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「サントリー ピュアモルト古樽仕込 1991年竹炭濾過」からピュアモルトの歴史を振り返る


■販売終了後も根強い人気の「古樽仕込1991年」

「サントリー ピュアモルト古樽仕込1991年竹炭濾過」（以下、古樽仕込1991年）は、サントリーが1991年に発売した、ピュアモルトに分類されるウイスキーです。
「ピュアモルトウイスキー」はどんなウイスキーを意味するのかよく分からないとされることもありますが、それは曖昧な部分を持っていることが理由と考えられます。
「古樽仕込1991年」の特徴を知ることで、ウイスキーの分類についての理解が深まるかもしれません。
「古樽仕込1991年」は残念ながら販売が終了してしまいましたが、未だに根強い人気を誇るウイスキーです。

■ピュアモルトについて

ウイスキーは製造方法や使用している原料の違いなどにより、いくつか呼び名があります。
「モルトウイスキー」は、大麦麦芽を使用し、単純蒸溜方法で造られたウイスキーのことをいいます。
モルトウイスキーの中には、「シングルカスク（1つの樽で寝かせたモルトウイスキーのみを使用したウイスキー）」「シングルモルト（1つの蒸溜所で造られたモルトウイスキーを使用したウイスキー）」「ブレンデッドモルト（複数の蒸溜所で造られたモルトウイスキーを組み合わせたモルトウイスキー）」とさらに細かく分類されます。
サントリーのホームページによると、「ピュアモルトウイスキー」とは、シングルモルト・ウイスキーとほぼ同じ意味があるということです。
ですが、ニッカウヰスキーの「ピュアモルト」は、ブレンデッドウイスキーに分類されるように、時にブレンデッドウイスキーとされることもあります。
こうした曖昧さが混乱を招く原因になっているのではないでしょうか。
サントリーのウイスキーといえば「山崎」シリーズですが、山崎はシングルモルトウイスキーに分類されています。
ですが「ピュアモルト」としていた時期もありました。
「古樽仕込1991年」が「山崎」と同じシングルモルトウイスキーなのか、それともブレンデッドウイスキーなのか気になりますが、これも時代の流れと考えて良いかもしれません。

■「古樽仕込1991年」の特徴

「古樽仕込1991年」には、「竹炭濾過製法」が使われています。
これはサントリー独自の技術で、孟宗竹から手作業で炭を造り、その炭を使用して原酒を濾過していきます。
竹炭を使用することで不純物が取り除かれ、ウイスキーに甘味と竹炭特有のスモーキーさが出ます。
竹炭で濾過された原酒はシェリー酒の古樽に入れられ寝かされます。
これを再貯蔵（古樽後熟）と呼び、シェリー酒の風味が原酒に加わります。
竹炭濾過と古樽仕込で仕上げられた原酒は、心地良い香りを放ち、まろやかな口当たりのウイスキーとなります。
「古樽仕込1991年」は、シェリー酒を彷彿とさせる褐色で、グラスに注ぐうちに、ほんのりとした甘い香りが立ちます。
口当たりは癖がなくまろやかで、「竹炭濾過のウイスキーとはこういう味」を体感できるでしょう。
シェリー酒特有のフルーティな甘味と、竹炭のスモーキーさが口の中にじわじわと広がり、すっきりとした余韻が残ります。

■「古樽仕込1991年」は販売終了に

飲みやすいウイスキーとして多くの人に親しまれた「古樽仕込1991年」ですが、残念ながら1999年、惜しまれつつ販売が終わりました。
製造が中止になったことで、新たに購入することは難しく、過去に「古樽仕込1991年」を仕入れたお店で味わうか、中古品の酒類を取り扱っている専門店で購入するかなど、「古樽仕込1991年」に出会う機会は限られています。
「古樽仕込1991年」と似た製法で造られているウイスキーに、サントリーの「北杜12年」があります。
「北杜12年」もピュアモルトウイスキーに分類されていますが、複数のモルトを組み合わせているため、厳密位にいうとブレンデッドウイスキーのピュアモルトウイスキーになります。
「北杜12年」も竹炭濾過製法で造られ、まろやかな口当たりに人気があります。
残念ながら、「北杜12年」も製造が終了しています。
「古樽仕込1991年」はすでに販売が終了してしまいましたが、中古市場には出回っているようなので、運が良ければ手に入れられるかもしれません。
もし味わえる機会に恵まれたら、竹炭濾過製法で造られたウイスキーをぜひお楽しみください。