、バランタイン17年はベストセラーとなったのです。
良い商品を作れば必ず売れるということを証明したといえるでしょう。
もっとも、バランタイン17年の歴史は順調なことばかりだったわけではありません。
1930年代と言えば、間もなく世界中が戦争に巻き込まれる時代でした。
原料不足に見舞われたバランタイン社は、消費者の元に安定してバランタイン17年を届けることができなくなったのです。

■日本にもやってきたバランタイン
戦争が終わるとバランタイン17年は安定して供給することができるようになりました。
スコットランドのみならず世界中へと輸出できるようになり、1950年ごろには日本でも発売開始されるようになります。
スコッチウイスキーは他の国のウイスキーにくらべて日本人の舌にあったウイスキーでした。
元はと言えばジャパニーズウイスキーもスコッチウイスキーを範にしたウイスキーですから当然といえば当然でしょう。
バランタイン17年ももちろん日本人にすぐさま愛されるようになりましたが、そうなった要因の一つにどんな飲み方でもおいしく飲める、という特徴がありました。
ウイスキーはそのまま飲んだりロックで飲んだりするものですが、バランタイン17年はどう飲んでもおいしいものだったのです。
日本では主にウイスキーは水割りで飲むのが主流ですが、もちろんそうやって飲んでも味が損なわれることがありません。
皆さんがバランタイン17年を飲む際には、一つの飲み方にこだわらず様々な飲み方で楽しんでみてもいいかもしれません。