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複雑な香りを味わいが大きな特徴の万人に愛される「クラガンモア12年」


■クラガンモアについて

クラガンモアは、スコットランドスペイサイドにあるグリンリベットなどからほど近い小さな蒸溜所で製造されているモルトウィスキーです。
知名度が高いわけではないのですが、味わいに深みを感じるモルトウィスキーで世界にファンもたくさんいらっしゃいます。
ディアジオのモルトの最高権威であるニコラス・モーガン博士は、「一般的に高い評価を受けるウィスキーではないが、時間をかければ好きになるブランド」として評しているほど、飲むほど癖になっていくウィスキーといえます。
オールドパーやホワイトホース、アンティクァリーなどといった有名なブレンデッドウィスキーのキーモルトとなっており、生産量の多くはブレンデッド用として提供されているのが特徴です。

■クラガンモア蒸溜所の歴史をたどる

クラガンモア蒸溜所は、スコットランドのスペイサイド地域にあるのバリンダロッホに設立された蒸溜所の一つです。
こちらは蒸溜所が集まるスコッチウィスキーのメッカともいえるべき場所で多くの蒸溜所が点在しています。
スペイサイドの風土は山や緑に囲まれており良質な水源に恵まれていることもあり、華やかな甘味のある飲みやすい味わいが特徴といえます。
モルトの大きな特徴にもなるピート香は比較的少ないといわれており、クラガンモアも比較的少ないです。
クラガンモア蒸溜所は1869年、スコットランドの中でも良質な水に恵まれた大麦やピートが豊富なスペイサイドにジョン・スミスによって創業されました。
ジョン・スミスはマッカランやグレンリベット、グレンファークラス、ダルユーイン、ウィショウといった大手蒸溜所のマネージャーを務めてきたという経験があり、ハイランド地方を代表する職人としても有名な人物でした。
1886年には子息であるゴードンが受け継ぎ1901年には蒸溜所の改築を実施し、近代化を図ります。
1912年に妻が後を継ぎますが、1923年にクラガンモア・グレンリベットディスティラリー社が所有権を得たことによりスミス一族による運営が終わりを告げます。
1927年、ホワイトホースが現ディアジオであるDCLの傘下になったことからクラガンモアもDCLの傘下に入ります。
2002年にはビジターセンターを設けることによって世界中のモルトファンが訪れ、賑わいを見せています。
クラガンモア蒸溜所の特徴の一つとしてポットスチルの形状が挙げられます。
通常はスワンネックの形をしていますが、クラガンモア蒸溜所のポットスチルは平坦なT字型の形をしています。
これはジョン・スミスによるオリジナルのデザインを引き継いでおり、この形状によって蒸溜器の中で大量の還流を生じさせることができるようになるため、クラガンモア特有の複雑な香りを味わいを生み出すことができるようになっているのです。
このユニークな形状こそが蒸気の中の不純物がローワインに戻されて再凝縮するリフラックスを可能にしています。

■「クラガンモア12年」

「クラガンモア12年」はディアジオのクラシックモルトシリーズの一つであり、熟成にはバーボン樽が使用されています。
ウィスキー評論家として知られるマイケル・ジャクソンの採点でも90点となっているなどマッカラン蒸溜所に次ぐ高得点をたたき出しています。
色は淡いゴールド色をしており、香りはすっきりとしていてハーブのように鼻通りも良く、完熟した洋梨やすりおろしたりんごの煮込み汁が漂い、バニラや蜂蜜のような甘味にスモーキーな香りなどがミックスされた極めて複雑かつ濃厚な味が特徴です。
フィニッシュはモルトの感覚よりも軽めのスモーキーな味が強く残り、ほんのり甘味を感じます。
華やかでフルーティな中にも微かに香るスパイシーな香りは、ウィスキー初心者も含めて万人に愛される味わいです。
全体的に軽やかな口当たりで豊かな風味は高い支持を得ています。
熟成年数は12年、容量700ml、アルコール度数は40％です。