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■伝説のブルゴーニュワイン
ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥー（1er Cru Cros Parantoux）は、ブルゴーニュワインが好きな人の間に知らない人はいないとまで言われるほど、大変愛されているワインです。
「ブルゴーニュの神様」や「神の手を持つ男」として称された20世紀最高の醸造家として有名なアンリ・ジャイエ氏は、独自のワイン醸造の哲学を持っていることで知られていました。
そして、その哲学を引き継いだ人物がアンリ・ジャイエ氏の甥であるエマニュエル・ルジェ氏でした。
ルジェ氏はワイン造りに欠かせないブドウを栽培する畑の中でも一級畑で栽培したブドウを用いて、ジャイエ氏から引き継いだ哲学に独自のスタイルを組み合わせたワイン造りを行いました。
そして誕生したのが、ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーだったのです。
エマニュエル・ルジェ氏がこだわったのは、ブドウをできる限り自然な状態で育てることと、年によって収穫時期が変わるブドウを、収穫に適した時期を見極めることでした。
またルジェ氏は、ブドウの木を大変丁寧に剪定することを大切にしています。
これはルジェ氏がアンリ・ジャイエ氏の哲学の一つである「高い樹齢と剪定が必要」との教えを忠実に守っているからです。
ルジェ氏がジャイエ氏のブドウ畑を受け継いだ時、畑は一級畑だったのですが、実際にその畑を評価してみると他の特級畑を凌駕するほどの素晴らしい状態でした。
そのため、ブルゴーニュの神様から受け継いだ畑は「幻の畑」と呼ばれ、ここで栽培されて醸造されたヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーも、伝説のワインと呼ばれています。

■世界中から愛される極上の赤ワイン
ヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーは、ピノ・ノワールの赤ワインで、アンリ・ジャイエ氏の代表作となっています。
ジャイエ氏は自ら畑を購入して、一級畑のクロ・パラントゥでワインのためのブドウ栽培を始めました。
特級畑で栽培されたブドウで醸造されるワインをはるかにしのぐ出来上がりになったワインは伝説の代表作となり、今では入手することが大変困難になっています。
平均価格も100万円をゆうに超えるほどの人気で、愛飲家たちの間でも垂涎の逸品です。
現在は、甥のルジェ氏が造るヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーが主に販売されています。
2006年にアンリ・ジャイエ氏が亡くなった後、ジャイエ氏が手掛けたワインは世界中のコレクターによって争奪合戦が起きました。
そんな背景もあり、尚更ジャイエ氏が造ったワインは価値が上がり、手に入れにくくなったのです。
ジャイエ氏がとったワイン造りの手法は、ブドウの収穫量を厳しく制限し、低温浸漬でブドウ液を抽出し、さらには天然の酵母を使うことでした。
この醸造方法により、世界中のワイン好きから絶大な支持を集める極上のワインを造り出したのです。
ジャイエ氏亡き後、ルジェ氏が造るヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーも、その味わいの良さが高く評価されています。
果実の甘みやみずみずしさが凝縮され、フルーティーな風味が口の中いっぱいに広がるのが美味しさの特徴です。
深く芳醇な香りが漂い、雑味のないまろやかで滑らかな舌触りと、ブドウの酸とコクのバランスが非常に良い極上の赤ワインとなっています。

■後継者に引き継がれるワイン造り
アンリ・ジャイエ氏の後継者となったエマニュエル・ルジェ氏は、1979年から叔父であるジャイエ氏と常に行動を共にし、ブドウ栽培やワイン造りを学びました。
そして、1985年にルジェ氏が初めてのヴィンテージワインをリリースした頃から、ジャイエ氏はヴォーヌ・ロマネ プルミエ・クリュ クロ・パラントゥーのために栽培する畑をルジェ氏に徐々に引き継がせていったのです。
ルジェ氏はジャイエ氏と最も長く過ごした人物と言われており、叔父の残した教えをとても尊重していました。
ルジェ氏の最高品質のワインを造るという姿勢は、ジャイエ氏の哲学や行動を共にした結果生まれた信念と言っても過言ではありません。
ルジェ氏が造るワインは非常に繊細で、まさに芸術品と呼んでも違和感がないほどの上質な仕上がりです。
ワインに使うブドウは全て手摘みで行い、アルコール発酵前に約7日間の日数をかけて低温浸漬をします。
これによりアロマとブドウのエッセンスが引き出され、約18ヶ月の熟成期間を経てフィルターをかけずに瓶詰めをし、長年変わらず愛され続ける上質な赤ワインの誕生となるのです。