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「グランツ シェリーカスク」からグランツの歴史を紐解く


■「グランツ シェリーカスク」を生み出したグランツとは

「グランツ シェリーカスク」はほど良く塩分を感じる香りと、甘味を感じるほのかに塩分の利いた味わいが楽しめるブレンデッドスコッチウィスキーです。
グランツは世界でも人気の高いブレンデッドスコッチウィスキーのブランドであり、製造はウィリアム・グラント＆サンズ社が手掛けています。
ウィリアム・グラント＆サンズ社といえば、シングルモルトの売り上げ世界一を誇るグレンフィディックのブランドも有名です。
グランツでは、同じ企業が手掛けるグレンフィディック蒸溜所をはじめ、4つのスコッチモルトと1つのグレーン蒸溜所のグレーン原酒を厳選してブレンドしています。

■ウィリアム・グラント＆サンズ社とは

ウィリアム・グラント＆サンズ社は、ウィリアム・グラントが1887年に創立した、現在もなお家族経営を続けている珍しいファミリー企業としてウィスキー造りを行っています。
最初に創設した蒸溜所がグレンフィディックで、創業からしばらくは、当時主流だったブレンデッドウィスキー用の原酒をブレンド会社に向けて出荷していました。
事業は順調に軌道に乗り、グレンフィディック蒸溜所を創業して5年目には隣地を買い取り、第2蒸溜所となるバルヴェニー蒸溜所を設立します。
ところが、1898年に最大の取引先であったブレンド会社最大手のパティソンズ社が倒産してしまうという苦境に直面したのです。
パティソンズ社に原酒を提供していた地域の小規模の蒸溜所は次々と倒産していき、ウィリアム・グラント＆サンズ社も経営状態が落ち込みます。
この危機を乗り越えようと、ウィリアム・グラントは自らがブレンダーとなることを思いつくのです。
グレンフィディック蒸溜所とバルヴェニー蒸溜所の個性が異なる原酒をブレンドするオリジナルレシピを考案し、ブレンデッドウィスキーを造り始めました。
こうして誕生したのがグランツというブレンデッドウィスキーのブランドです。

■苦境を乗り切って飛躍

創業者のアイデアで苦境を乗り切ったウィリアム・グラント＆サンズ社は、順調に売り上げを伸ばし、倒産から免れることができました。
その後はアメリカの禁酒法によるウィスキー輸出の減退や、2度の世界大戦といった厳しい逆風を受けましたが、ウィリアム・グラント＆サンズ社は代々続く家族経営による結束と、創業者精神を受け継いだアイデア力によって同業他社との差別化を図ることで、ブランドと伝統を守り抜くことに成功してきたのです。
例えば、1957年には他社にはない三角柱にデザインされた独特のボトルを生み出します。
グレンフィディックでも、グランツでも使われている三角ボトルは、ほかのメーカーとの差別化を果たし、三角ボトルといえばウィリアム・グラント＆サンズ社のウィスキーといったブランドを確立しました。
ボトルデザインについても話題と人気を集め、さらに事業を拡大させる礎を築き、グレーン用の蒸溜所をローランド地方のエアシャーに設立します。
エアシャー蒸溜所は設立当時、ヨーロッパで最大規模で、最新鋭の設備を備えていました。
ブレンデッド用に使うグレーン原酒を安定して確保できるようになったことで、ブレンデッドウィスキーも一層品質が安定し、品質を高めることに成功したのです。
さらに1990年にはキンヴィ蒸溜所、2007年にはアイルサベイ蒸溜所を設立し、一大企業へと発展を遂げるとともに、個性の異なる原酒が生み出されることで、グランツのブレンデッドウィスキーをより豊かなものとしてきました。
グランツでは、ウィリアム・グラント＆サンズ社の傘下にある4つの蒸溜所の原酒をキーモルトとし、さらに25種類に及ぶハイランドモルトを厳選した上で、エアシャー蒸溜所で造られるグレーン原酒をブレンドして造られています。
熟成にはバーボン樽をはじめ、「グランツ シェリーカスク」のようにシェリー樽を用いるなど、さまざまな樽を使用することで、ラインナップごとに個性が際立つ多彩な味わいを表現し、ウィスキーファンの心を掴んでいます。