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華やかさを味わう「クラガンモア ダブルマチュアード」


■ポートワイン樽での後熟で得られるリッチな味わい

クラガンモアはユナイテッド・ディスティラーズ（UD）社が提唱するクラシックモルトのスペイサイドの代表的存在です。
「クラガンモア ダブルマチュアード」はクラシックモルトを構成する、6蒸溜所の各マスターディスティラー監修の下に造られた「ダブル・マチュアード・シリーズ」の一つになります。
通常クラガンモアはバーボン樽で熟成を行いますが、ダブルマチュアードでは、さらに仕上げとしてルビー・ポート・ワイン樽で熟成を行っており、通常の「クラガンモア12年」と比べると華やかな香りと甘さを感じることができます。
クリーミーでデザートモルトとして人気です。
ルビー・ポート・ワインとはポルトガルで造られる酒精強化ワインで、赤ワインのものを指します。
甘口で、熟成期間が短いため、果実の香りが豊かなのが特徴です。
世界3大酒精強化ワインはスペインのシェリー、ポルトガルのマデイラ、ポートとされており、気温が高い地域において酸化・腐敗を防止するためにアルコールをブランデーなどで追加したワインです。
ウィスキーの熟成においては樽の種類が風味を左右するので、ルビー・ポート・ワイン樽の香りが移った「クラガンモア ダブルマチュアード」は複雑で深みがあり華やかな味わいのボトルになっています。

■熟練の職人によりこだわって造られたウィスキー

クラガンモアは1869年、スコットランドのスペイサイドでジョン・スミスによって誕生しました。
スペイサイドはスコットランド東部のスペイ川流域で、小麦の収穫量が多くスコッチ製造に向いているため、スコットランドの蒸溜所の半数が位置する地域です。
クラガンモアは、緑色石の産地でもある近くの丘の「クラガン・モール」から取られており、ゲール語で突き出た大岩がある丘という意味です。
ジョン・スミスはマッカラン、グレンリベットなどの有名な蒸溜所長を務めてきたウィスキーに精通した職人でした。
それまでの経験を生かし、ジョン・スミスは上部が平らの独特な形のポットスチルを設計しました。
2組は今日も使われ続けています。
一般的な形状であるスワンネック部分がT字シェイプになったもので、煙突のような形です。
蒸溜器内に大量の還流が起きて複雑な味わいの原酒ができるといわれています。
また、ジョン・スミスは先見の明があり、線路脇に蒸溜所を設置することで出荷の効率化を図りました。
クラガンモアは、鉄道を利用した最初の蒸溜所となりました。
1925年にはブレンダーにより、「A1」というブレンディングに適したシングルモルトであるという格付けを得ました。
1917年には第一次世界大戦により、原料不足になり蒸溜所は閉鎖となりますが翌年には再開しています。
1931年からも閉鎖したり、1941年にも第二次世界大戦の影響で限定生産に追い込まれるなど、紆余曲折を経ながらもウィスキー造りを続けてきたのです。
2002年にビジターセンターを開設しています。
クラガンモアはユナイテッド・ディスティラーズ社が提唱するクラシック・モルト・シリーズのスペイサイド代表ですが、これは、1987年に提唱されたもので、シングルモルトウィスキーの地域性を特徴付けるため、地域ごとの代表的なシングルモルトのブランドを挙げたものです。
北ハイランドは「ダルウィニー」、西ハイランドは「オーバン」、スペイサイドの「クラガンモア」、ローランドの「グレイキンチー」、アイランドの「タリスカー」、アイラの「ラガヴーリン」となっています。

■キーモルトとして評判高い

スペイサイドのモルトは繊細な香りと味わいで知られており、ブレンデッドウィスキーのキーモルトとして利用されることが多いです。
クラガンモアはブレンデッドスコッチウィスキーの「オールド・パー」のキーモルトとして知られています。
オールド・パーは岩倉使節団が1873年に日本に持ち帰ってから、日本になじみ深いウィスキーとなっています。
ほかにも、クラガンモアがキーモルトとして使われているものは、ジョニー・ウォーカーやホワイトホースがあります。