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シングルモルトの原点と言えるブランド

■地名と同じ名の蒸留所
スコッチウイスキーの産地として、世界中にそのウイスキーの上質さを知られるスコットランドですが、蒸留所が多く集まるエリアが自然に生まれました。
その中の1つにグレンリベットがあり、マレーと呼ばれるスコットランドの行政区です。
このグレンリベット行政区にある最古の政府公認蒸留所が、グレンリベット蒸留所です。
政府公認の蒸留所だったことから、1824年の創業以来、途切れることなくシングルモルトのスコッチウイスキーを造ってきました。
世界恐慌のさなかにも途切れることがなかったグレンリベット蒸留所のウイスキー製造ですが、さすがに第二次世界大戦時には操業を停止しています。
大戦終結後はいち早く再開し、世界各国の需要に応えてシングルモルトウイスキーを造る蒸留所として、世界最大規模の蒸留所の1つに数えられます。
こうした歴史から、グレンリベット蒸留所の名を冠したスコッチウイスキー、ザ・グレンリベットは、「すべてのシングルモルトはここから始まった」という有名なキャッチフレーズでも有名です。

■現在はフランスの酒造メーカーの所有に
もともとスコッチウイスキーは、重い課税を逃れるために蒸留酒をシェリー樽に入れて隠したところ、熟成が進んで生まれた偶然の産物だったことから、スコッチウイスキーの造り方が定着してからも、政府から公認されない蒸留所が多数ありました。
特に離島にある蒸留所は密造の傾向が強く、政府が半ば黙認状態の中でウイスキーのおいしさが育まれてきたというのは、いささか特殊な歴史と言えるでしょう。
政府公認の蒸留所だったグレンリベット蒸留所ですが、2007年にはフランスの世界的酒造メーカーで、ワイン・スピリッツで世界第1位のシェアを持つペルノ・リカール社の所有となります。
とはいえ、プルーフ換算では年間5,900,000リットル超、ボトル換算では600万本以上のシングルモルトを、ザ・グレンリベットのブランドで流通させているのですから、持ち主は変わってもその味わいは上質なままで変わっていないことは明らかです。
ペルノリカールの所有となったことで、ペルノ・リカール社が生産しているブレンデッドウイスキーの原酒にザ・グレインリベットが使われていますので、ペルノ・リカール社のブレンデッドウイスキーを飲んでみるのもまた一興と言えます。
ペルノ・リカール社が販売している中では、シーバス・リーガルやロイヤル・サリュートといった人気のある銘柄に用いられていることから、これらの銘柄の上質さにも素直に納得です。

■今でも進化し続けるグレンリベット蒸留所
フランスの酒造メーカーの持ち物になったとはいえ、グレンリベット蒸留所が造るスコッチウイスキーの評価は落ちることがなく、むしろ増大する需要に応えるべく、2008年には蒸留所の規模拡大を発表しています。
新たにポットスチル（単式蒸留器）やマッシュタン（粉砕した麦芽を温水と混ぜて糖化する桶）、ウォッシュバック（発酵槽）といったシングルモルトウイスキー造りに欠かせない設備の増強は、いつの時代もおいしいものは受け入れられるということを如実に物語っていると言えるでしょう。

■国際的な評価が高い逸品揃い
蒸留所の名を冠したザ・グレンリベットは、非常に多くのラインナップがあります。
そのシングルモルトの味わいは、国際的な酒類コンペティションで高く評価されており、どれを選んでも間違いないおいしさです。
ザ・グレンリベット25年は、1980年にバーボン樽に樽詰めして熟成させた原酒を、2004年からの2年間、ファーストフィルのオロロソ・シェリー樽に移して仕上げ熟成を行うという、手間暇をかけて造った原酒からなるもので、グレンリベットが誇る多くのラインナップでも、最長の熟成期間となっています。
長期熟成だけが生み出せる芳醇な香りと美しい琥珀色とオーク熟成ならではのウッディさ、さらには熟したフルーツやスパイスといった風味豊かな香ばしさの中に、シングルモルトウイスキー特有のシルキーさが感じられる、まさにグレンリベットの逸品です。