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長い余韻が楽しめるシャトー・シュヴァル・ブラン 2010

■白なのに赤い余韻が楽しめるワイン
シャトー・シュヴァル・ブラン 2010はブラン、すなわち白の名称が入っていますが、実は赤ワインです。
その特徴はセパージュと呼ばれる葡萄品種混合割合にあります。
ボルドー右岸のワインの特徴であるメルローに加えて、本来は補助品種として使われるケースが多いカベルネ・フランをほぼ半量ずつ混醸されており、世界的に見てもユニークなブレンドになっています。

もっとも、シャトー・シュヴァル・ブランの葡萄比率は年々異なっており、葡萄の出来栄えなどに応じてメルローが50割強、カベルネ・フランが残りの40数％といった具合です。
メルローは赤ワイン造りに用いる代表的な品種の1つであり、果実味がたっぷりで親しみやすい味わいに仕上がるのが特徴です。
赤ワインに苦手意識がある方でも、飲みやすい品種となっています。
カベルネ・フランも赤葡萄ですが、タンニンの含有量が少なめで酸味が軽やかな品種となっています。
いずれも飲みやすい品種として知られているため、逆に言えば、メルローに対してカベルネ・フランを大量にブレンドするのは大変珍しい組み合わせなのです。
ですが、このブレンドがシャトー・シュヴァル・ブランのほかのワインにはない最大の特徴となっており、メルローのしっとり系のテクスチャーに、カベルネ・フランがエレガントな風味を加え、長い余韻を造り出してくれます。
香りはアニスなどの東洋系スパイスに赤いベリーのような甘酸っぱい香りが織りなす、エキゾチックさが特徴です。
熟成度が高まるとシガーのような香ばしくスパイシーな香りも加わり、複雑な風味を楽しめます。

■シャトー・シュヴァル・ブランの歴史
サン・テミリオンの格付けの頂点に立つシャトーとして長く君臨していますが、シャトーがある地域は砂利と粘土質の丘陵地帯グラーヴ地区寄りに位置しています。
19世紀後半までは代々にわたって家族経営されていたシャトーですが、幾度にもわたって葡萄畑の買収が行われたり、経営者が何人か入れ替わったりした時期を繰り返してきました。
その後、1998年から銀行家で資産家であったベルギーのアルベール・フレール氏と世界的財閥のルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー社の社長であったベルナール・アルノー氏が共同所有する運びとなりました。
この時からは実業家による経営と、莫大な資本が投下された近代的なシャトーへと変貌していきます。
貴族の邸宅のようなシャトーの隣に、2011年には白い流線型のモダンな建物が建設されます。
著名な建築家の設計による見た目にもおしゃれな貯蔵庫で、内部にはテイスティングルームが設けられました。
サンテミリオンの世界遺産を訪れる旅行客の新たな観光スポットとなっており、実業家ならではの新たな発想で、シャトーがより親しみやすい場所に生まれ変わりました。

■シャトー・シュヴァル・ブランの特徴
長年にわたってサンテミリオン最高レベルのシャトーとして君臨し続けており、世界的な評価を受けるメドックの5大シャトーにさえ匹敵すると言われるほど高い評価を得ています。
カベルネ・フランをふんだんに使用するという、他のワインにはない独特の醸造法もあり、唯一無二のワインとして熱狂的なファンが少なくありません。
味わいはもちろんですが、香りのワインとしての評価が高く、エレガントな雰囲気を楽しませてくれます。
フレッシュさとフルーティーさもあり、飲みやすいのでワインが初めての方や女性にもおすすめの1本です。
若い頃からおいしさが楽しめるワインではありますが、20〜30年は成長が望めるため、シャトー・シュヴァル・ブラン 2010もさらに熟成させて飲むのもおすすめです。
設備の近代化や観光施設化も行われる一方で、品質にこだわる生産本数の稀少性や、カベルネ・フランを半量あまり使用するという独特なテイストと魅惑的な香りが年々話題を集めており、価格も年々上昇傾向にあります。