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1980年に流通したグレンフィディックの貴重なオールドボトル「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」


■熟成年数不明のピュアモルト・ウィスキー

「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」は1980年に流通したグレンフィディックのラインナップの一本で、「ピュアモルト」表記のあるオールドボトルとなっています。
主にイタリアで流通していた「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」はマイルドな口当たりが特徴で、ほろ苦い甘さの麦芽な味わいに柑橘系やハーブなどの爽やかな香りが楽しめます。
また爽やかさの奥にハチミツを思わせる滑らかな甘い香りも漂い、ロックにすると洋梨やりんごのような果実感溢れる香りが心地良く広がります。
グレンフィディック蒸溜所では熟成樽にラムカスクやバーボンカスク、シェリーカスクなどを使用していますが、「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」をハイボールにするとふかした栗のようなオーク樽由来の甘い香りがふんわりと香り立つのが特徴です。
グレンフィディックには「ピュアモルト」表記のほかに「オーバーエイト」表記と「スペシャルオールドリザーブ」表記のものがありますが、「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」には熟成期間が記載されている箇所が見当たりません。
ただし「ピュアモルト」表記の一つ前に当たる「オーバーエイト」表記のウィスキーが8年以上熟成であることを考えると、ピュアモルト表記の「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」も恐らく8年ほどの熟成期間を経ているのではないかと推測されます。

■現在も家族経営を続けているウィリアム・グラント＆サンズ社

1886年にスコットランドのダフタウン・スぺイサイドにて創業したグレンフィディック蒸溜所は、創業者のウィリアム・グラントとその妻、そして9人の子どもと1人の石工職人によって造られた蒸溜所です。
文字通り家族経営からスタートしたグレンフィディック蒸溜所は、現在ウィリアム・グラント＆サンズ社の所有のもと、代々グラント一族による家族経営が続けられています。
建設開始からついに出来上がった蒸溜所に、創業者のウィリアム・グラントは「グレンフィディック」と名付けます。
グレンフィディックとはスコットランド・ゲール語で「鹿の谷」を意味し、グレンが谷、フィディックが鹿という意味です。
そのためグレンフィディックのシンボルには牡鹿が使われており、グレンフィディックが造るシングルモルト・スコッチ・ウィスキーのボトルには必ずこの牡鹿がデザインされています。
またグレンフィディック蒸溜所が建設されたダフタウンはフィディック川の渓谷にあったことからも、ウィリアム・グラントは完成した蒸溜所を「グレンフィディック蒸溜所」としたのでした。

■記念すべきグレンフィディックのウィスキー誕生から今日まで

グレンフィディック蒸溜所にある銅製の蒸溜器はスワンネック（白鳥の首）型をしており、1887年のクリスマスにグレンフィディック蒸溜所初となるウィスキーがこの蒸溜器で生産されました。
ウィリアム・グラントが蒸溜所の建設に着工してから1年後のことで、「ファーストドロップ」（最初の一滴）が誕生した記念すべき瞬間でもありました。
ウィリアム・グラント＆サンズ社は現在創業者のウィリアム・グラントから5代目を数え、ウィリアムの曾々孫・ピーター・ゴードンが家族経営を守り続けています。
ウィスキーの本場・スコットランドでもほとんど見かけなくなった家族経営を今も続けているところは珍しく、独立製造のウィスキー企業としてのウィリアム・グラント＆サンズ社はスコットランドで最大の規模を誇ります。
出荷している国の数は180ヶ国にも及び、日本でもグレンフィディックの名はよく知られています。
グレンフィディックが造るシングルモルト・スコッチ・ウィスキーは口当たりが優しいため、初心者にもうってつけの入門酒としておすすめです。
またラインナップには「グレンフィディック ピュアモルト オールドボトル」のようなオールドボトルもあるため、ウィスキー愛飲家の間で高い知名度と人気を持っています。