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老舗蒸留所の正統派アイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ」

■北アイランドで歴史を刻むアイリッシュの雄

記録上、世界最古と言われるウイスキーの蒸留所が、アイルランド島の最北端にあることをご存知でしょうか。
蒸留所の名称は「ブッシュミルズ」。
遡ること１６０８年からウイスキーづくりに情熱を注ぎ努力に尽くしてきたブッシュミルズ蒸留所は、４００年以上の歴史を誇り、今日に至ります。
アイリッシュウイスキーの伝統製法として知られる「３回蒸留」を頑なに守り抜き、アメリカで施行された禁酒法により多くの蒸留所が衰退していく最中も根気よくウイスキーづくりを継続してきました。
モルト原酒の原料には１００％アイルランド産のノンピート麦芽を使用することで、軽やかでスムースな口当たりを実現しつつ、それでいてモルトの味わいがしっかりと感じられるのが特徴です。
１８５０年代に麦芽税が施行されると、アイリッシュウイスキーをつくる多くの蒸溜所は未発芽大麦（バーレイ）を使用するようになりましたが、ブッシュミルズは創業当時のまま大麦麦芽（モルト）にこだわり続けています。
世界的な人気も高まり、着実に日本のファンも増やしているブッシュミルズの軽くてスムースな風味。
バーなどで出会うことがあれば、ぜひ一度味わっていただきたいおすすめの銘柄です。

■樽の違いが風味の違いをつくる

数カ月から長ければ１０年、２０年、５０年以上もの年月をかけて樽熟成を行うウイスキーづくり。
樽の大きさや木材の種類、内面処理の方法など使用する樽にもさまざまな個性があり、どの樽で熟成するかによってウイスキーの味わいや香りを大きく変化させる重要な役割を担っています。
ウイスキーの個性や特徴を形成する樽について知識を深めておくと、ウイスキーをより奥深く愉しむことができるかもしれません。
生産国によっては、使用する樽が決められていることもあります。
たとえば、アメリカンウイスキーのひとつ「バーボン」であれば、内面を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成することがバーボンと名乗るための条件です。
熟成に使用する樽の種類は大きく分けて３つ、「シェリー樽」「バーボン樽」「ミズナラ（ジャパニーズオーク）樽」があります。
シェリー樽は、スペイン・アンダルシア州で白ブドウを原料につくられる世界３大酒精強化ワインのひとつ、シェリー酒を詰めていた樽のこと。
シェリー酒に由来するルビーのような深い紅色と甘美な味わいに仕上げるシェリー樽には、「フィノシェリー」や「オロロソシェリー」、「モスカテルシェリー」「ペドロ・ヒメネス（PX）」など種類が豊富にあり、仕上がるウイスキーの風味に大きく影響します。
世界３大酒精強化ワインとしてシェリーに並ぶ「ポートワイン」や「マデイラワイン」を貯蔵していた樽も、ウイスキーの熟成によく用いられており、味やフレーバーを形づくる大事な役割を果たしています。
樽の内側をバーナーなどで焦がして使用するバーボン樽は、この時に生まれる甘いバニラのような味わいが特徴。
ミズナラ樽は、白檀（ビャクダン）や伽羅（キャラ）のような独特の香木を生み出す日本ならではの樽材で、長期熟成に向いてると言われています。
これらの樽で熟成したウイスキーをさらに性質の異なる樽に移し替えて再度熟成させる「ウッドフィニッシュ」という方法では、より複雑な香味を持つウイスキーを生み出すことが可能となります。
数カ月から数年にわたるひと手間によって独自の風味を創り出し、より奥行きのある味わい深い唯一無二のウイスキーが生まれるのです。

■「ブッシュミルズ シングルモルト１６年」の楽しみ方

アイリッシュの伝統製法「３回蒸溜」を行ったモルト原酒を、シェリー樽とバーボン樽で長期熟成させた後、さらに数ヶ月間ポートワイン樽で熟成させて仕上げた「ブッシュミルズ シングルモルト１６年」は、ダークチョコレートやローストナッツのような甘い香りと重厚感のある複雑な味わいが特長です。
３種類の異なる樽熟成を使っているため、それぞれの樽に由来する赤みがかったカラーや濃縮した甘さをおいしく味わいたいですよね。
芳醇な香りや奥深い味わいを堪能するには、まずは「アイリッシュ・ストレート」でゆっくりとボトル本来の風味を味わうのがおすすめ。
雑味のないマイルドな甘味や⻨の香りをダイレクトに感じることができます。
気軽にアイリッシュウィスキーを楽しむなら、スムースな口当たりとフレッシュな果実香をより爽快にするソーダ割「アイリッシュ・ハイボール」もブッシュミルズなら相性はバツグン。
ノンピートで３回蒸留されていることにより、クセがなくまろやかで飲みやすいウイスキーに仕上がっているので、ウイスキー好きの方はもちろん初心者にも受け入れやすいでしょう。