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蒸溜所が誇る「グランツ ディスティラリー エディション」


■「グランツ ディスティラリー エディション」とは

「ディスティラリー エディション」とは、蒸溜所バージョンといった意味合いですが、グランツはブレンテッドウイスキーのブランドであるため、単一の蒸溜所の原酒で構成されているわけではありません。
グランツの魅力は同じ創業家が運営する複数の蒸溜所の原酒を使うことができる点にあります。
同じ信念を持ち、伝統を受け継いできた蒸溜所の個性が異なる原酒をブレンドできるため、高品質なブレンテッドスコッチウイスキーが出来上がるのです。

■グランツにブレンドされる原酒を生み出すディスティラリー

グランツは1887年にウィリアム・グラントによって創業されたウィリアム・グラント＆サンズ社が手掛けるブレンテッドスコッチウイスキーのブランドです。
その歴史は古く、グランツが誕生したのも1889年と今から130年ほど前になります。
当時は、今では世界一のシングルモルトとして名を馳せている、1887年設立のグレンフィディック蒸溜所と、1882年設立のバルヴェニー蒸溜所の2ヶ所の自社モルトをキーモルトとしてブレンドしていました。
ブレンドをしていたのは創業者であるウィリアム・グラント本人です。
彼が考案したレシピは現在に至るまで受け継がれており、原案のレシピもウィリアム・グラント＆サンズ社の本社の金庫に大切に保管されています。
ブレンテッドウイスキーのグランツはブレンテッドスコッチウイスキーのランキングで世界3位、シングルモルトのグレンフィディックは世界一の座をキープし続ける、ウィスキー界の雄に成長しており、蒸溜所の数も増えています。
ウィスキーの一大産地であるスペイサイド地方のダフタウンにある、歴史あるグレンフィディック蒸溜所とバルヴェニー蒸溜所に加えて、1990年には同じスペイサイド地方にキンヴィ蒸溜所も設立しました。
また、グレーン用の蒸溜所をローランド地方のエアシャーに設立し、グレーン蒸溜所であるガーヴァン蒸溜所の敷地内に2007年にアイルサベイ蒸溜所というモルト原酒の蒸溜所も開設するに至りました。
蒸溜所ごとに地域の特性や仕込み水、製麦法や製法などが異なっており、同じウィリアム・グラント＆サンズ社の蒸溜所でも生み出される原酒は全く個性が異なります。
現在のグランツのブレンデッドウィスキーは、個性が異なる4つのディスティラリーの20～30種類に及ぶキーモルトと、1～3種類のグレーン原酒をブレンドして造られています。
蒸溜所の数は増えても、ウィリアム・グラントのレシピをベースに、歴代のマスターブレンダーが代々継承してきたブレンドノウハウと、それぞれ際立つ匠の技でグランツを生み出しているのです。

■人気を博したのはシングルモルトよりグランツが先

グランツの最も主要なキーモルトを生み出すグレンフィディック蒸溜所は、世界で初めてシングルモルトを発売し、現在もなおシングルモルト不動の世界一であることで有名です。
シングルモルトが世界初リリースされたのは1961年であり、グランツが誕生した1889年よりずっと後のことです。
グレンフィディックはシングルモルト世界一、グランツはブレンテッドスコッチウイスキーで世界3位の販売量を誇っていますが、ウィリアム・グラント＆サンズ社の構成でいえば、グレンフィディックが125万ケース、グランツが450万ケースとなっており、ウィリアム・グラント＆サンズ社の商品ポートフォリオでは、グランツが最大のシェアを占めているのです。
グレンフィディックのシングルモルトは1963年のリリースから約10年ほどの間に、売り上げを30倍へと成長させる一大成長を遂げました。
一方、グランツは1889年の発売から5年後の1904年にはイギリスで成功を収め、1909年には世界市場へとプロモーションが行われています。
1919年には世界30ヶ国に60軒の販売代理店を持つまでに成長を遂げています。