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アメリカのウイスキーといえばバーボン

■場所によって呼び名が変わるウイスキー
ウイスキーには5大産地があるということはよく知られており、アイルランドにスコットランド、そしてアメリカにカナダ、わが国日本も世界5大産地に入る優れたウイスキー製造技術を持つ国です。
日本の場合はウイスキーの父と呼ばれる竹鶴政孝や、洋酒を日本人の口に合うものにした功績を遺したとして忘れられない鳥井信治郎の存在がよく知られています。
アイルランドのウイスキーはアイリッシュウイスキー、カナダはカナディアンウイスキー、日本はジャパニーズウイスキーと、国の名前を冠としているのでよく分かりますが、スコットランドはスコッチと呼ばれることから、少し分かりにくくなります。
さらにアメリカはバーボンウイスキーとなりますので、おそらくウイスキーの5大産地の中では最も分かりにくいといっていいでしょう。

■アメリカで最初にバーボンを作った人物
アメリカ合衆国誕生と同時に出来上がった歴史あるバーボンウイスキーが、エヴァン・ウィリアムスです。
ウイスキーに付けられた名前は、創始者であるエヴァン・ウィリアムスにちなんでおり、バーボンの始祖と呼ばれる人物です。
1783年、ケンタッキー州ルイビルで、ライムストーンと呼ばれる石灰岩から水が湧き出ているのを発見したエヴァン・ウィリアムスは、この水とトウモロコシを使って初めてウイスキーを作ったとされています。
ただ、アメリカにはバーボンの父と呼ばれるエライジャ・クレイグ牧師がいて、この人が最初にバーボンを作ったという説もあります。
エライジャ・クレイグ牧師は1780年にバーボンを作ったとされていますので、これが本当なら1783年に作ったエヴァン・ウィリアムスは二番手ということになりますが、実際にはどちらが先だったかを示す歴史的文献が見つかっていないことから、真相は分からずじまいです。
そのためか、バーボンの父とバーボンの始祖の両方が存在するところは、実に興味深いと言えるでしょう。

■エヴァン・ウィリアムスの残した功績
エヴァン・ウィリアムスのボトルには、彼の功績を讃えるべく、全てに“SINCE 1783”の文字が刻まれています。
現在においてもケンタッキー州にあるバーズタウンの名門蒸溜所、ヘヴン・ヒル社でバーボン造りが行われていて、世界第二位の販売実績を誇るバーボンの有名ブランドです。
エヴァン・ウィリアムスのバーボンウイスキーは、サワーマッシュ方式と呼ばれる製法を採り入れ、チャコールフィルターでろ過する方法で作られていますが、そのほかにもバーボンを作る全行程に独自の技術を活かして盛り込んでいるのが特徴です。
その結果、生まれるバーボンはどれをとっても力強いコクがあるのが特徴です。
ただ、長期熟成されればされるほど滑らかな口当たりと重厚感のある味わいになっていくため、バーボン通の間ではロックでそのまま飲むのが最も美味しいとされているのが、エヴァン・ウィリアムスのバーボンと言えます。
1780年のクレイグ牧師がバーボンの父なのか、はたまた1783年のエヴァン・ウィリアムスが始祖なのか、バーボンにおいてもジャパニーズウイスキーでいうところの、鳥井信治郎か竹鶴政孝かといったような議論があるのはおもしろいところです。
とはいえ、エヴァン・ウィリアムスが作り出したバーボンウイスキーが間違いなく美味しいのは、バーボンファンがしっかり証明していると言えます。

■エヴァン・ウィリアムスにひとひねりしたバーボン
通常のエヴァン・ウィリアムスは、バーボンウイスキーであるための条件となる焦がしたオーク樽で熟成させた力強さが魅力ですが、バーボンの特徴にはこのオーク樽での熟成によって、バニラの香りがするというのが挙げられます。
通常のエヴァン・ウィリアムスよりさらに熟成期間が長いバーボンに、天然のチェリーを漬け込んだエヴァン・ウィリアムスチェリーリザーブは、チェリーの爽やかな果実味が味わえるバーボンです。
バニラの甘い香りが感じられるバーボンウイスキーならではの特徴と相まって、女性にも飲みやすいウイスキーに仕上がっているのが魅力と言えます。