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アイラ島で熟成されるアイラモルトが絶品のシングルモルトウイスキー

■スコッチウイスキーの中でも個性派として知られるモルト
スコッチウイスキーと言えば、ピートと呼ばれる泥炭をいぶしたスモーキーなフレーバーと、大麦だけを使って造ることからピュアな味わいが楽しめるシングルモルトウイスキーとして知られています。
そんなスコッチウイスキーですが、スコットランド全域でウイスキー造りが非常に盛んだった歴史から、地域によって味わいは微妙に異なります。
特に離島のアイラ島で造られるモルトは、その個性的な味わいからアイラモルトと呼ばれ、シングルモルトでありながらブレンデッドウイスキーのフレーバーの1つとして使われるほどです。
そんな個性的な味わいのアイラモルトは、アイラ島の自然が造り出したと言っても過言ではありません。

■大西洋の荒波に洗われる島
アイラ島には古くから蒸留所や教会が多く、その中心をなす町がボウモアです。
このアイラ島に地元の商人だったデビッド・シンプソンが1779年に造った最古の蒸留所が、ボウモア蒸留所です。
ボウモアの町の小さな港の浜辺に建つボウモア蒸留所は、崖の上に建っているため、まるで海に浮かぶ要塞のように見えます。
風の強い日には大西洋の荒波が蒸留所の壁をまともに打ち付けることから、蒸留所内には常に潮の香りが満ちているのです。
ボウモア蒸留所にはいくつか貯蔵庫がありますが、その中の第1貯蔵庫は海抜ゼロメートルに位置しているため、熟成される原酒に潮の香りが混じるのが特徴です。
この潮の香りが、ボウモア蒸留所で造られるウイスキーを他と一線を画す特別な味わいにしています。
アイラ島のモルトは、その個性的な味わいをアイラモルトと称されますが、特にボウモアは女王と呼ばれるほど気品ある味わいとなっています。

■島全体がウイスキー造りによって支えられてきた歴史
ボウモア蒸留所を筆頭に、アイラ島はウイスキー造りによって発展してきました。
そのため、ボウモアの町とウイスキー造りは分かちがたく結びつき、ビジターセンターや売店、宿泊施設の整備に町を上げて取り組み、早くから観光客を積極的に受け入れてきた蒸留所です。
今でもスコットランドでは蒸留所への見学ツアーが人気ですが、ボウモア蒸留所はホスピタリティあふれるサービス精神で観光客を迎える一方で、島民の福祉に貢献するなど、単なるウイスキーの蒸留所にとどまらない地域貢献をしてきたところは、大いなる称賛に値する稀有な蒸留所と言えます。

■伝統的な製法がボウモアの持ち味
アイラモルトの女王と称され、高い評価を受けるボウモアですが、蒸留所の規模は小さく、昔ながらの伝統的な製法と職人技によって高品質のウイスキーを造り出しているのが最大の特徴です。
ウイスキーの原料である麦芽造りの工程では、昔ながらのフロアモルティングと呼ばれる製法をいまだに守り続けており、この伝統的な製法で造っているのは、スコットランドの中でもボウモア蒸留所を含むわずか6つだけです。
スコットランドには現在、蒸留所が100あるとされていますので、まさにほんの一握りと言えます。
非常に手間暇がかかる作業のため、だんだんとやめていく蒸留所が増えていった中、頑なにこだわり、守り続けていることが、ボウモアをしてアイラモルトの女王と呼ばれる理由でしょう。

■ボウモアならではの味わいが凝縮
ボウモア 37年 1968は、1968年に蒸留し、バーボン樽で37年間熟成させた貴重な樽出し原酒を使い、わずかに708本だけ造られ、2006年に発売されたプレミアムなウイスキーです。
漆黒の木製化粧箱に入れられ、稀少価値が高いことから、入手はかなり困難と言えるでしょう。
とはいえ、アイラモルトの女王と讃えられるスモーキーフレーバーと潮の香りが凝縮された、ボウモア蒸留所だけが造り出せる味わいとなっています。
さらにオロロソシェリー樽に由来する芳醇さ、トロピカルマンゴーにグレープフルーツ、甘いイチジクを思わせる香りもあり、フルーティーさが漂います。
ほのかなスパイシーさも加わった深みのある味わいは、まさにボウモアにしか造ない逸品です。