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シェリーカスクならではの甘さにアイラモルトの個性が溶け合ったリッチな味わい

■シェリーカスクが育んだ甘美な味わい

「ボウモア 16年 リミテッドエディション シェリーカスク 1990」は、アイラ島最古の蒸留所・ボウモア蒸留所の第一貯蔵庫にてオロロソシェリー樽で16年間熟成されたウイスキーです。
熟成後は冷却ろ過をしていない「Non-chillfiltered（ノンチルフィルタード）」製法で樽出しした生のままのモルトをボトリングし、限定3,000本で販売した貴重な限定銘柄のウイスキーとなっています。
淡い琥珀色の液体がつややかな輝きを放ち、完熟イチジクやレーズンなどの芳醇なフルーツの香りはオロロソシェリーカスクに由来するものです。
またダークチョコレートを思わせるコクのある甘みが絶妙なバランスを醸し出し、ボウモアならではの伝統的なスモーキーさと潮の香りが複雑に絡みあう深い味わいに仕上がっています。
オロロソシェリー樽で熟成中に染み込んだリッチな味わいは、一口含んだ瞬間からフィニッシュまで余韻を残しながら長く楽しめるのが魅力です。

■ウイスキーの熟成にシェリーカスクが使われる理由

蒸留されたウイスキーの熟成や貯蔵には、さまざまな種類や大きさを持つカスク（樽）で保存されるのが通常です。
その多くはアメリカンホワイトオークで作られたカスクが使用され、スコットランドのウイスキー産業では90％がアメリカンホワイトオークをカスク材にしていることがわかっています。
シェリー酒も主にアメリカンホワイトオークが使われていますが、少数ではあるもののコモンオーク（スパニッシュオーク）が使用されることもあります。
これらのカスクでシェリー酒を熟成・貯蔵し、ボトリングして空になった空き樽をウイスキーの熟成に使用するのです。
ではなぜ新樽でなく一度シェリー酒造りに使用されたカスクを使うのでしょうか。
シェリー酒を熟成させたシェリーカスクにはアンズやレーズンなどの果実の風味が残っており、ウイスキーの香り付けの役割を果たしてくれます。
香りだけでなくフルーツの風味もウイスキーに染み込ませることができるため、柔らかくて甘い味わいのウイスキーに仕上がります。
シェリーカスクと一口にいっても造られるシェリー酒によってウイスキーの味わいが変わってくるため、どんなウイスキーを造りたいかによって選ぶシェリーカスクを変える必要があります。
しかし全体的にシェリーカスクはウイスキーに芳醇な香りとドライフルーツでも生のフルーツでも関係なくみずみずしい甘さを生み出してくれます。
シェリーカスクのおかげで、リッチな風味が楽しめるウイスキーが出来上がるのです。

■シェリー酒はイギリスで需要が多かったことも要因

オールマイティーな面を持つシェリー酒は食前酒としてはもちろん、食事中や食後にも楽しめるお酒です。
シェリー酒を造る業界にとって、古来よりイギリスは大きな取引ができる一大市場でした。
シェリー酒は白ワインの一種で、スペインのアンダルシア地方へレス周辺で造られています。
出来上がったシェリー（スペイン語ではヘレス）は樽に詰められたままの状態でイギリスに船で輸送され、ブリストルやリースの港で陸揚げされていました。
ボトリングがイギリス国内で行われたため、ボトリング後はたくさんのシェリーの空き樽が生まれたのです。
スコットランドはもちろんイギリス国内にもウイスキーの蒸留所は多数あり、シェリーの空き樽はウイスキーを貯蔵するのにまさにうってつけの材料でした。
シェリーといってもフィノやオロロソ、モステカルやペドロ・ヒメネスなどいろいろあります。
ウイスキーによって使用するシェリーカスクを変えているのは、シェリー酒の味わいがウイスキーに与える影響を考えているからです。
ただしイギリスでシェリー酒の需要が多かったおかげで、シェリーカスク由来のウイスキーが多くなったことは間違いありません。
ちなみにモスカテルはニッカウヰスキーがシングルモルト余市や宮城峡で使用し、数量限定で発売した経緯を持っています。