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世界で2番目の高額リリースとなった「グレンフィディック 50イヤーズオールド」


■話題を呼んだ「グレンフィディック 50イヤーズオールド」とは
「グレンフィディック 50イヤーズオールド」は、1887年創業のグレンフィディックの歴史の中で、1回目となる50年長期熟成物のリリースです。
2009年7月30日に、その当時、世界で2番目に高額となった1万ポンド（当時のレートでの日本円換算で約160万円）で販売され、話題を呼びました。
熟成50年の超熟原酒は500本のボトルに詰められ、一本一本にシリアルナンバーが付けられています。
2009年には50本のみの数量限定でリリースされ、その後も毎年50本ずつ、10年かけて販売されるプレミアムな製品です。
グレンフィディック 50イヤーズオールドは50年もの歳月を経た深い味わいを堪能できる一本として、高級感のある革製のケースに収められています。
香りは爽やかなシトラスやドライなハーブの中に、濃厚な甘さのドライフルーツやスモークの熟成香りが複雑に混じり合うのが特徴です。
味わいはクリームブリュレやカスタード、バニラのような甘やかで濃厚なコクがを持つ重厚な甘い味わいを楽しんだ後、ドライでゆっくりと長い余韻を楽しむことができます。

■50年熟成ウィスキーが生み出されるまで

グレンフィディック蒸溜所はスコッチウィスキーの一大産地であるスコットランドのスペイサイド地方において、ウィリアム・グラントが1887年に立ち上げた、現在でも家族経営を続ける老舗の蒸溜所です。
地元の蒸溜所で20年間にわたってウィスキー造りに力を注いできたウィリアム・グラントは、自らの手で最高の一杯を造りたいと、勤務していた蒸溜所を退職し、自らの蒸溜所造りをスタートさせます。
長年の夢を叶えようと決意した父親を応援しようと、9人の子どもたちも立ち上がりました。
7人の息子と2人の娘はたった1人の石工職人のサポートを得ながら、手作業で一つひとつ石を積み上げ、1年の歳月を経て蒸溜所を築き上げたのです。
数多くの蒸溜所がある地で最高のウィスキーを造りたいとのウィリアム・グラントの情熱と、家族の愛情が詰まったグレンフィディック蒸溜所では1887年のクリスマスの日に銅製の蒸溜器から最初の一滴が取り出されました。
その後も脈々と家族に受け継がれてきた蒸溜所では、4代目となるウィリアム・グラントのひ孫に当たるサンディ・グラント・ゴードンの時代に大きな転換点を迎えます。
当時はブレンデッドウィスキー全盛期であったとともに、グレンフィディック蒸溜所でも、長きにわたってブレンド向けの出荷しかしてきませんでした。
ですが、曾祖父を敬愛し、自社のシングルモルトに何よりも誇りを持っていたサンディ・グラント・ゴードンは、その素晴らしさを世界に知らしめたいと考えるに至ります。
そこで、1963年に当時のブレンデッドウィスキー市場として最大の規模を誇っていたアメリカのニューヨークで、シングルモルトの販売を始めたのです。
今では広く親しまれているシングルモルトですが、市場に出回るようになったのはグレンフィディックが初めてだったのです。
その味わいは瞬く間に人気を博し、わずか10年で30倍もの本数を売り上げるまでに成長しました。
現在でもシングルモルトの世界シェアナンバーワンの蒸溜所として、君臨し続けています。

■こだわりの50年熟成

世界的な地位を確立したグレンフィディックでは、1991年にコレクションに加えるにふさわしい貴重なウィスキーを発表しています。
それは初めての超長期熟成の50年物ウィスキーとなりました。
1930年代に熟成を始めた9つの樽をマリッジさせた思い入れの深い作品といえます。
9つの樽がマリッジされたのは、ウィリアム・グラントの9人の子どもたちを讃えたものです。
そして、2009年に2度目となる50年物のウィスキーがリリースされます。
これが「グレンフィディック 50イヤーズオールド」です。
手吹きで造られたボトルに、一本ごとにシリアルナンバーが刻印され、年に50本しか出荷されません。
スコットランドシルバーで純度認証刻印を押印し、手縫いの革製ケースに大切に収められて出荷されています。
この革製ケースは創業者であるウィリアム・グラントが、生前にウィスキー造りの記録をきめ細やかに記していた革表紙の日記をオマージュしたものなのです。