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二つと存在しないバレル（樽）の個性を楽しめる飲みやすいバーボン

■ミレニアル世代にも人気のバーボンウイスキー

「バーボンが好き」と聞いたら、「色んなお酒を飲んできた強者なのかな」「アルコールに強い体質なのかな」と思わずお酒を飲み慣れている方のように想像してしまいます。
これは、数々の映画や小説に登場するダンディーな大人の男性が、葉巻の香りを楽しみながらストレートやロックでグイッと飲み干す描写がバーボンというお酒をイメージしやすいからかもしれません。
バーボンが繁栄してきた時代背景も、少なからず影響は受けているでしょう。
アメリカのケンタッキー州バーボン郡を発祥とするアメリカンウイスキーのひとつ「バーボン・ウイスキー」は、西へと向かう人々とともに流通しながら西部開拓時代を支え、アメリカ暗黒の歴史と言われる禁酒法時代をくぐり抜けて力強く成長したお酒。
イギリスからの独立を勝ち取った建国の誇りをその名に刻む「バーボン（Bourbon）」には、荒々しい時代を乗り越えた武骨さとパワーが感じられます。
そんな「度数が強くて飲みにくそう」「風味のクセがキツそう」というイメージから若年層や女性が嫌厭しがちだったバーボンも、近年ではハイボールブームの流れから幅広い層で受け入れやすくなり、チャレンジする方が増えているのだとか。
実はスコッチやアイリッシュウイスキーに比べて独特なクセがなく、甘めの風味は初心者でも受けやすいお酒だったりします。
かつては男性タレントが起用されていたバーボンのテレビCMにも若い女性タレントが登場するようになり、渋いおじ様方がバーで寡黙に嗜む楽しみ方と、仲間と集まってハイボールを飲むミレニアル世代の賑やかな楽しみ方が共存しているのが今のバーボンの在り方かもしれません。
バーボンならではのフルーツやバニラのような甘い味わいやフレッシュなフローラルフレーバーは、定番の飲み方だけでなく斬新なアレンジレシピで固定概念に縛られることなく楽しめるようになり、新たな魅力で人気を集めています。

■薔薇のウイスキー「フォアローゼス」の甘いストーリー

創業から１３０年以上の歴史を誇るケンタッキーバーボン「フォアローゼズ」は、バニラやメープルシロップのような香りと、シナモンやナツメグのスパイシーさが感じられるクセのない味わいが特徴で、非常にバランスがとれているためウイスキー初心者にもおすすめのウイスキーです。
バーボンと言えば、「ジャックダニエル」や「ジムビーム」といった有名な銘柄がありますが、それらに比べると一般的な知名度は若干低いかもしれません。
しかし、バーボンウイスキーとしての歴史は長く、ラインナップも豊富です。
「フォアローゼス（FourRoses）」という名称は、想像する通り薔薇の花が深く関係しています。
そこには、ある男女の運命的な出会いが紡ぐ、ロマンチックなストーリーが秘められています。
フォアローゼズの生みの親ポール・ジョーンズ・ジュニアは、とある舞踏会で絶世の美女と巡り合い一目で恋に落ちました。
迷わずプロポーズを申し出たポールに女性はこう答えます。
「どうか次の舞踏会までお待ちください。プロポーズをお受けするなら薔薇のコサージュを付けてまいります。」と。
そして待ち焦がれた約束の舞踏会の夜、胸に４輪の薔薇を飾って彼女はポールの前に現れたのでした。
ふたりの愛が実ったこの素晴らしい瞬間をボトルラベルに描いたバーボン、それがフォアローゼスです。
ボトルに咲き誇る真紅の薔薇に込められた永遠の愛のエピソードに思いを馳せながらいただくフォアローゼスは、きっと花の蜜のように甘く、鮮やかな赤い色のように華やかなフレーバーを味わうことができるでしょう。

■シングルバレルとは？厳選された１樽の秘密

アメリカンウイスキー用語でよく聞く「シングルバレル（SINGLE BARREL）」とは、スコッチでいう「シングルカスク（SINGLE CASK）」と同じ意味を持ち、「シングル（単一）」の「バレルもしくはカスク（樽）」で熟成された原酒のみをボトリングしたウイスキーを指しています。
通常、ウイスキーは「発酵→蒸留→樽熟成→瓶詰め」という工程でつくられたあと、風味を均一化するために複数の樽の原酒をヴァッティングした上でボトリングしますが、樽ひとつひとつが持つ品質をそのまま味わえるように瓶詰めした「シングルバレル」ではそれぞれ異なる樽の微妙な個性や風味を楽しむことができます。
因みにアメリカンウイスキーの場合、１バレルの容量は約２００ミリリットルですので、ひと樽当たりおおよそ２６０本程度しかボトリングできないということになります。
ケースに換算すると約２１本となりますので、同一のバレルから取れたシングルバレルに出会うという機会がいかに稀であるかということがわかります。
通常の商品と同じように流通することが難しい数量のシングルバレルは、プレミアムなボトルとして蒸留所で限定販売されることが一般的となっており、入手困難なうえにお値段もそれなりに高額なため、バーボン愛飲家にとってはまさに垂涎の存在でもあるのです。