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今も家族が守り続ける伝統と革新のコニャック

■家族が支える150年
カミュは日本でも早くから有名だったブランドです。
その歴史は150年を超える永きにわたりますが、実はこれほど長い歴史を持つブランドで、家族経営を守っているのは非常に珍しいことだと言えます。
これは酒類業界に限らず全世界・全業界で言えることですが、カミュが誕生したのは間違いなく1863年のことです。
フランス南西部のコニャック地方で設立し、現在ではコニャックメーカーの名門と称されますが、もちろん当時は現在に見る大企業ではなく小規模で粛々とコニャックを製造販売していました。
しかも最初はまったく売れず、倒産寸前に追い込まれたこともあったそうです。
それでも家族は負けませんでした。
コツコツと地道に努力し、コニャックの質を改良し続け、結果的には多くの販売店や飲食店が取り扱ってくれるようになったのです。
それにつれてカミュ独特の味わいにすっかり魅了されてしまったブランデー愛好家が続々と現れ始め、各地で名声が高まるようになります。
ついにはカミュのコニャックはヨーロッパ各地に広まり、最終的にはヨーロッパを飛び出し、世界中で愛されるブランドへと成長しました。
それほどの名声を得ても、カミュは変わらず伝統的に家族経営を守り続けています。
現当主は5代目だそうですが、家の歴史を連綿と受け継ぐ文化を持つ日本人にとっては、親しみ深い信頼性も見いだすことができるでしょう。
現代は酒類業界も買収や合併が繰り返されていますが、カミュはそんなこともどこ吹く風で、独立したブランドを守り続けています。

■独特の魅力を持つボトル
カミュの特徴は、独特なボトルデザインにもあります。
これは創業当時から続けてきたこだわりですが、とてもユニークで唯一無二のボトルデザインは、常に愛好家の心をわしづかみにしてしまいます。
飾って眺めるだけで楽しい気持ちにさせてくれるカミュのボトルは、いつでも予想をはるかに超え、意表をつく斬新なデザインで登場します。
栓もボトルもゴルフボールになっているボトルや樽型のボトルなどもあり、バカラ社製のボトルはたとえ中身がカラでも高値で買いたいという愛好家が後を絶ちません。
代名詞ともなった本の形をしたボトルのブックシリーズは、リモージュ焼きとタッグを組んだ作品で、1900年代後半から登場しました。
まるで画集のような美しい名画がそのまま描かれた大胆なボトルで、もはやコニャックボトルの領域をはるかに超えた名品です。
ただこうした試みも、ある種高級品となってしまったコニャックの狭い業界を飛び越えて、もっと広く楽しんで欲しいという3代目当主のミッシェル・カミュの想いがあったためです。
同氏は世界にもっとカミュのコニャックを楽しんでもらうために免税店での販売を強化しましたし、4代目5代目もライトなユーザーが興味を示しやすい新商品を送り出しています。
他メーカーとは異なり、カミュはコンセプトが明確でキャッチーであり、親しみやすい味わいで多くの人にコニャックの魅力を伝えようとしています。
たとえ栓を開けなくても見て楽しめてしまうサービス精神の旺盛さも、そうした努力を続けているカミュならではの発想と言えるでしょう。

■金賞を何度も受賞した最高のコニャック
コニャックのメーカーは、ブドウの栽培から瓶詰めまで一貫して行う生産者と、原酒を買い付けてブレンドや熟成を行う生産者とがいますが、カミュは基本的に後者でありながら多くの自社畑を所有しています。
一から栽培して醸造・蒸留・熟成させた原酒も使用し、自家生産の原酒と買い付けた原酒とを絶妙にブレンドすることで、独自の味わいを生み出しているのです。
カミュの品質の高さを特徴づけるのが、ロンドン国際ワイン&スピリッツコンペティションでの度重なる金賞受賞という経歴でしょう。
このコンペティションにおいて、カミュは世界最高のコニャックという名声を得ることになります。
20世紀初めにはロシア皇帝にも愛飲され、世界各国で著名人が愛してやまない銘柄に指定していますが、その影には連綿と続くカミュ一族の努力があることを忘れることはできません。

