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二度の熟成によるリッチな甘さとモルティな風味が際立つ「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」


■複雑な風味と余韻が楽しめる逸品

「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」は1869年にジョン・スミスによって設立された、スコットランド・スぺイサイド地域にあるクラガンモア蒸溜所生産のシングルモルトスコッチウィスキーです。
創業者のジョン・スミスはグレンファークラス蒸溜所やマッカラン蒸溜所、グレンリベット蒸溜所でウィスキー造りの経験を積んだ優れた技術者で、クラガンモア蒸溜所にはジョン自身が追求した形のポットスチルが設置してあります。
このポットスチルから生み出されるクラガンモアのシングルモルトは仕込み水にクラガン川の豊かな水源を利用しており、同時にこの水を蒸溜所の原動力としても活用しています。
「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」はダブルマチュレーションタイプのシングルモルトで、マチュレーションは「熟成」という意味です。
すなわちダブルマチュレーションタイプの「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」は2回の熟成を経てフィニッシュしているということになり、2回目の熟成樽にはルビーポートワインを貯蔵したポートワインカスクを使用しています。
そのためルビーポートワイン由来のサクランボとオレンジの甘味がウィスキーに染み込み、果実の甘味の後にはスぺイサイドモルトらしい軽やかなスモーキーフレーバーが複雑さを兼ね備えた仕上がりです。
非常にフルーティでありながらもリッチな甘さは複雑で、フィニッシュではドライなオークとピートのスモーキーさを堪能できます。

■クラガンモア蒸溜所の特徴と創業者に備わっていた先見の明

スコットランド・ハイランド地方のスぺイサイド地域、ノッカンドゥの南西に位置するバリンダロッホに、1869年、クラガンモア蒸溜所が誕生しました。
創業者のジョン・スミスは謎の多い人物で、1824年にスコットランド・マレーに創業したグレンリベットの創業者・ジョージ・スミスの私生児ではなかったかといわれています。
事実は明らかではありませんが、ジョン・スミスは19世紀のハイランド地方で最も有能なウィスキー職人として有名です。
ジョン・スミスはウィスキー製造に長けていただけでなく、蒸溜所の経営や運営に欠かすことのできない「運営に必要な力量」も備えていました。
その運営力は他を圧倒するほど突出しており、ジョン・スミスはマッカランやダルユーイン、そして1919年に閉鎖となったウィショウなど、多くの蒸溜器の運営を引き受けています。
またモルト蒸溜所のグレンファークラスの運営を任された頃はちょうどクラガンモア蒸溜所が設立されたときと重なっていましたが、それにも関わらずジョン・スミスはさまざまな蒸溜所の経営を立て直してきたのでした。
クラガンモア蒸溜所にはスコットランドの蒸溜所では初となる鉄道が引かれていますが、これはジョン・スミスがウィスキーの運搬に鉄道が利用されるようになることを見越してのことだったといわれています。
鉄道の沿線に蒸溜所を建設することに決めたのは、いずれ鉄道を利用する必要性が生じるを知っていたからでしょう。
蒸溜所の建設後ほどなくしてクラガンモアのウィスキー生産量が増えると、鉄道が利用できるクラガンモア蒸溜所は効率を上げていくことになります。
まさにジョン・スミスの先見の明があったからこその成功だといっても過言ではありません。

■それぞれに個性が生まれるディスティラーズエディション

クラガンモアを傘下に収めるディアジオ社では、「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」をはじめとするさまざまな種類の「ディスティラーズエディションシリーズ」を販売しています。
ルビーポートワインカスクでフィニッシュさせた「クラガンモア ディスティラーズエディション1992」以外には、アロモソシェリーカスク使用のタリスカーやペドロヒメネスシェリーカスクフィニッシュのラガヴーリン、シェリーの一種であるモスカテルを貯蔵したカスクを使ったカリラのディスティラーズエディションがあります。
またスコッチウィスキーの熟成で多用されるオロロソシェリーカスクを使ったダルウィニーと、別の品種のシェリーカスクで熟成したグレンキンチーやオーバンもシリーズに含まれる商品です。
ブランドごとにそれぞれテイスティングノートが異なるため、これら有名ブランドのディスティラーズエディションを飲み比べる贅沢を味わってみるのも良いのではないでしょうか。