■最高峰コニャック「カミュ キュヴェ 3.128」
熟成年数41年、43年、44年という3種の長期熟成原酒から造られたのが最高峰コニャック、カミュ キュヴェ 3.128です。
左右アシンメトリーなボトルはバカラ社製で、伝統を表す直線と革新を表す曲線がカミュの哲学を美しく表現しています。
全世界で3068本のみリリースされた超限定品で、高いアルコール度数を誇り、原酒に近い芳醇な香りと味わいを楽しむことができます。
なかなかお目にかかれない逸品ですが、一度見たらきっと誰もが心をつかまれる逸品でしょう。

■世界に知られるコニャックブランド
最高級ブランデーを造り出すことで知られるフランスのコニャック地方には、世界的にその名を知られる5つのブランドがあります。
コニャックを造り、販売する会社のことをコニャック・ハウスと言いますが、お酒を愛する世界中の誰もが、一度はその名を耳にしたことがあるであろうカミュは、コニャック・ハウスではなくコニャック・メゾンであることが最大の特徴です。
メゾンはフランス語で家のことで、カミュは唯一の大手の家族経営コニャック・メゾンであることが最大の特徴です。
コニャック地方には、5大ブランドのように有名ではないものの、小規模な家族経営でコニャックを造っているメゾンが多数あります。
メゾンでありながら5大ブランドとして名をはせるカミュは、一体どのような歴史を歩んできたのでしょうか。

■共同体からメゾンへの転向
創業者はワイングロワーだったジャン・バディスト・カミュで、最初は共同体として質のいいコニャックを安定的に供給することが大事だと考えました。
その後、彼はカミュ一族で全てを行うことこそ、高品質のコニャックを供給し続けられるという考え方に変わります。
これにより、ラ・グランド・マルクだった創業時から、家族メゾンとしてのカミュ・ラ・グランド・マルクが誕生したのです。
ジャン・バディスト・カミュの上の息子のエドモンが事業に参加するようになったのは1894年のことで、エドモンは生産面において全面的に父を支えます。
当時は樽で売られるのが一般的だったコニャックを、ラベリングしたボトルに詰めて売る最初のコニャック・ハウスとなったのがカミュで、この陣頭に立って指揮を執ったのが、エドモンでした。
ボトリングしてコニャックを売るという方法は当時は画期的なことで、かなりの驚きを持って受け止められたのは間違いないでしょう。
エドモンの挑戦とその成功によって、カミュは一躍世界にその名を知られるコニャックブランドへと成長していきます。

■さらなる家族の参加で躍進を続けたカミュ
ボトリングでコニャックを売り出すという発想で、フランス国内における市場売り上げを大幅に増やしたエドモンを、ジャン・バディスト・カミュは頼もしく思ったことでしょう。
そんなジャン・バディスト・カミュに、さらに頼もしい援軍が加わります。
エドモンの弟のガストンが、1896年から事業に携わることになったのです。
生産面で活躍をするエドモンとは別に、ガストンは輸出販売の分野に専念します。
そして、後に帝室御用達コニャックとなるロシアへの販路開拓に成功するなど、カミュがロシアで広く知られるという功績を果たしました。
兄と弟で得意とする分野が違ったのか、あえて別々の分野を担当することにしたのかはわかりませんが、異なる分野を担当しつつ、それぞれが大成功を収めたことが、カミュがメゾンでありながら大手コニャック・ハウスに負けないブランドステイタスを確立した理由であるのは明らかです。

■シリーズ第4弾も素晴らしい出来栄え
カミュ キュヴェ 3.140は、世界に知られたカミュが発売するにはあまりにも少ない、わずか950本の限定品で登場した超プレミアムな稀少価値を持つコニャックです。
本数が少ないことから可能になったのかもしれませんが、1本1本にシリアルナンバーが割り当てられるという徹底ぶりです。
しかも、バカラ社製の美しいクリスタルデキャンタが用いられているところも、稀少価値をさらに高める結果になったのは想像に難くありません。
バカラのデキャンタにボトリングされたこのスペシャルなカミュは、2013年から始まったマスターピース・コレクションの第4弾にあたり、バカラの美しいデキャンタに負けず劣らずの高品質のコニャックが詰められています。
ボトリングにチャレンジし、成功したエドモンの功績を思い起こさせるカミュと言えそうです。
もちろん美しいボトルに負けない、上質なカミュのコニャックが詰められているのは言うまでもありません。